第26回 「なんとなく成長実感がない。その意外な理由は?」
お医者さん
開業して今年で10年か…。今年は新型コロナウイルスのこともあって大変だったけど、今思えば自分のクリニックについてじっくり考える機会にもなったな。
お医者さん
決して悪い10年ではなかった……でも、ある時点で成長が止まってしまった感じがするんだよな。かといって、今の状況から何かを大きく変えるのもなあ。うーん、これからどうしたらいいんだろう。
経営者の「あるある」ですよね。
絹川
お医者さん
まあねえ。結局、ビジネスって一度始めたら走りっぱなしだもんね。なかなかじっくり考える暇もないし。って、どなたですか?
ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしています。
絹川
実際、そういう話をされるお医者さんって多いんですよ。士業もそうですけど。
絹川
お医者さん
そうなの? なんで医業と士業が多いんだろう。
ざっくり言えば、「ビジネスモデルが決まっている」ことが大きいのではないかと思います。
絹川
お医者さん
ん? どういうこと?
医業にしろ士業にしろ、ある程度やることは決まっているわけです。起業する時に「さあ、どんなビジネスをやるかイチから考えるぞ!」とはならないでしょう?
絹川
お医者さん
まあ、それは確かにそうだね。何科をやるか、どんな規模でやるか、くらいか。
細かな部分を見れば各病院いろいろな個性はあると思いますが、「ビジネスを創造する」という経験にはあまり縁がない業界だったわけです。
絹川
逆に言えば、「勝手なビジネスをしてはいけない」ということでもあります。医療ビジネスは国の制度に則ったものですから。しかし、ここに来て少し風向きが変わってきた。
絹川
お医者さん
風向き?
ええ。先生もご存知のように、医療費はもう限界まで膨れ上がっています。国は必死に医療費削減を推進していますから、病院の利益が停滞、あるいは減少していくのは当たり前なんです。
絹川
お医者さん
あ、つまり僕のクリニックもいまその状態ってことか。それで成長実感がないんだ。
そういうことです。つまり、今までのやり方を続けていては、成長できないだけでなく、やがてどんどん衰退していってしまうということなんです。先生が漠然と感じられていたのも、そういった類の危機感なのではないでしょうか。
絹川
お医者さん
そう言われればそうかもしれない。でも、だからってどうすればいいの? さっきあなたが言ったように、僕たちは「ビジネスの創造」には慣れてない。そもそも今のビジネスを継続するだけで、人数的にも時間的にも精一杯なんだよ?
ノウハウやマンパワーを自分のところから捻出できそうもない、ということであれば、シンプルに「外から持ってこればいい」んです。
絹川
お医者さん
外? 派遣さんとかそういう意味?
いえ、そうではなく、「スペシャリストと組む」ということです。たとえば「どんな手を打つか」は医療コンサルに、「こんな人材がほしい」は採用コンサルに、「こんなPRをしたい」は広告運用コンサルに相談するということです。
絹川
お医者さん
う〜ん、でも、なんか自分たちのことを外の人に相談するって、抵抗あるな。お金もいっぱいかかりそうだし。
その感覚はもう古いかもしれません、先生。それに、お金がかかると言ってもあくまで投資ですから。各コンサルは「パートナー」です。先生の経験や実務能力を、彼らの持つノウハウやテクノロジーと組み合わせれば、新しい価値が生み出せるかもしれませんよ。
絹川
お医者さん
例えばどんなケースが考えられる?
メジャーなところでは自費診療です。自費診療で売上が立つようになれば、医療保険制度に頼らずに経営ができます。
絹川
お医者さん
あ、そうか。そういうのも新しい価値なんだ。業界的にはよく聞く話でも、僕の病院ではまだやっていないことだもんね。
そういうことです。他にも、SNSやYouTubeなどネット媒体を使ったPRを始める病院も多いです。また、新型コロナウイルスという観点で言えば、いま旬なのはリモート診察でしょうね。
絹川
お医者さん
なるほどなるほど。なんとなくイメージ掴めてきたよ。「ビジネスを創造」っていうとすごく大きなことに思えちゃうけど、専門家の協力があれば比較的スムーズに導入できそうだね。
そうなんです。他人の力を借りることに抵抗感のあるお医者さんは多いんですが、そこで意地を張っていてもあまり意味がありませんから。どんどん他人を頼って、どんどん成長していけばいいんです。
絹川
お医者さん
…それはわかった。でもよく考えたら、僕にはコンサルの知り合いなんていないんだよな。まったく面識ない人に頼むのはさすがに怖いし。あなた、誰か紹介してくれない?
私なら全部できます。経営でも人材でも広告運用でも、何でも相談してください!
絹川
お医者さん
え、そうなんだ!それは話が早いね。さっそく相談に乗ってよ!
医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者:ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。