社員に経営意識を持たせようとする社長は多い。だが多くの場合それは失敗する。私の実感では99%不可能である。なぜなら彼らは経営者ではないから。当たり前だと言われそうだが、その当たり前を理解していない経営者はじつに多い。よその子に対して自分の子と同じ意識を持てという方が無理なのである。
社員は家族だと宣言している社長にお聞きしたい。社員の子供たちの学費も払うのですかと。社員の子供たちに株式相続する準備はしていますかと。「そんなことするわけがないだろう。他人なんだから」という声が聞こえてきそうだ。おっしゃる通り。社員は他人なのである。まずこの事実を認めよう。
社長はみんなの会社だと思いたい。だが社員から見た自分の会社は「私が所属している会社」であって「私の会社」ではない。では彼らから見ると誰の会社なのか。言うまでもなく株主である「社長の会社」なのである。他人の会社の経営意識など持てるはずがないではないか。ある方がおかしいだろう。
経営者が社員に持たせるべきはそのような経営意識ではない。では経営意識などなくても良いのか。いや、良くない。それどころか、かなりまずい。働く上でも、生きていく上でも、人には経営意識が不可欠だ。それがないと自立できない。収入が増えない。幸福度も豊さもどんどん遠のいてしまうだろう。
どんな職種の人であろうと持っていなくてはならないもの。それは自分の人生に対する経営意識である。これを手放してしまった瞬間に自分の人生は自分のものではなくなる。では人生の経営意識とは何なのか。それは自己責任の承諾である。給料が安いことも、税金が高いことも、自己責任だと捉えるのだ。
会社が儲からないことに責任を感じる必要はない。それは経営者の自己責任だ。だが給料が安いのは会社の責任ではない。力があるなら転職しない自分の責任だし、力がないならもちろん自己責任である。税金が高いのは国民への保障が手厚いからであり、自分もその恩恵を受けて生きている国民なのである。
「もっと経営意識を持て」と社員に言いながら政治家を罵っている経営者は多い。それは実力不足なのに経営者を罵っている社員と同じだ。業績が悪いのはひとえに経営者の自己責任である。すべての人が持つべきは人生への自己責任だ。どんな人生であろうとそれを経営しているのは自分自身なのである。
尚、同日配信のメールマガジンでは、コラムと同じテーマで、より安田の人柄がにじみ出たエッセイ「ところで話は変わりますが…」と、
ミニコラム「本日の境目」を配信しています。安田佳生メールマガジンは、以下よりご登録ください。全て無料でご覧いただけます。
※今すぐ続きを読みたい方は、メールアドレスとコラムタイトルをお送りください。
宛先:info●brand-farmers.jp (●を@にご変更ください。)
















