第121回 「お金をかけずにシステム化?」
お医者さん
うーん、いろいろとシステム化が必要なことはわかるんだけど、なんでもかんでもやっていたら費用がもたない……
お医者さん
開業時の借り入れ分もだいぶ減ってきているし……かといって追加の借り入れをお願いするのもなあ。
お悩みのようですね、先生。
絹川
お医者さん
まあね。うちも頑張ってDX化を進めてはいるけど、無尽蔵にお金があるわけじゃないんだし……って、あなたは?
はじめまして。ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしています。
絹川
お医者さん
ドクターアバター? へえ、じゃあ病院のシステム化についても詳しいの?
はい、電カル導入が専門ですので、得意分野です。
絹川
お医者さん
それはいい! 他の病院がなにをどこまでシステム化してるのか教えてくれない?
うーん、それは一概には言えませんね。病院の科目や規模、立地などによってピンキリです。ちなみに先生がお悩みなのは、費用的な部分ですよね。
絹川
お医者さん
……まあ、現実的にはそこだね。できる限りシステム化して生産性を上げていきたいけど、いいシステムにはそれだけ費用がかかるからね。
でも先生、いいシステム=高いというわけではありませんよ。たとえば、市川市役所のニュースはご覧になりましたか?
絹川
お医者さん
市川市役所? いや、知らないな。
市役所とかって待ち時間が長いじゃないですか。結果、待っている人たちで施設内が混雑したり、駐車場の空きがなくなってしまっていた。それを解決するために市川市役所が取り入れた“システム”が話題になったんです。
絹川
お医者さん
ふむ。整理番号発行のアプリでも入れたのかな。それとも自動予約システムとか?
それが、YouTubeでのライブ配信なんです。
絹川
お医者さん
え? YouTube?
はい。呼出番号が表示される画面ありますよね。あれをカメラで直撮りし、それをリアルタイムで配信したんです。
絹川
お医者さん
なるほど! つまりスマホで呼び出し状況が確認できるってことか!
仰るとおりです。待っている人はその場に留まる必要がなくなって、結果混雑は解消された。そして重要なポイントは、この“システム”の導入には、ほとんどお金がかかっていないということです。
絹川
お医者さん
!
病院にも役所同様の診察待ちの問題があると思います。でも先生が仰ったようなアプリやシステムを入れると高い費用がかかる。しかし、市川市役所の方法ならどうでしょう。
絹川
お医者さん
YouTubeは無料だし……使っていないスマホやカメラが一台あれば実装できちゃうな。
そういうことです。もし番号表示のモニターがなければ、ホワイトボードに手書きしたっていい。
絹川
お医者さん
う〜ん、なるほど。アイデア次第で費用削減は可能ということか。
仰るとおりです!そもそもシステムというのは、導入自体が目的ではないんです。何かを解決したり、よりよくするための「手段」に過ぎません。そしてインターネットやスマホが浸透した現代は、その手段をいくらでも工夫できる時代なんです。
絹川
お医者さん
確かにそうだ。システム化は業者に頼むものと思っていたが、その前に自分の頭を使うべきだったな。それに「どうやって解決しよう」と考えるのも楽しそうだ。
はい!ぜひ先生ならではの“システム”を開発してください!
絹川
医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者:ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。