「今こそフリーランス医になろう」〜お医者さんは、なやんでる。 第77回 〜

第77回 「今こそフリーランス医になろう」

お医者さん
お医者さん
祖父の時代からあったこの病院も、私の代で最後になるとはな。まあ、もともと過疎が進んで患者数も激減していたし、そこに加えてコロナ禍だ。
お医者さん
お医者さん
私自身、もっと外の世界を見たいと思っていたから、ちょうどいい機会だったのかもしれない。ともあれ、今後のキャリアについては悩むところだ。ひとまずどこかの病院に雇ってもらうか、あるいはもう少し都会に出て自分の病院を作るか――
勤務医か開業医か、ということですね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ。医師の選択肢はその2つしかないからな。って、あなたは確か――
ご無沙汰しております。ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、そうだったね。ともあれ、あなたがいつも相談に乗っているのは、“現在病院を経営している医師”だろう? 医師のセカンドキャリアは専門外じゃないのかね。
そんなことはありません。オーナー医師だけじゃなく、現場の勤務医さんともよく話しますからね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふうん。そうかね。で、絹川さんはどう思う? やっぱり一度どこかの病院に入った方がいいんだろうか。
そうですね。確かに外の現場を見るのは大事ですよね。新しい技術の習得にもつながるし、人脈も自然とできてくる。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
うんうん、やっぱりそうだよな。最終的に自分の病院を作るにせよ、その前にいろいろと吸収しておくべきだと思ってたんだ。ということはやっぱり、選ぶべき道は勤務医だ。
そこですが、フリーランス医というのはどうでしょう。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
フリーランス医?
はい。勤務医のメリットは、特殊な症例に立ち会えるとか、最先端の医療機器を使えるといったところですが、一方で人間関係のコストは高い。医師とは言えサラリーマンの立場ですから、組織のために尽くしていないと昇進もできないですし。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふむ。まあ確かに、今まで病院のトップとして過ごしてきた身からすると、窮屈そうではあるな。
それに、そもそもの話、いい働き口がすぐに見つかるかもわかりません。政府の露骨な医療削減方針もあって、今はどの病院も財政的に厳しくなってます。医師を増やすどころか、むしろ減らそうとしている病院も多いでしょう。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
む……でも、そうかもしれないな。うちだって経営難が原因で廃業することになったわけだし。
一方、フリーランス医を考えてみましょう。フリーランス医は勤務同様、特殊な症例に立ち会うことも最先端の医療機器を使うことも可能です。それでいて雇用関係はありませんから、組織に縛られることはありません。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
まあ、そりゃそうだ。
雇用関係を結ばないとうことは、病院側にとってもメリットです。正社員として医師を増やすのに比べると、フリーランス医を迎え入れる負担は軽いものですから。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
まあ、言っていることはわかるよ。だけどそれは、いつ契約が切られるかわからない、という不安と隣り合わせだ。気づいたら無職、みたいなことにもなりかねない。
そうですね、もちろんリスクがないわけではありません。でも考えてみてください。フリーランスなんですから、空いた時間は何をやっていてもいいんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
何をやっても……?
そうです。正社員と違って、別に1つの病院に縛られることはありません。2つ3つの病院と契約しても誰も文句は言いません。あるいは、週の半分は医師以外の仕事をしてみるというのもおもしろいですね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
……なるほど。確かにそうだ。すべての時間を「医師」として過ごさなくてもいいんだな。もっと自由な発想を持って、いわば「これからの人生をどう過ごすか」という視点で考えたほうがいいと。
仰るとおりです!そういう意味で考えれば、選択肢は無限なんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
確かにそうだ。うん、いい気づきを与えてもらった。ありがとう!

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医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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