【vol.226】2022年「小売業界」のトレンドの話(小売業の収益性)

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


引き続き「小売業界」の2022年のトレンドの話を見ていきます。
Retail EconomicsというUKの小売業界専門情報有料サイトの無料記事から紹介していきます。

今週の記事はコレ

5 Key Retail Trends in 2022
2022年の小売業界5の主要な5つのトレンド
https://www.retaileconomics.co.uk/retail-insights-trends/five-key-retail-trends-in-2022

全体のサマリーインタビューが動画になっているので、一応載せておきます。

記事本文では、下記の5つのトレンドが取り上げられています。

Trend 1: Digital Dependency
Trend 2: Rebalancing Physical Retail
Trend 3: Supply chain disruption
Trend 4: Path to Net Zero
Trend 5: Protecting Profitability

先週の「Trend 4: Path to Net Zero」に引き続き、Trend5をご紹介します。

Trend 5: Protecting Profitability
(収益性の保護)

Even before COVID-19, retail profitability was already under significant pressure. Over the last decade, pre-tax profits have almost halved for the largest UK retailers, falling from 9.2% in 2012 to an estimated 5.1% in 2021. The combination of rising costs, fierce competition and the shift towards online has put intense pressure on margins.

COVID-19以前から既に、小売業の収益性は脅かされていた。
過去10年間で、イギリスの大手小売企業の税引前利益はほぼ半減していて、2012年の9.2%から2021年には5.1%に落ち込むようだ。
コストの上昇、激しい競争、オンラインへの移行が重なり、利益率が圧迫されている。

小売業の利益率が下がってきていることと、その利益率が半減していることが示されています。
そんな中で、「オンラインへの移行」が進んでいるわけですが、そのことが「利益率の改善」ではなく「利益率の悪化」に繋がっていると示唆されています。

Indeed, the research shows that the shift towards online is a significant contributing factor of dwindling profit margins. Figure 16 shows an inverse correlation between the rise in the proportion of online sales and a fall in pre-tax profit margins over the last decade.

実際、調査では、オンライン化が利益率低下の大きな要因となっていることが示されている。図16は、過去10年間におけるオンライン販売の割合の上昇と税引前利益率の低下との間に「逆相関」があることを示している。

画像から明白ですが、小売業者が「オンライン化」を進めれば進めるほど、「収益率が悪化」していることが分かります。
これは驚きました。

が、よくよく考えてみると「オンライン化」したことが『原因』で「収益率が悪化」しているのではなく、『小さな利益率でもやっていける小売業者だけが生き残っていて、その代表格がオンライン小売業者である』という傾向を示しているだけ、という可能性もありますね。

いずれにしても「オンライン化」は、さらなる血みどろの争いを誘発し、利益は究極的にはZEROに近づいていくものと思われます。

 

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「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
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