「雇われることに恐怖はないのか」【読むPodcast | ゲリラマーケティング】

第462回「雇われることに恐怖はないのか」
というテーマで議論してみました。
雇われない不安と雇われる不安。
皆さんどちらが大きいと思いますか?
栃尾

こんにちは。安田佳生のゲリラマーケティング。ナビゲーターの栃尾江美です。

金子

金子亜佑美です!

栃尾

えっ?(笑)

安田

安田佳生です。

金子

言うこと忘れちゃいました(笑)

栃尾

(笑)

安田

(笑)前回の「会社とフリーランスの関係が変わる」ということに関して、金子さんはいまいちしっくりきてないっていうことなんで、今日はその話をしたいなと思いますが。

栃尾

はい。

金子

ありがとうございます。しっくりきてないつーか、たぶん私の固定観念がすごく強くって、以前から、会社っていうものはいい社員をとっておいて、自分の、特に、なんていうんですか、誰でもできるような仕事を外部の方におまかせするっていうような仕組みだと認識をしていたので、それが違うっていうか、安田さんの見立てとはちょっと違っているということなんですよね。

安田

おおむね合ってますよ、その金子さんの認識で。なんていうんでしょう、外部の人には、重要じゃない仕事を発注するっていうと語弊はあるんですけど、たとえば弁護士さんとかに関しては、「社内ではできない仕事なんでプロに頼んでる」みたいなとこもあるんですけど、だけど、おおむね正社員に重要なとこをやらせ、パートタイマーとかアルバイトとかって、フリーランスも含めて、そのへんにはそんなに重要じゃない、「一応人手がありゃこなせるだろう」っていうところをこなしてもらうっていう、それは間違ってないと思う。おおむねそういう社会がずっとつづいてきたんで。だけど、それはおそらく終わっちゃうだろうなというのが私の予想でして、それは働く側からすると、優秀な人ほどひとつの会社に頼りきる不安っていうかリスクを考えるならば、「自分の能力にさらに磨きをかけて、いくつかの会社をかけ持ちしたほうがよっぽど安定するよな」っていうふうに考えると思うんで、優秀な人ほど。

栃尾

うん。

金子

なるほど!

安田

だから、会社が囲い込みたくても、残念ながら囲い込めなくなっちゃうってことなんですよ。

金子

なるほどー。

栃尾

「ひとつの会社で、その世界しか知らないっていうことに、優秀な人ほど不安を覚える」みたいなことはよく聞くなあという気はしますね。

金子

そうですか!は~。

栃尾

安定するというよりは、「外の世界を見ないことには自分の実力もわからない」みたいな印象なのかなと思ったんですけど。「フリーになって、社員になって、フリーになって、社員になって……」みたいな人も最近増えてるなっていう印象です。

金子

ふーん。

安田

そうですね。そういう人もいますね。

金子

へぇ~。

安田

いまね、結構有名な大企業とか、銀行とか、大手の自動車会社とか、たとえばパナソニックみたいな日本を代表するような会社でも早期退職制度っていうのがありまして、40とか45になると、「退職金を5,000万ぐらい払うんで、辞めてもらえませんか?」っていうふうに“肩たたき”をするわけですよ。

栃尾

はい。

金子

こわっ!

安田

なんでかっていうと、日本って終身雇用制なんで、仕事ができなくても解雇できないんですね。

栃尾

はい。

金子

あ~。

安田

「仕事ができないっていう理由では解雇できない」っていうのが日本の法律なんですよ。

栃尾

そうですよね。

安田

たとえば営業マンとして雇われて、売上がゼロでもクビにならないんですよ、日本って。たとえば「会社に来ない」とかになったらクビになるんですけど、会社に来て一生懸命やってるのに売れないのは、「それは会社の商品が悪いよね、会社の育て方が悪いよね」っていう。

金子

そうなんですね。

安田

そうすると、国内だけでやってるときはよかったんですけど、世界中の企業と戦ってると、そういう、できない人の人件費を抱えながらやってると勝てなくなってきたんですね。

栃尾

はい。

金子

うーん。

安田

だから企業としては、このへんのできない人をザバーって辞めてもらい、できる人だけを社員として残していきたいっていうのが本音なんですよ。

栃尾

はい。

金子

ああ、まあそうか。

安田

で、実際にどういうことが起こってるかっていうと、「退職金5,000万払うよ」って言うとですね、辞めたくない人も当然いるんでしょうけど、自分に自信がある人は「5,000万もらえるんだったらチャンスだ」と思って、辞めていくわけですね。

金子

あ~、ほぉー。

安田

実際に募集すると第1期の募集とかはあっという間に、数時間でいっぱいになっちゃうんですよ。

金子

えーっ。

栃尾

へぇ~。

安田

1時間かからないうちに「はい、もう締め切り」みたいになっちゃって。

金子

そうなんだ。

安田

で、実際にどういう人が集まるかっていうと、会社が辞めてほしくない人から順番に辞めてっちゃうんですね。

金子

ですよね(笑)

安田

で、当然なんですけど、5,000万もらっても辞めないっていうことは、「5,000万を捨ててでも会社にしがみついてたい」ってことでもあるんで。

栃尾

たしかに。

金子

うん。

安田

結局、リストラをくり返せばくり返すほど、できる社員が社外に出て、できない社員が残っていくっていうことになっちゃうんですよ。で、この「できる社員」が出てって「さよなら」で済むかっていうと、やっぱり優秀な人もいないと回らないんで、会社って。

