第150回 なるべくしてなった!総下流

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第150回「なるべくしてなった!総下流」


安田

Facebookが社名変更しました。

久野

はい。Metaですね。

安田

ちょっと前にFacebookでは社内告発があって。「社名を変えて逃げようとしてる」ってネットに書き込まれてました。

久野

それはないでしょう。

安田

専門家の人たちはFacebookの次世代戦略だと評価してます。

久野

私もそう思います。Facebookは10代、20代にあんまり受けてなくて。将来的にユーザーが減っていくことを考えての戦略でしょうね。

安田

そのための社名変更ってことですか。

久野

商品名=会社名って、今までは良かったと思うんです。ただここからは、もうちょっと業務を広げていくというメッセージ。

安田

GoogleもAlphabetになりましたよね。

久野

はい。狙いは同じだと思います。

安田

Googleほど知名度の高い会社はないと思うんですけど。それでもあえて社名を変えるってすごい決断ですよね。

久野

そう思います。

安田

でもネットユーザーは「名前を変えて逃げようとしてる」という意見が多くて。

久野

一部の人の意見だと思いますよ。

安田

何にでも否定的なコメントをするユーザーっていますもんね。

久野

はい。冷静に考えればそんなわけがないので。

安田

社名変えたってFacebookだってことは、みんな分かるわけですからね。

久野

そう思います。商品名やサービス名は残るわけで。

安田

単純に「次のステージに行くぞ」っていう成長戦略だと。

久野

はい。

安田

世界のトップ企業にまでなった事業を自己否定して。

久野

そこが凄いですよね。

安田

社名を変更したら GAFAじゃなくなってしまいますけど。

久野

ほんとですね(笑)GAFAどうなっちゃうんでしょう。

安田

GAFAほどの会社でも「今の事業がどこかで終わる」って考えてるわけですよね。脱皮して次のステージに行こうとしてる。

久野

はい。凄いです。

安田

日本の大企業はいつまでも三井だ、住友だってやってますから。銀行のシステムひとつでも派閥争いばかりで。

久野

トヨタ自動車が社名変更するみたいなもんですから。なかなか出来ないです。

安田

Metaっていう社名は仮想現実事業を極めていく宣言らしいです。ちょっとイメージが湧かないんですけど。本気なんでしょうか。

久野

完全に本気ですよね。普通の人が見えない未来を見てます。

安田

だとしたら日本の大企業はもう追いつけないですね。付加価値つけた冷蔵庫とかつくってる場合じゃない。

久野

現場の努力としては正しいと思います。ただ経営者はもっと先を見ないといけない。

安田

経営者はもっと次元の違う戦略を考えないと駄目?

久野

はい。難しいでしょうけど。

安田

仮想現実とか言っても「なに空想の話してるんだ」って言われそう。

久野

日本企業は後追いが基本なので一手遅れてしまいます。世界のトップはいま儲かってる事業を踏み台にして考えてる。

安田

社名にこだわってちゃダメですよね。

久野

まあ、うちの会社でも社名を変えるの嫌なぐらいですから(笑)

安田

そろそろ変えましょうよ(笑)

久野

変えられないですよ。

安田

東海地区一番を目指して「とうかい」にしたんですよね。

久野

そういう壮大な目標です。

安田

今や全国レベルを目指してるから「ぜんこく」っていう社名にしましょうよ。

久野

せめて「にほん」とか(笑)

安田

でも冗談じゃなく、本気で考えないと先はないですよね。

久野

日本企業の体質改善は必須ですね。

安田

大企業のフットワークが悪いことも問題ですけど。人が何かチャレンジするとか、新しいことやるっていうと、どうも否定的に見る人が多い。

久野

それがイノベーションの足を引っ張ってます。

安田

選挙で維新が躍進してましたよね。

久野

大阪では凄い人気です。

安田

それだけ人気がある大阪でも都構想は否決されちゃうわけで。いちばん要の政策なのにやっぱり現状維持を望むっていう。これは国民性でしょうか。

久野

国民性でしょうね。新しいこととか変化することは、とりあえず否定しておきたい。

安田

日本からイーロン・マスクみたいな人は出てこないですか。

久野

難しいですね。

安田

「仮想現実事業をやるぞ」って人が出てきても、堀江さんや前澤さんみたいに叩かれちゃう。

久野

とにかく異分子を嫌うムードがありますから。

安田

海外に行っちゃう日本人も多いですよね。

久野

海外でやった方が批判もないし一緒にやってくれる人も多いです。

安田

久野さんも業界では珍しく、どんどん新しいことをやるタイプじゃないですか。

久野

それしかないですから。

安田

でも士業って、あんまり目立ち過ぎると叩かれそうで。業界の中で嫌われちゃったり、足の引っ張り合いをしたり。

久野

それは士業に限った話じゃないと思います。

安田

どの業界も一緒だと。

久野

私は子供の頃から経験してますね。みんなと違う動きをすることに対して、ほっといてくれない。

安田

確かにそうですね。

久野

なんとか引きずり戻そうみたいな。そういうのを小学校のときから経験してるので、もう慣れちゃってます。とにかく「同じ方向に行かせる」という圧力がすごい。

安田

よく世界第2位の経済大国になれましたよね。たまたま時代の流れと合ってたんでしょうか。

久野

同じものをひたすら生み出すことに関しては、日本人はめちゃくちゃ得意なので。人口も爆発的に伸びてましたし。タイミング的にも車や家電がちょうど出てきた頃で。

安田

作れば売れる時代でしたよね。

久野

はい。でも変化させていく時代になると、同じ指向性は強烈にネガティブに働きます。

安田

仮に日本の人口が減ってなかったとしても、足の引っ張り合いをやってるようではダメだと。

久野

厳しいでしょうね。

安田

日本人が得意なビジネスもどんどん海外に流れてます。

久野

はい。得意分野がなくなっちゃった。終身雇用や年功賃金も、同じものたくさん作るビジネスでは有利なんです。人が辞めなくなるので安定供給できるから。

安田

でも時代が変わると合わなくなってきた。

久野

しかも変化していく人の足を下から引っ張るわけですから。

安田

1億総中流が総下流になっても不思議じゃないですね。

久野

なるべくしてなったという感じです。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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