医師の働き方改革〜お医者さんは、なやんでる。 第139回〜

第139回 「医師の働き方改革」

お医者さん
お医者さん
なになに……医師の働き方改革??? 勤務医の時間外労働が原則年間960時間に、か。
お医者さん
お医者さん
まったく、何を言っているんだか。「残業になってしまうので緊急手術は明日にします」なんて言うんだろうか。まあ、どちらにしろうちのような開業医には関係のない話だろうが。
いやいや、そうでもありませんよ先生。意外と影響はあるはずです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
おや、君は確か、ドクターなんとかの……
ご無沙汰しています。ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、そうだそうだ。ドクターアバターの絹川さんだ。……それにしても、意外と影響があるってどういうこと?
確かに経営者である先生には直接関係はありませんが、先生のところにも勤務医さんがいるでしょう?
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
勤務医ったって、非常勤だよ。ときどき来てもらうだけだから、残業が960時間を超えるなんてあり得ないさ。
いや先生、「通算960時間」なので、わかりませんよ。その非常勤医師さんは他の病院でも働かれているでしょう?もしかしたら3つ4つの病院を掛け持ちされているかもしれない。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
む、確かにそんなようなことを言っていた気がする。
ですから場合によっては残業時間の上限に達してしまって、これ以上働けませんなんてことが起こるかもしれない。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
それは困る!……なるほど、そういう意味では確かに影響があるかもしれないな。
それだけじゃありませんよ。ご自身で開業されている先生はピンと来ないかもしれませんが、勤務医の中には残業代で何とか稼げている、という人も少なくありません。つまり残業時間に上限が設けられるとむしろ困るってことです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ……最近は医者の給与も下がり気味だって言うし、確かにそうかもしれないな。
ええ。そうして稼げなくなった彼らは、もしかしたらクリニックの開業に踏み切るかもしれません。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なんと!
クリニックが増えるというのは、先生にとっては単純にライバルが増えるということです。これはこれで大きな影響だと思います。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど……そんな視点では見ていなかった。
もちろん全員が開業するわけじゃないでしょうけど、それでも転職者は確実に増えるでしょうね。先生のところに来てくれている非常勤医師さんも、身の振り方を考えるかもしれない。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
いや、それは困る。いったいどうしたらいいんだ?
業界、というより国全体の方針ですので、ある程度は仕方のない変化だとは思います。対策としては、いわゆるDX化を進めて医師の担当業務を減らしていくこと、あるいは医師以外のスタッフに業務を分担するタスクシフティングなどが考えられますね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど、やっぱりそういう方向に行き着くんだな。もはや人手不足は避けられないと。
仰るとおりです。そうならないように無理をするのではなく、そうなった場合にも対応できる環境を整えておくことが重要なんです。今こそ医師の作業一極集中を変革するときなんですよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
うーむ、なかなか壮大な話になってきたが……逆に言えば、そうやって真剣に取り組まないと大変なことになってしまうということなんだろうな。
そういうことですね。ある意味では新しいことにチャレンジするいいタイミングです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほどな。うん、ちょっと今度相談に乗ってくれないかな。うちのクリニックも時代に合わせて変えていかないと。
もちろんです!お任せください!
絹川
絹川

 

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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