第10回 「ハウオリ」誕生秘話 〜髪のことを気にしない暮らしのために

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第10回 「ハウオリ」誕生秘話 〜髪のことを気にしない暮らしのために

安田

今日も前回の対談に引き続き、特許まで取得されている『ハウオリ』という美髪矯正技術についてお話を伺っていきたいと思います。前回、ハウオリとは「薬剤を使わずに頭皮に直接アプローチできる技術」だとお聞きしました。


岩上

そうですね。「髪質を改善する一番の近道は、頭皮を改善することですよ」というようなことをお伝えしました。

安田

それで私、ふと思ったんですよ。「くせ毛」も頭皮の環境が改善すれば治るのかなって。悩んでいる人は私も含めたくさんいると思うので、皆さんすごく気になるんじゃないのかな(笑)。


岩上

確かにウチにいらっしゃるお客様も、くせ毛に悩まれている方はすごく多いですね。

安田

そもそもくせ毛ってどういうメカニズムで起こるんですか?


岩上

くせ毛は毛根の向きが関係しているんですよね。先天的・遺伝的なくせ毛の場合、そもそもの毛根の向きが真っ直ぐではないので、ずっと「くせ毛」の状態が続いていく。つまり「生える前からくせ毛であることが決まっている」ということです。

安田

なるほど。そういうことなんですね。でも先天的じゃないくせ毛なんてあるんですか?


岩上

はい。「後天的なくせ毛」もあります。生まれた時はストレートだったのに、後からだんだんくせ毛になってしまうという。

安田

へぇ、そうなんですね。ちなみにそれはどうして起こるんですか?


岩上

例えば俗に言う「縛りぐせ」とか「結びぐせ」というものがあります。毎日ヘアゴムでギュッと髪の毛をまとめて結び続けていると、髪の毛がその形のまま固定されてしまうんですよ。

安田

ははぁ、なるほど。髪をほどいても元に戻らなくなっていくと。


岩上

そういうことです。あるいは髪を耳にかけるスタイルをずっとしていると、もみあげの毛根に「後ろに向かう癖」がついてしまうことがある。要は常に毛根が結んだ方向に引っ張られ続けることで、毛根自体の向きが変わっていくんです。

安田

へぇ! 毛根って動くんですね。


岩上

動くんです(笑)。先ほど話した先天的なものだけでなく、普段の生活習慣によって毛根の向きが変わってくることがあるんです。

安田

そうだったんですね。うーむ、しかし毛根の向きのせいなんだったら、もう仕方がないような気がしてきました(笑)。


岩上

笑。そんな中、僕はもともとお客様の「骨格」と「毛流」を意識したカットをしていたんです。ハウオリを開発するよりもずっと前から。

安田

骨格ということはつまり頭蓋骨の形ってことですよね? そんなに人それぞれ違うものなんですか。


岩上

違いますねぇ。後頭部がしっかり張っていて卵型の頭の形をしている人って、実はそんなに多くなくて。サイドが張っていたり、後頭部が絶壁になっていたりと、けっこうバラバラです。

安田

へぇ〜、おもしろい。他人の頭蓋骨なんてまじまじ見る機会はないので、興味深いです(笑)。


岩上

笑。だから髪の毛がどこに向かって生えているのか。骨格のバランスを見つつ、「毛根の向き」を意識したカットをする。それが僕が以前からしていた「その人自身に似合う髪型を作る」ということで。

安田

なるほどなぁ。ちなみに私の場合、カットしてもらった直後はいいんですけど、だんだん髪が伸びてくると、もみあげのあたりがモワッとハネてしまうんです。それも毛根の向きを考えたカットをすればマシになるということですか。


岩上

ええ。毛流を見極めると、そういう「伸びてきた後のハネ」も収まりがよくなります。乾かすだけで髪型が元通りになるというか。

安田

なんと。それは最高ですね。


岩上

以前もお話しましたが、最近のトレンドは「SNSで見たこの髪型と同じにしたい」というお客様が多い。で、当然、美容師はそのリクエストに応えようとしますよね。するとお客様としても、「自分がなりたい髪型」にしてもらったから満足なわけです。

