今週は!
このブログは、昨日からはじまったブランドファーマーズ・スクール二期の初日の講座終了後に書いている。いやー、今回の実習生の顔ぶれも面白い。どうしてこのようなユニークな人たちが集まってしまうのだろうか。と、これからの3か月に思いをはせつつ、引き続き一期生10名から生まれたビジネスを紹介していくことにしよう。
7人目に紹介するのは、土曜日クラスの「長兄」、杉原里志(43歳)さんである。杉原さんは、広島県内にある人材系企業に約20年間勤務し、今年1月に独立。現在は、株式会社ixisの代表として、組織づくりや業務のクラウドシステム化など中小企業の経営支援を行っている。これから事業を進めていくにあたって、自社の提供価値をどのように定義し、顧客に伝えたらよいのか。ヒントを探しにスクールを受講してくれた。
会社員時代の杉原さんは、アイデアフルな経営者の右腕的な存在として活躍。祖業であるビルの清掃業に留まらない事業の多角化に取り組んできた。在職中に立ち上げた事業数は、大小合わせて14にもなる。
そのあいだの想いは、コンセプト文に詳しいが、杉原さんのなかにあったのは「自分たちが働く会社を、もっといい会社にしたい」というシンプルでピュアな想いだった。事業計画や人事制度、チームビルディング、システム化などの知識やノウハウは、すべてそのために身に付けたものだ。結果、同社は2017年にホワイト企業アワード(一般財団法人日本次世代普及機構主催)を受賞するまでになった。
ビジネスネーミングは、この経験を端的に表現したものとなった。
-タグライン-
ぐっとくるチームをデザインする。
-ネーミング-
ビジネスセレクトショップすぎはら
-コンセプト文-
わたしは約20年間、人材派遣というシゴトをしてきました。景気が悪くなれば契約が終わる。企業が生きるため、人を切る。そんな役割です。
2008年、リーマンショックがありました。社員の解雇は避けられる状況ではありません。いや、そもそも、解雇すれば問題は解決するのだろうか。
そんなことを考えながら、あらためて社内を見渡せば、みんな、頑張っていました。
ああ、そうか。私たちが今することは、これまで頑張ってくれてきた人たちの雇用契約を終わらせることではなく、彼らが活躍できる事業を新たに生み出すことなんだ。彼らと一緒に歩んでいける会社を作ることなんだ。そう思ったのです。
あれから10年。いくつもの事業を手掛け会社は多角的に成長しました。ここで彼らに仕事を任せ、自分は新たな挑戦をしたいと思います。
そこで、社長。ひとつご提案です。社長の考えている、漠然としたアイデア。一緒にやりませんか?
自社の強みは何か。
売るべき商品は何か。
どうやって販売するのか。
どういう人材を採用すべきか。
本来、社長の代わりにそういった事を考えるのが、役員や幹部の仕事です。しかし、中小企業の社長は、ぜんぶ自分で考えているもの。
社長がいいひとすぎると、せっかく考えたアイデアも、従業員は取り組むことなく、社長があきらめるのを待っている。なんてことも、よくある話です。
成功のイメージを共有できて、前にあるシゴトを着実にカタチにしてくれる。そしてヒトも育て、ぐっとくるチームにしてくれる。
そんな社長の共伴者がそばにいたら、ワクワクしていろんなことをやりたくなりませんか?
みんなの表情が「なんか上手くいくような気がする!」って、大胆不敵に変わっていく。そんなチームデザインを、一緒にしていきましょう。
リーマンショックをきっかけとする心境の変化を率直に語った情感あふれるコンセプト文と、カジュアルなビジネスネーミングとの間に距離を感じられる人もいるかもしれない。じつは『ビジネスセレクトショップすぎはら』は、ボクから提案させていただいたものだ。杉原さんが講座のなかで発表したネーミングは、コンセプト文のトーンに合ったストーリー性のあるものだった。しかし、杉原さんが提供できる価値(経営に必要なさまざまなことを高いレベルで支援できる)を端的に表した方が、ターゲットとなる中小企業の経営者が理解しやすく、買いやすいと考えたからだ。
杉原さんは提案を受け入れてくれたのだが、最後までこだわったのが“チームづくり”だった。その原点ともいえる文章が、ixisのコーポレートサイトのなかにある。「人生最大の後悔」と題されたブログである。
大好きだった音楽を、大好きだったバンドを、なぜ止めたのか、なぜ脱退したのかを赤裸々に綴ったものだ。バンドというチームで味わった後悔を、もう二度としたくない。そこに杉原さんのチームへの想いがあるのではないだろうか。杉原さんなら、きっと良いチームをつくってくれるに違いない。
第一期生10名のビジネスはこちら:BFSから生まれたビジネス