第117回 「電話問い合わせの多さをシステムで解決」
お医者さん
はい、よろしくお願いします。はい、失礼致します。(電話を切る)
お医者さん
……はあ、まったく最近は電話の数が多いな。事務員だけじゃ対応できず、こうして医者である私まで駆り出されている始末だ。こんなことをするために医者になったんじゃないのに……。
コロナ禍になって以降、電話での問い合わせはどんどん増えているみたいですね。
絹川
お医者さん
そうなんですよ。ワクチンやPCR検査について聞かれたり、「感染が怖いから行けない、どうすればいいのか」というようなお問い合わせも多くて。……って、あなたは?
はじめまして。ドクターアバターの絹川といいます。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
お医者さん
ああ、知り合いのお医者さんから聞いたことがあります。確かシステム導入に詳しい方ですよね。
そうなんです。もともと電カルの導入が専門でして。
絹川
お医者さん
なるほど。まあ、世の中は完全にシステム化の方向ですよね。そんな時代にアナログな電話での問い合わせが増えているんだから不思議な話です。
そうですよね。まあ、医療はシステム化が遅れている業界ではありますし、ユーザー、つまり患者さんは高齢者が中心ですからね。お年寄りはやっぱり、チャットやメールより電話の方がいいんでしょう。
絹川
お医者さん
確かにそうですね。とはいえ、こうも多いと本当に困ってしまいます。事務員を増やした方がいいのかなあ。
それもアリですが、電話対応をシステム化する、という手もありますよ。
絹川
お医者さん
え? 電話をシステム化? そんなことできるんですか?
はい。電話自動応答システムと呼ばれるサービスはいくつも存在します。要件や内容に応じて自動音声で案内を行うものですね。ユーザーとして先生も使ったことがあるんじゃないですか?
絹川
お医者さん
あ! 確かにこの間スマホプランについて問い合わせたとき、自動音声の案内だった気がする。「◯◯を知りたい方は1番をプッシュ」みたいな。
まさにそういうものです!それを病院でも導入可能だということですね。これを入れることで事務員の手間は確実に減ります。
絹川
お医者さん
なるほどねえ。……でも、さっき絹川さんも仰っていた通り、うちの患者さんの多くは高齢の方たちなんです。いきなり自動音声になって大丈夫かな。
そうですね。ですので100%自動応対にするのではなく、必要な場合は今まで通りスタッフと直接話せる形にするのがいいと思います。例えば「予約の取り方」と「発熱外来」に関する問い合わせについてはシステムによる自動応答、それ以外はスタッフに転送、というような。
絹川
お医者さん
なるほどなるほど。それなら大丈夫かもしれない。ちょっと検討してみようかな。
はい、機能を調べてみるだけでも損はないと思います。いずれにせよ今の状態はいろいろもったいないですから。
絹川
お医者さん
ん? もったいないというのは?
問い合わせの電話に対応している間に、新規患者さんからの連絡を取りこぼしている可能性もありますから。話し中で繋がらなければ、別の病院に行ってしまうかもしれません。
絹川
お医者さん
……確かに。その発想はありませんでした。
システムでの応対は複数回線も確保可能なので、そういう意味でも検討する価値はあるように思います。
絹川
お医者さん
そうですね。事務員を増やすよりそちらの方がいい気がしてきました。
はい。いきなり病院全体をDXするのは大変ですが、そういう課題のある部分から少しずつシステム化していくというスタンスでいいように思います。
絹川
お医者さん
課題がある部分から少しずつ、か。なるほど、ちょっと方向性が見えてきました。ありがとうございます!
医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者:ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。