栃尾

はい。

金子

うん。

安田

「じゃあ、辞めるんだったら、外部のフリーとしてうちの仕事を手伝ってくれない?」みたいなことになってきてるんですよ、実際。

金子

あ~、辞めた方も引き抜くっていう形なんですか。

安田

引き抜きはしないで、外注として仕事を受けてもらうっていう。

金子

あ、外注か。なるほど。

安田

いままでだったら、特に大手なんかは「辞めるんだったら二度とうちの敷居はまたぐな」ぐらいな感じだったのが、それじゃ成り立たない。「優秀な人とは、どんな形でもいいからつながってよう」っていうのがいまの常識で。

金子

ふーん。

栃尾

はい。採用に結構苦労してる会社が多いっていうことは、なかなか優秀な人がとれないってことだと思うんですけど、たぶん「社員になってくれなくても、フリーランスなら働いてくれる」みたいな、それで「フリーランスのほうがいい」みたいなケースは多々あるかなって。特にエンジニアとかの話を聞いてると、そういう方はすごい多いみたいですね。「できる人は社員になってくれない」みたいな。

安田

なってくれないし、ある程度稼げるようになったら辞めちゃうんで。

栃尾

うん。

金子

あ~。

安田

そうすると、フリーにならないまでも、転職して給料が増えたら、そっちに行っちゃうじゃないですか。

栃尾

はい。

金子

そうですね。

安田

たとえば、確実に5,000万の利益出してくる人をいま500万で雇ってるとしたら、「うち来たら倍出すよ」っていう話になるわけですよね。

栃尾

はい。

安田

それをくり返していくとどうなるかっていうと、かぎりなく、その人が持ってくる利益と、その人の給料が近づいてくるわけなんで、だんだんと差額がなくなってくるわけですよ。

金子

うんうん。

栃尾

はい。

安田

社員を雇うこともそうなんですけど、「できない状態」から「できる状態」まで先行投資して、給料を払いながら、育成費も払いながら育てるっていうことに価値がなくなりつつあるってことですね。

栃尾

ああ、辞めちゃうからですか。

安田

辞めちゃうから元が取れないんですよね。

栃尾

うんうんうん。

金子

なるほど。はじめて働く若者はどうしたらよいでしょう?

安田

「知らん」って感じですね。

金子

(笑)

 

栃尾

(笑)安田さんがおっしゃってましたよね。「自分のお金を使って勉強したらいいんじゃない?」みたいなことは言ってたんじゃないかなと思うんですけど。

安田

基本的にはそれが世界的な標準で、企業が給料払いながら育ててくれるっていうのは日本だけなんで。

栃尾

うん。

金子

そうか。

安田

それが当たり前だと思ってたのがいままでで、まあ、言ったら、フリーの人だったら、自分でお金出して自分でスキルアップしないことには仕事が取れないんで。

栃尾

はい。

金子

うん。

安田

当然のことながら外注したら高いですけど、その分、育成費用とか採用費用はかからないし、辞められる心配もないので、企業としては読みやすいってことですよね、成果が。

栃尾

うーん。

安田

だから、だんだんそっちにシフトしていっていると。

金子

ああ、なるほど。いままでの固定観念を取っ払っていかないと、今後の稼ぎもなくなっていきそうな不安感がいまあります。

栃尾

うん。

安田

ね。だから、日本だったら面接で新卒の学生を採用すると、「御社はどういう育成システムですか?」とか「どうやって私を育ててくれるんですか?」とか質問しますけど、海外だったらその時点で「帰れ」って言われますよね。

栃尾

なるほどー。厳しい。

金子

そうか……。

安田

「いや、なんで給料を払いながら君を育てなくちゃいけないんだ?」ってことになるんですけど。

栃尾

「どうせ3年で辞めちゃうんでしょ?」っていう感じですよね(笑)

金子

なるほど(笑)

安田

ただ、いままではそこさえクリアしとけば、入れてしまえば辞めずに、一生懸命働いてくれたんでよかったんですけど。

栃尾

そうですよね。

安田

いまは新卒で入っても辞めちゃうんで、企業が自前の社員を育てなくなるであろうっていうことです。元が取れないんで。

金子

なるほど。

栃尾

そうすると社員の人がスキルアップしてきづらい。っていうことは、やっぱり「フリーランスに頼むか」みたいな感じになっちゃいそうですよね、そういう面でも。

安田

最初から育ってる人に発注するか、誰かが育てた人を中途採用するかっていうことになってきますよね。

金子

うわぁ、なんかすごい。

栃尾

ほんとに「どこで育つのか」っていう、ブラックボックスになってきそうな感じですね。

金子

すごい。

安田

それでも「新卒育てるのが好きだ」っていうところはありますんでね。

金子

そっか。

栃尾

はい。

安田

まあ、金子さんの不安はさらに増大してしまいましたが。

金子

いや、でも、なんか、ちょっと楽しかったです。あのー、私は、えーと、学歴の、その、なんていうんですか、学歴……なんていうんですか、学歴の、あの、コンプレックス、学歴とか社歴のコンプレックスが多少あるので、そういう新卒採用じゃなくって、がんばれば上がっていけるっていうのがわかったので、不安もあるけど、がんばろうと思いました。

安田

はい。今日は金子さんがまとめてくれたんで。

栃尾

ありがとうございます(笑)

安田

はい。以上です。ありがとうございました。

栃尾

ありがとうございましたー。

金子

ありがとうございましたー。

*本ぺージは、2021年8月4日、ポッドキャスト「安田佳生のゲリラマーケティング」において配信された内容です。音声はこちらから
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安田佳生
境目研究家

 

 

 

栃尾江美
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金子亜祐美
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