「VUCA時代がやってくる」〜お医者さんは、なやんでる。 第61回 〜

第61回 「VUCA時代がやってくる」

お医者さん
お医者さん
新型コロナウイルスの影響はすごいな……。知り合いの病院は皆、患者数が減ってしまって大変みたいだ。
お医者さん
お医者さん
その点うちは、まだなんとかなっている方なんだろう。父からこの病院を受け継いだときには、すでに知名度も信頼度も高かったもんな。このまま堅実にやっていけば、売上は多少上下するだろうが、喰うに困るような状況にはならないはずだ。
お医者さん
お医者さん
しかし……なんだろう、このままでいいんだろうか。確かに喰うには困らないかもしれないけど、ワクワクするような喜びもない気がする。僕の人生は、このまま終わっていってしまうんだろうか。
なるほど……先生は「ワクワクするような喜び」を求めていらっしゃるというわけですね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうなんだと思う。まあ、このご時世、そんなことを考えられている時点で幸せだと思わなきゃならないのかもしれないけど。……って、あなた一体どなたです?
こんにちは、ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふうん、いろいろなお医者さんの相談、ですか。どうなんでしょう、やっぱり経営的に苦しいというお医者さんは増えているでしょうか。
そうですね。かなり前から国は、医療費削減という方針を明確に打ち出してますから。医療業界自体がジリ貧なのは間違いないでしょう。そこにコロナ禍がぶつかって、いよいよ倒産する病院が出始めた、というところでしょうか。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
……そうですよね。こんな不安定な状況で、「ワクワクするような喜び」なんて言ってる場合じゃないよなあ。
そうですかね。私としては、むしろ今ほどそういった思考が求められている時代はないと思いますけどね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
え? どうしでですか。
端的に言えば、たとえ現時点で「喰うに困らない」状況だったとしても、たとえば3年後5年後にどうなっているかはわかりません。「VUCA(※)時代の到来」なんて言いますが、要するに先のことがまったく見通せない時代になってきたわけです。
絹川
絹川

※「VUCA」=V(Volatility:変動性)、U(Uncertainty:不確実性)、C(Complexity:複雑性)、A(Ambiguity:曖昧性)の頭文字をとった造語。先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態を指す。

お医者さん
お医者さん
確かにそういう実感は多少あるけど……でも、それと「ワクワク」がどう結びつくの?
つまり、どんな風に時代が変化していくかわからないのなら、1つの事業に100%注力していること自体が「リスク」だということです。つまり、病院経営一本ではリスクが高い。
絹川
絹川
変化が激しい時代は、リスクを複数の事業に分散したほうがいいんです。端的に言えば、病院経営「以外の」事業を始めておいた方がいい。そしてそのモチベーションは「ワクワク」であるべきだと思っているんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
複数の事業……ワクワクがモチベーション……うーん、あまりピンと来ないけど、例えばどういうことなんだろう。
たとえば先生は、車がお好きだと聞きました。何台も旧車を持っていらっしゃるとか。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、そうなんです。車は本当に好きですね。自分でカスタムしたりもするし。
例えばですが、お医者さんを対象とした自動車ファンの会員制ビジネスなどはいかがでしょう。車好きなお医者さんとつながって、情報交換やイベントを開催していく。お医者さん同士だから業界に関する悩みを語り合ってもいい。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
おお……そんなこと考えたこともなかった。医者にできるのは医療行為だけだと思っていたけど、そうか、医者であると同時に僕は経営者でもあるんだな。別に何を商品にしたっていいわけだ。
仰るとおりなんです! 病院だって民間企業のひとつなんですから。
絹川
絹川
実際、先生のように二代目や三代目で、堅実な経営さえしていれば売上面でも困らない、という状況だと、なかなか自分から変化するキッカケをつかみづらい。そして気付いたときには手遅れになっている、ということもあり得ます。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど。VUCA時代にはなおさら、その危険性が高いと。
ええ。さきほどの自動車ファンの話は、単なる例です。でもそれくらい広い視野で、新たなビジネスを考えてみる。そしてそれは、先生自身が「ワクワク」できるようなものであることが重要です。そうすれば楽しみながらできますからね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
うんうん、なんとなくわかってきたよ。どこでマネタイズするかは別として、せっかくなら自分の好きなことでビジネスしたいもんね。
そういうことです。その上で、本業の病院事業とシナジー効果が生まれれば尚良し、という感じですかね。ともあれ、最も重要なのは「医師として」ではなく「経営者として」ビジネスを考えること。そして「ワクワクを大事にする」ということだと思いますね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほどねえ。なんだかもう「ワクワク」してきましたよ。ありがとうございます。
とんでもないです!またお気軽にご相談ください!
絹川
絹川

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医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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