第75回「社長のおごり」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第75回  「社長のおごり」

ミライの種を探しに知財データをみていると、面白い商標が目に飛び込んできました。「社長のおごり自販機」、思わず手をのばしたくなるような、興味惹かれるネーミングです。


商標登録第6466271号(商標権者:サントリーホールディングス株式会社)
【商標】

【指定商品/指定役務】
自動販売機、茶、コーヒー、ココア、ビール、清涼飲料、果実飲料、飲料用野菜ジュース など


「社長のおごり自販機」は、職場のコミュニケーション活性化を目的とした、実証実験中の法人向けサービスです。
使い方は簡単。社員2人が、それぞれの社員証を自販機にかざすことで、各社員が選んだ飲み物が1本ずつ出てくるというもの。社員の支払いはもちろん無し。社長のおごりです笑。

働き方の多様化によりリモートワークが増える中で、仕事以外のコミュニケーション機会が減っていることに、サントリーは着目。いつでも手軽に飲み物が買える自販機を通じて、職場内のコミュニケーションを増やす仕掛けとして「社長のおごり自販機」を開発しました。

ユーザーからは「ワクワクさと達成感があり、とても楽しかった。」「たまたま同期とすれ違い、数年ぶりに近況を話し合うきっかけになった!」などの好意的な感想が集まっているようで、しっかり目的が果たされていることが分かります。

未来コンパスが指すミライ

社員にとっては無料でドリンクをゲット出来ますし、サントリーにとっても売上アップに繋がります。ですが、おそらく、一番メリットを享受するのは導入企業ではないでしょうか。
1日に100組が利用しても、かかる費用は1万円程度。企業にとっては、無視できると言ってもいいコストで、社内のコミュニケーションが劇的に活性化するのですから、十分なリターンです。もともとある自販機を入れ替えればいいので、導入の手間も、面倒な社内承認も殆どないでしょう。

売り手、買い手、ユーザーのいづれにも利が落ちるような商売。手本にしたい事例です。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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