第58回 「競合が多くてしんどい…」
お医者さん
そう離れていない場所に新しい内科クリニックができるらしい。また競争相手が増えるのか…。
お医者さん
一節によると歯医者やコンビニより内科が多いとも聞く。どうすればこのレッドオーシャンから抜け出せるのか…。
確かに病院の中でも内科は競争が激しいですよね。
絹川
お医者さん
そうなんだよ。この辺りにはそんなに多くなかったんだけど、ここ数年でタケノコのように次々新しい内科クリニックができて……って、あなたどなたです?
はじめまして。ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
お医者さん
ふうん、アバターねえ。医療コンサルタントみたいなもの?
そうですね。お医者さんって皆さん当然優秀なんですが、「経営」については意外と知らないので、そのお手伝いを。
絹川
お医者さん
ふうん。じゃあ、今の私の悩みはどうです? 何かいい解決策がありますか。まあ……ないと思うけど。
そうですね、私が先生の立場なら、真っ向勝負はしないでしょうね。
絹川
お医者さん
うん? 真っ向勝負はしない? それってどういうこと?
同じ条件で戦わないってことです。先生の仰るように内科はとんでもないレッドオーシャンです。だったらここを抜けてしまえばいい。
絹川
お医者さん
あのね……簡単に言うけどそんなの無理だよ。私は内科医で、ここは内科クリニックなんだから。
ええ、それはわかっています。内科クリニックのまま、別のオーシャンに移動するのです。
絹川
お医者さん
ちょっと……何を言ってるのかわからないよ。
たとえば、「地域初の無人内科クリニック」を始めるというのはどうでしょう。
絹川
お医者さん
は?
オンライン診療システムなどを活用した、次世代のビジネスモデルです。海外では既に実用化が始まっています。これをいち早く実現すれば、先生のクリニックは地域だけじゃなく全国的に有名になるでしょう。
絹川
お医者さん
ちょ、ちょっと待ってくれよ。話が飛躍しすぎててついていけない。
そうかもしれませんね。でも私が伝えたいのは、経営を考える時はそれくらいの視野で考えるべきだということです。「内科」「この地域」という範囲内で考えていては、なかなか大きなイノベーションは起こせませんから。
絹川
お医者さん
…なるほど、皆が同じことをしているから競争になる、ということか。言われてみればこの上なく当然のことだな。
病院だって、普通の企業と同じです。「新ビジネス」「新商品」をどんどん開発して、どんどん変わっていくべきなんですよ。
絹川
お医者さん
確かに。そういう目線で見れば、「無人クリニック」というのもそれほど非現実的に感じなくなるな。無人なら小さなスペースでも可能だろうし、確かにあなたの仰るように、話題になって取材が来るかもしれない。
ええ。先生のクリニックの新規患者獲得にも繋がるでしょう。そしてクリニックで無人サービスにも登録してもらう。そうなれば良い循環が作れます。
絹川
お医者さん
なるほどなあ。いずれにせよ私の手元にはノウハウがたまるし、それをパッケージ化して他のクリニックに売ってもいいわけだ。
それめちゃくちゃいいですね!
絹川
お医者さん
ありがとう、なんだか楽しくなってきたよ。視野を広げていろいろ考えてみよう。
医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者:ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。