第44回 「これからの病院経営に最も重要な1つのポイント」
お医者さん
ああ、ここのところ売上も患者数も減る一方だ。もともとの景気の悪さに、新型コロナウイルスが拍車をかけた感じだ。
お医者さん
病院は今や、クラスターが発生しやすい場所、として認識されてしまっている。これまで来院してくれていた患者さんも、今は感染を恐れて来院を控えてしまう。
お医者さん
こうなってみると、病院というのが「待ちのビジネス」だいうのが痛感されるな。……私達はただ、患者さんが来てくれるのを待っていることしかできない。
そんなことはないと思いますよ。
絹川
お医者さん
ん？ 誰だね君は。
初めまして。ドクターアバターの絹川と申します。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター（分身）」としてお手伝いをしています。
絹川
お医者さん
医療コンサルタントのようなものか。だが、いまあなたに相談できるようなことはないよ。これは業界全体の課題で、私個人がどうこうできることじゃないんだから。
「待ちのビジネス」という話ですよね。先生、それはこの業界に長い間関わってきたベテラン先生ほど、勘違いしやすい部分なんです。
絹川
お医者さん
勘違いだと？ 一体何を言っているんだ。事実病院は「待ちのビジネス」だ。私たち自らが体調不良の人を作り出すことはできない。
お医者さん
……いや、私は何を言っているんだ。我々は皆を健康にするために存在するんだ。患者が増えることを望んでどうする。
先生は医師であると同時に経営者ですからね。皆を健康にしたい、でも売上も大切だ、という板挟みになりがちです。
絹川
お医者さん
そうなんだよ。……でもまあ、そういう道を選んだのは自分だからね。我慢するしかない。
それが先ほど言った「勘違い」なんです。今はもう、我慢する必要がないんです。
絹川
お医者さん
どういうことだ？
ズバリ言えば、病院自ら集客を行うことができる時代だということです。
絹川
お医者さん
集客って…。だからさっきも言ったように私たちは皆を健康にすることが……
先生は、自分の病院のごくごく近隣の方だけを想定していませんか？ 他市や他県、あるいは海外にまで視点を広げてみれば、患者さんは無限にいます。
絹川
お医者さん
……仮にそうだとしても、そんな人をどう集客するというんだね。
インターネットを使った発信です。ネットには県境も国境もありません。つまり「待ち」の姿勢を捨て、自ら情報を提供していくのです。
絹川
お医者さん
情報って、一体どんなことを？
それは一概には言えません。病院の強みや先生の想い、スタッフ紹介など、様々な企画が考えられるでしょう。YouTubeなのかTwitterなのか、病院HPを使うのか、などによっても違います。このあたりはしっかり時間をかけて考える必要があります。
絹川
しかし何より重要なのは、先生の意識を転換することなんです。
絹川
お医者さん
意識を転換？
はい。病院ビジネスも、時代とともに変化させる必要があるんです。どんなビジネスでも、新たな付加価値を見つけ出し、それを上手にマーケティングできた会社が勝つでしょう？
絹川
お医者さん
まあ……そう言われればそうだな。当たり前のことだ。
そうなんです。当たり前なんです。そして早い病院は既に、新しい時代の経営に乗り出しています。中には「病院は病気になってから来る場所」という前提から変え始めているところもあります。「病院は“もっと健康になるための場所”なんです」という発信をしているんです。
絹川
お医者さん
ううむ、なるほど。そんな発想はなかった。
あるいは、医師が医療に関係のない趣味のYouTubeをはじめて人気だという話も聞きます。結果、その噂を聞いた患者が来るようになって、売上も上がったと。
絹川
お医者さん
ちょっとわかってきたよ。病院は既に「待ちのビジネス」ではなくなってきたということなんだね。
その通りです！その意識の転換ができれば、今後の打ち手も変わってくると思いませんか？
絹川
お医者さん
確かにそうだな。……よし、うちもどんな発信ができるかを真剣に考えてみよう。もしよかったら、一緒に企画を考えてくれないか？
喜んで！よろしければこんなサービスも始めたので、ご活用ください。
絹川
医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者：ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。
