日曜日には、ネーミングを掘る ♯110 「エッセンシャル・ワーカー」

今週は。

新型コロナウイルスの
感染拡大が止まらないなか、
都市部でスーパーマーケットを
展開する企業で働く大学の後輩から
LINEが送られてきた。

「来週から私のスタッフたちが、
速成レジ研修を受けて、
お店に配置されます。
若い20代の子ばかり。
戦地に送り出すようです。」

学生時代から責任感が
強かった彼(後輩)のことだ。
マスクやアルコール消毒液など兵站に
万全を期してのことだろうと思う。

レジ係りをはじめとする
スーパーやドラッグストアの店員さん、
駅員やバスやトラックの運転手さん、
配送やごみの収集や
公衆トイレの清掃にかかわる方たち、
警察官や消防署員、地方公務員、
そして言うまでもなく医療関係者…。

こうした社会を支えてくれる人たち、
もっと具体的に言うなら、
「私たちが日常を営んでいくために
止めてはならないこと」に
従事する人たちを
エッセンシャル・ワーカーと
呼ぶのだそうだ。

メルケル独首相や
マクロン仏大統領が
新型コロナとの戦いにおいて
国民へメッセージを発した際、
上記職群に就く人たちに
まず感謝の意を伝えていたのが
印象に残っている。

さまざまな物事の本質が
露わになる危機の時代。
Essential Workerは、
まさにそれを言い表す
的確なネーミングだと思う。

エッセンシャル・ワーカーのみなさん、
どうぞご安全に。
願わくば、今回をきっかけに
その働きに相応しい尊敬を。
そして、報酬を。

不要不急の表層ワーカーの
一人である私は、
自らの仕事を省みて
そう思うのである。

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