第14回 店名やメニューを「ハワイ語」にした理由

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第14回 店名やメニューを「ハワイ語」にした理由

安田

ここ数回は、岩上さんが開発した「美髪矯正ハウオリ」についてお話をお聞きしてきました。この「ハウオリ」ってハワイ語でしたよね? あまり聞き馴染みのない言葉で、もっとわかりやすい名前の方が覚えてもらいやすい気もするんですが…。


岩上

確かに美容室って「施術工程」がそのままメニュー名になっているものが多いですもんね。「カット」とか「パーマ」とか。

安田

そうそう。「カットしたんだ」とか「パーマあてたの」なら誰でもわかる。でも「ハウオリしたんだよね」と言われても、何をしたのか全く想像つかない(笑)。


岩上

確かにそうですね(笑)。ただちょっと真面目に答えると、ウチの美容院はそもそも「施術」ではなく「日常会話のきっかけ」を提供していると思っていて。「髪切ったんだね」「その髪型素敵だね」っていう会話が生まれるきっかけです。

安田

ははぁ、なるほど。つまり施術はそのための手段だと。髪型や髪質の変化を通じて生まれる感情、そして他の方とのコミュニケーションの方が目的なんですね。


岩上

そういうことです。で、ハウオリという新技術はお客様にどんなキッカケを与えられるかな、と思った時、「ハッピーな気持ち」を提供できる施術だろうなと思ったんですね。

安田

ああ、確かに長年抱えていた髪の悩みが解消されるわけですから、そりゃハッピーになりますよね。


岩上

ええ。で、ウチはお誕生日のお客様にいつも「Hauoli la hanau/ハウオリ ラー ハナウ」と言うんですね。これはハワイ語で「お誕生日おめでとう」っていう意味なんですが、改めて「ハウオリ」の意味を調べたら「嬉しい、楽しい、幸せ」っていう意味でして。

安田

へぇ〜、なるほど。それでこの言葉が新技術にピッタリだと思われたわけですね。


岩上

仰るとおりです。お客様にはこの新しい施術を通じて「嬉しい、楽しい、幸せ」になるきっかけを得てもらいたい。それで「ハウオリ」という名前をつけたわけです。

安田

なるほどなぁ。ちなみに店名の『マハロコ』もハワイ語なんですか?


岩上

確かにハワイ語ではあるんですが、造語なんですよ。「マハロ」と「ロコ」を合体させたもので。

安田

あ、確かマハロって「ありがとう」という意味じゃなかったでしたっけ?


岩上

お、よくご存知で(笑)。仰るとおりです。自分の店をオープンさせられるとなったとき、最初に思い浮かんだのが「感謝」だったんです。なのでまずは「マハロ」を使おうと。

安田

なるほどなるほど。ロコはどんな意味なんですか?


岩上

「仲間」ですね。一緒に働くスタッフはもちろん、長くお店に通い続けてくださっているお客様も「仲間」のような存在だなと思ったので。それで「マハロ(ありがとう)」と「ロコ(支え続けてきてくれた仲間)」をくっつけて『マハロコ』という店名にしたんですよ。

安田

へぇ〜、素敵な由来ですね! ちなみに会社名の「株式会社 OHANA」にはどんな意味があるんですか?


岩上

オハナはハワイ語で「家族」です。よく日本語の「お花」と間違われるんですけどね(笑)。

安田

あ、違うんですね。私も「お花」だと思っていました(笑)。それにしても岩上さんはどうしてここまで「ハワイ推し」になられたんですか? なにかキッカケがあったんでしょうか。


岩上

「アロハスピリット」という考え方を知ったのが大きいかもしれませんね。ネイティブハワイアンの方々に受け継がれてきた「心の在り方」のようなものなんですけど。異なるカルチャーの人もすべて受け入れてくれる、懐の大きさがあって。

安田

そのスピリットに共感したと。


岩上

ええ。美容師=職人と考えると、基本的にお客様とは「技術力」のつながりになるわけで、お客様の好みが変われば他店に行かれてしまう。働いてくれているスタッフも同じですよね。

安田

そう言われてみると確かに、お客さん側も美容師さんたちも、1つのお店にずっと居続けるパターンって少ないかもしれないですね。


岩上

そうなんですよ。だから僕は、お客様ともスタッフたちとも、技術だけじゃなくもっと精神面やパッションのような「想い」で繋がりたいと思ったんですね。ただ、そういう「精神論」のようなものをあまり全面に出しすぎると…。

安田

ちょっと怪しげな宗教っぽくなっちゃいますね(笑)。


岩上

そうなんです(笑)。「先人に感謝しましょう」とか「謙虚でいましょう」という言葉も、日本語だとちょっと重たい。でもハワイ語ならポップに伝えられる感じがしませんか?(笑)

安田

確かにそうですね(笑)。なるほど、そういう狙いがあったんですね。


岩上

もう1つはブランディング的な面ですよね。「ハワイアン」というキーワードがあると、お客様にも覚えてもらいやすいなと。

安田

なるほど。「ハワイっぽいお店で、アロハシャツを着た美容師さんが切ってくれる美容室」ということですね。確かにわかりやすいし、口コミもされやすそうです。


岩上

そうそう。「ハワイアン」ってビジュアルとしてもわかりやすいし、なんとなくいいイメージも伝わるなぁと思って。

安田

なるほどなぁ。ご自身もそもそもハワイが好きだったんでしょうし、すごくいいブランディングだと思います。


岩上

ありがとうございます。もともとは「いつかみんなでハワイに行くぞー」って感じでハワイアンブランディングを始めたんですが、実際にハワイに行った時に、「ああ、やっぱり素晴らしいなぁ」と。特に2007年に社員旅行で行ったハワイ島は、まさに僕の思い描いたハワイそのもので。

安田

ふーむ、なるほど。そういった経験が2008年の『マハロコ』OPENにつながっていくわけですね。


岩上

そういうことです。そして今も年に数回ペースで行くほど、どっぷりハワイに染まり続けています(笑)。

安田

いいですね〜。自分の「好き」と「ビジネス」がちゃんとリンクしているブランディング、最高だと思います!


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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