第22回 美容室の「次回予約」は、自分を大切にする習慣へとつながる

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第22回 美容室の「次回予約」は、自分を大切にする習慣へとつながる

安田

私はいつも、「そろそろ髪が鬱陶しくなってきたなぁ」と思ったタイミングになって、ようやく美容室の予約をするんです。


岩上

行きたい時に予約して、すぐにカットしてもらいたいと(笑)。

安田

そうそう(笑)。周りに聞いてみてもだいたい同じで。そもそも美容師さんから「次の予約はどうされますか?」なんて聞かれたこともないんです。マハロコではお客さんに「次の予約を取ってください」って言うんですか?


岩上

それをこちらから言ってしまうと、お客様によっては負担に感じられますよね。だからウチでは「次回予約を入れたくなるようなキッカケ」を作るに留めていますね。

安田

ふーむ、なるほど。そもそも「次回予約を入れて帰る」って普通のことなんですか?


岩上

それはお店によると思います。ただ当然、こちらとしてはそうしてもらえた方がいいわけです。だからウチは「今日から2ヶ月以内に次回予約を入れたら、施術料金が5%お得になる」という制度を作ったんですよね。「早割システム」というんですけど。

安田

なるほど! 次回予約を入れることにメリット感を持ってもらうわけですね。それならお客さんも自分から言い出しやすい。ちなみに次回のメニュー内容も決めてもらうんですか?


岩上

いえ、日にちだけですね。施術前のカウンセリングの中でどういうメニューにするか決められる方がほとんどなので。「カットだけのつもりだったけどカラーもしようかしら」とか「根本だけ染め直そうと思っていたけどやっぱり全体的にカラーチェンジします」とか、話しているうちにやることが変わっていくので。

安田

なるほどなるほど。でも一方で、日程が決まっているのってちょっと心配だったりもするんですよ。急な予定が入ったらどうしようとか。


岩上

ああ、都合が悪くなった場合でも「2ヶ月以内」であれば日程変更も自由にできるようにしてました。安田さんが仰るように、この制度がお客様の負担になったら意味がないので。もっとも、その「早割システム」は今はやってないんですけどね。

安田

へぇ、なんで止めちゃったんですか? すごくいいシステムだと思うんですけど。


岩上

それがなくても皆さん当然のように予約してくれるようになったんです。不評だったからやめたわけじゃなく、なくても目的達成できるようになったという。

安田

へぇ〜、それは理想的ですね。でもお客さんからすると、それまでの「5%オフ」がなくなっちゃうわけでしょう? それについて不満は出なかったんですか?


岩上

それが出なかったんですよ。というのも「早割システム」をやっていた2〜3年の間で、予約表が常に2ヶ月先まで埋まるようになっていたんです。つまり、「5%割引になるから入れる」というより、「いま取っておかないと予約できない」という状態で。

安田

ははぁ、なるほど。お客様にとっては、「予約できること」が重要で、「5%割引」はあまり重要じゃなくなっていたんですね。


岩上

だと思いますね。結果、「早割システム」をなくしても「予約して帰る」という習慣は残すことができまして。

安田

なるほど、すごいですね。ちなみに皆さん、何ヶ月先くらいを予約していくんですか?


岩上

そこは人それぞれですね。髪の長さやスタイルによっても違うので、「この髪型なら、次は1ヶ月半後くらいに来られるといいですよ」というように、いわば「髪の毛の賞味期限」をお伝えするようにしてました。

安田

ああ、それはすごくいいですね。「次はいつ頃に来るのがベストですよ」ってズバリ言ってもらえた方が安心です。


岩上

そうですよね。…そういえば当時、よくお客さんに「手帳に“自分だけの予定”を書いていますか?」とお聞きしていたのを思い出しました。

安田

ん? 自分だけの予定って?


岩上

皆さん、誰かとのアポイントを優先的に書き込んで、「自分の予定」はその隙間に入れていくことがほとんどなんですよ。つまり「他人の予定」を先に入れちゃう。

安田

…私は自分の用事から先に入れていきますけど(笑)。


岩上

が言いたいのはまさにそこなんです! 一度きりの人生なんだから、まずは自分の予定を優先しようよと。「優秀な人ほど自分の予定を先に入れるんですよ」って熱っぽく語っていたなぁ(笑)。

安田

笑。でも確かにそうなんですよね。他人の事情に振り回されていると、どんどん自分がないがしろになってしまう。これはよくありません。


岩上

仰るとおりです。そういう意味でいうと「美容室の次回予約=自分のためだけの予定」なので、まずはそれを優先的に入れちゃいましょうよと。

安田

なるほどなぁ。美容室の次回予約をすることが、自分を大切にすることにもなるわけですね。それに気付いたお客さんは、「絶対に次回予約を入れよう」という意識になるでしょうし。いやぁ、なんというか、素晴らしい教えをされていますね!


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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