第165回「ヤパンの国(第7話)」

このコラムについて

日本でビジネスを行う。それは「日本人相手に物やサービスを売る」という事。日本人を知らずして、この国でのビジネスは成功しません。知ってそうで、みんな知らない、日本人のこと。歴史を読み解き、科学を駆使し、日本人とは何か?を私、泉一也が解き明かします。

前話(第6話)のお話。
アナンをはじめとした10人の天才仲間たちは、施設から脱出するため、衛兵のストライキを背後から仕掛け、さらに一人の衛兵を仲間にし、無事脱出。10人で今後について話し合った結果、共に理想の国を作ろうとなった。その準備のため、一時的に旅芸人となってヤパンの各地を回り、2年後に再結集することを約束して、散り散りに別れた。


そして2年の月日が経ち、約束の地で10人は再会した。

アナンは10人と会った瞬間、全員が精神的に成長していることがわかった。しなやかさと強さを一人一人から感じ、それぞれが充実した2年を過ごしたことが伝わってくる。

アナン自身も自分の成長を感じていた。旅は人を成長させる。身を隠しながら新しい国を作る候補地を探すため旅芸人になったわけだが、功を奏して、人間的な成長の機会になっていた。

価値観の違う人に出会い、初めての衣食住を体験し、知らなかった生活習慣に触れることで、世界は多様でカラフルだと知った。「自分だけが、特殊な能力を得たばっかりに家族からも見放されて・・」と不幸な境遇にあると思っていたが、そんなことはなかった。自分よりも苦しく辛い目にあっている人がごまんといたのだ。

他の9人も同じような気付きの体験があった。心を読まなくともアナンには自然とわかった。

「さあ、新しい国を作ろう」
アナンの言葉に、全員が深く頷いた。

「その前に、再会を祝して、宴会宴会!」と扇動の天才カショウがいった。「みんなの芸を披露しあおう!」武術の天才ゴラが意外にも提案した。

旅芸人たちの宴会が始まった。それは凄まじかった!笑いあり驚きあり涙あり。人を楽しませる達人に皆が変貌を遂げていた。

宴会は朝まで続くのだった。

(第8話へと続く)
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日本人は旅好きである。JTBが毎年、就職企業人気ランキングの上位に入ることからもわかる。

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著者情報

泉 一也

(株)場活堂 代表取締役。

1973年、兵庫県神戸市生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業。

「現場と実践」 にこだわりを持ち、300社以上の企業コーチングの経験から生み出された、人、組織が潜在的に持つやる気と能力を引き出す実践理論に東洋哲学(儒教、禅)、心理学、コーチング、教育学などを加えて『場活』として提唱。特にクライアントの現場に、『ガチンコ精神』で深く入り込み、人と組織の潜在的な力を引き出しながら組織全体の風土を変化させ、業績向上に導くことにこだわる。
趣味は、国内外の変人を発掘し、図鑑にすること。

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