第66回 ハウオリはスタッフのミスのおかげで生まれた?

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第66回 ハウオリはスタッフのミスのおかげで生まれた?

安田

今日は『ハウオリ』がどんな紆余曲折を経て今に至ったのかについて、深掘りさせていただきたいと思います。そもそもどうやって誕生したんでしたっけ。


岩上

ええと、もともと僕のお店ではトリートメントに力を入れていたんですね。それこそ『マハロコ』ができる前のお店の時から、お客様の8割くらいがトリートメント目的で通われていて。

安田

へえ! それはかなり多いんじゃないですか?


岩上

たぶん普通の美容室さんだと2割にも満たないと思います。今でこそだいぶ「髪質改善」という考え方が一般的になってきましたけど、8割までいくお店はほぼないでしょうね。それで2008年に『マハロコ』をオープンさせて、さらに髪質改善に注力しようと、思い切ってスチームの機械を入れたんですよ。ただ結果的にはこれが大誤算で(笑)。

安田

え? どうしてです?


岩上

端的に言えば、それからの数年でトリートメント技術が劇的に進化して、スチームを使う必要がなくなっちゃったんです(笑)。

安田

ああ〜、なるほど(笑)。せっかく高い機械を入れたのに、入れ損になっちゃったと。


岩上

まぁなんだかんだ2年ほどは使ってたんですけどね。でもそれから3〜4年は放置状態で。で、「何か新しいヘアケアメニューを提案できないかなぁ」と考えていた時にピンと来たんですよ。「あ、スチーム機を使えば可能かもしれない」って。

安田

は〜、なるほど。でも3年以上放置していたわけでしょう? 普通に動いたんですか?


岩上

動きませんでした(笑)。それでメーカーさんに修理に来てもらったんですけれど、「今はこの機械よりももっと進化した機械が出てますよ」って教えてくれて。で、内容聞いてみたら面白そうだったんで、思い切って買っちゃいまして(笑)。

安田

さすが岩上さん(笑)。ちなみにどんな機械だったんです?


岩上

ドライヤーのノズル部分にスチームが連結されていて、ドライヤーの風と一緒にスチームが出るんです。要は、髪の毛を乾かしながらスチームが当てられる。その機械を活用すれば、スチームを軸にした新しいトリートメントメニューが作れそうだなと。

安田

なるほど。ということは、それ以降は薬剤は使わなくなっていくわけですか。


岩上

いえ、使っていました。トリートメント剤を付けて、ロットを巻いて、そこにスチーム当てていくっていう複合的なメニューで。だからお客様にとっては、「髪質が良くなってるのはトリートメント剤をつけてもらっているからだ」という認識だったと思います。

安田

ははぁ、なるほど。でも実際そうだったんじゃないんですか?


岩上

それがですね、あるときこのメニューを施術していたスタッフが真っ青な顔で僕のところに飛んできたんです。「私うっかりトリートメント剤を付け忘れてしまって…」って。

安田

おっと、それは一大事ですね! あとからトリートメント剤をつけてもダメなんですか。


岩上

ダメなんですよね。なのでお客様に正直にお伝えして謝罪しまして。でもその時にピンとひらめいちゃったんですよ。「お代はもちろんいりませんので、ちょっとどういう結果になるか様子を見てもらっていいですか?」って(笑)。

安田

さすがですね〜(笑)。もっとも、そういうお願いができる関係性をお客さんと作れているのがすごいんでしょうね。…それで実際どういう結果になったんです?


岩上

それが「いつもと全く変わらなかったよ」と言われて驚いちゃって(笑)。そこで初めて「スチームだけでも髪質は改善されるんじゃないだろうか?」と考えるようになり、それがやがて『ハウオリ』の誕生に繋がっていくことになるわけです。

安田

なるほど〜! じゃあトリートメント剤を付け忘れたスタッフがいなかったら、ハウオリは生まれていなかったということじゃないですか!(笑)


岩上

そうなりますね(笑)。あとはもちろん、それを許してくださった寛容なお客様がいらっしゃったことも、ハウオリ誕生の重要なカギになりますね(笑)。

安田

偶然が生んだハウオリ、か。いやぁ、面白い! せっかくなので、次回も引き続き、ハウオリ誕生秘話をお聞かせいただきたいと思います。


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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