第53回 ハウオリが生み出す新しいコミュニティの形

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第53回 ハウオリが生み出す新しいコミュニティの形

安田

2014年に岩上さんが発明した『美髪矯正ハウオリ』。今やハウオリを導入している加盟店が全国で29店舗あって、今後もますます増えていくと思うんですが。


岩上

ありがとうございます。ハウオリのサイトも大幅なリニューアルを予定していますし、ハウオリにご興味を持っていただけるお客様やサロンオーナーさんに情報が届くといいなと思っています。

安田

今は全国で29店舗ですが、これが各都道府県で10店舗ずつハウオリ加盟店ができれば、全国で500店舗にもなるわけです。そうなった時、岩上さんとしては『マハロコ』での仕事をどうしようとお考えなんですか? 美容師としてマハロコでお仕事を続けていくおつもりですか?


岩上

そうですね。できる限り現場には立ち続けたいなと思っています。というのも昔、僕失敗していまして。

安田

ほう、何があったんですか?


岩上

15人くらいのスタッフに、一気に辞められてしまった時があったんです。その頃って、お店のことはスタッフたちに全部任せてしまっていて、僕は現場から離れていたんですよ。でも、やっぱり現場にいないとお客様の声もスタッフの声も聞こえなくなっちゃうんですよね。

安田

なるほど。そういった苦い経験があるから、現場に出ることにはこだわっていきたいと。


岩上

はい。あとね、僕自身もともと「美容師さんたちのための学校を作りたい」という欲求がありまして。『マハロコ』を教育の場にしたいんですよ。マハロコというお店自体が、全てのハウオリ導入店にとっての「モデルサロン」であるべきだと思っていて。

安田

ははぁ、なるほど。ということは今後マハロコはお客様のためだけでなく、美容師のための美容院にもなっていくわけですね。


岩上

そうですね。「モノ」としての技術やレシピを教えるというよりも、僕の働いている姿を実際に見てもらいながら、「フィーリング」や「価値観」といった部分を感じてもらいたいなと思っています。

安田

接客で悩んだら、マハロコで働く岩上さんを見て、何かヒントを得て、それを自分のサロンに活かしていく。そんなイメージですか?


岩上

そうですそうです。そういう形で全国のハウオリ加盟店とネットワークが作れていったらいいなというのは、ぼんやりと考えていることではありますね。

安田

なるほど。やっぱり岩上さんとしては、お客さんとしっかりコミュニケーションが取れる美容師さんが増えていくことが嬉しいんでしょうね。


岩上

そうなんです。というのも僕は美容室って「コミュニティの原点」となる場所であるべきだと思っていまして。「髪の毛を切る」というのがメインなんじゃなくて、本当は「話をする・聞く場所」なんじゃないかなと。

安田

ああ、面白いですね。今のこの時代、そういう場所が強く求められているような気もしますし。


岩上

まさに仰るとおりで。社会的孤立がどんどん進んでいる今、「自分と向き合ってくれる人がいる」というのは大きな支えになると思うんです。お客様と月に1回会いながら、その方の現状や微妙な変化に気づいて寄り添う。これって美容師という職業が果たすべき社会的役割なんじゃないのかなと。

安田

確かに美容室で施術している間は、ゆっくりお話することができますもんね。そうやって「誰かとじっくり話せる場所」が必要な人は多いのかもしれない。


岩上

そうなんです。そういう「居心地が良い」という気分の対価として施術料金を支払う。それが美容室という場所なんじゃないのかなと。ウチでやっている「チケット制度」も、ある意味では心地良さの前払いというか。

安田

なるほどなぁ。ということは今後、ハウオリ導入店がどんどん増えていくことで、お客さんのコミュニケーションの場もどんどん増えていくわけですね。


岩上

そうなることを願ってます。ちなみに余談なんですが、コロナ禍の前にハウオリ勉強会の一環として、各店舗対抗の「豆つかみ選手権」をやったんですよ。1分間にお箸で何個小豆を移動できるかっていうイベントなんですけど。

安田

豆つかみ?! そんなことを美容室でやったんですか?(笑)


岩上

ええ(笑)。各店舗のお客様に、パーマやカラーの待ち時間中にトライしてもらって、その様子を動画に撮影してSNSに投稿していったんです。で、一番多く小豆を移動できたお店には、全国のハウオリサロンからご当地お土産を送ったんです。

安田

それは楽しそうですね(笑)。令和時代の新しいコミュニティのあり方だと言えるかもしれない。


岩上

いやぁ〜楽しかったですよ。選手権をやったことで、お店のスタッフとお客様たちが一体化するんです。そしてこのイベントをきっかけにお店自体がコミュニティ化していきました。こういうところにサービスの本質がある気がしますね。

安田

なるほどなぁ。ハウオリ加盟店のネットワークを使いながら、また岩上さんが新たなアイディアを思いつくこと、私も楽しみに待ちたいと思います!


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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