安田

だけどその「理想の髪型」を翌日以降も再現できるかというと…。


岩上

そうそう。それがかなり難しいんですよ。なぜかというと、お客様自身の「頭の形」や「毛の流れ」を見極めず、ある意味、無理やりセットしてその髪型を仕上げているからです。美容師の技術があればそれも可能ですけど、自宅で再現するのは厳しいでしょうね。

安田

なるほどなぁ。だからこそ、「流行っている髪型」じゃなく「骨格」と「毛流」を意識したカットをする必要があると。


岩上

仰るとおりです。そしてそういう毛根の向きや毛の流れをしっかり見極めたスタイルにすると、くせ毛だろうと直毛だろうと、ほとんど気にならなくなるんですよ。

安田

え、そうなんですか?


岩上

はい。例えばくせ毛に悩んでいてストレートパーマをかけたいというお客様がいたとしますね。僕は施術の前に「なぜくせ毛が嫌なのか」をもう少し突っ込んで聞くんです。

安田

お客さんは「ストレートパーマにして欲しい」って言ってるのに、まず「くせ毛が嫌な理由」を聞くわけですか。


岩上

そうそう。髪の毛がボワッと広がっているのが嫌なのか、前髪がパックリ分かれてしまうのが嫌なのか、朝のセット時間を短縮したいのか…。その真意を探る感じですね。

安田

そんなに丁寧に紐解いてくれるんですね。私、美容室でそんなこと聞かれたことないですよ(笑)。


岩上

僕の理想としてお客様には「髪の毛のことは極力気にしない暮らし」を提供したいと思っていて。たとえそれが気に入ったスタイルでも毎朝長い時間をかけてセットする…そんな暮らし、重くないですか?(笑)

安田

重いです(笑)。「確かにカッコいいけど、こんなの二度と自分で再現できない…」なんてスタイルは困りますよ(笑)。


岩上

笑。今って雑誌やSNSを通じていろんなヘアスタイルを知ることができますけど、それが本当に似合うのかどうかって、なかなか自分ではわからないんですよね。

安田

確かにそうですね。雑誌の特集なんかで「あなたにオススメの髪型決定版!」とかありますけど、そこに出ているモデルさんと自分が全く同じ頭の形や髪の生え方をしているわけじゃないし(笑)。


岩上

そうそう(笑)。だから僕はお客様自身の「素材の良さ」をお伝えしていきたいと思っていて。「あなたの髪の毛の持ち味はこれだよ」「ここが良いポイントなんだよ」というように。

安田

なるほどなぁ。自分の持ち味をうまく引き出してくれるから個性的で、かつ、オシャレでカッコいい。しかもそれがほとんど手間をかけることなく再現できる。…そんな夢みたいなことが起こるなんて、素晴らしいです!(笑)


岩上

ありがとうございます(笑)。ちょっと長くなってしまいましたが、これがハウオリを始めるよりずっと前から僕がやってきたことなんです。

安田

髪のクセを無理やり矯正するのではなく、それを活かしたヘアスタイルを作られてきた、と。そこからどうして「美髪矯正」という考えを持つようになったんですか?


岩上

骨格や毛流が変わらない限り、それらが活きるヘアスタイルってそれほどバリエーションがあるわけではないんですよね。つまり、自ずと挑戦できるスタイルが決まってきてしまう。でもそもそも髪質の悩みがなくなれば、もっと幅広いスタイルを実現できるよなと。

安田

ああ、なるほど。「その人自身の素材の良さを引き出す」という段階から「素材そのものをさらに改善しよう」となったわけですね。それでは次回はそのあたりの詳しいお話も含め、ついに「ハウオリの開発秘話」へと迫っていきたいと思います!


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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