「小さなクリニックほど、サイバー攻撃のリスクが高い?」〜お医者さんは、なやんでる。 第86回〜

第86回 「小さなクリニックほど、サイバー攻撃のリスクが高い?」

お医者さん
お医者さん
ランサムウェアとかいうのに感染して電子カルテが使えなくなった、なんてニュースを見たけど、うちは大丈夫なのかな。
お医者さん
お医者さん
まあ、うちみたいな小さなクリニックを攻撃したってしょうがないよな。ああいうのは総合病院とか大きなところが狙われるんだろう。
いえいえ、そんなことはありませんよ。実は小さなところの方が危険度は高いと言えます。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
え、そうなの? って、あなたは一体?
はじめまして。ドクターアバターの絹川と申します。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふうん。そんなお仕事があるんだね。それにしても小さなところの方が危険度は高いってどういうこと?
そうですね、まず前提として、いわゆるサイバー攻撃の件数は爆発的に増えています。業界に関係なく、全体として増えているんです。中国、北朝鮮、そして最近話題のロシアなども、軍事的にサイバー攻撃を行っているんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
うん…まあ、それはそうなんだろうけど、でも海外の国がうちみたいなところを攻撃したってしょうがないじゃない。
もちろん、彼らの目標は政府や大企業です。ただそういったところは予算をかけてガッチリとセキュリティ対策していますから、なかなか入り込めない。なので、中小企業の脆弱なネットをいくつも経由して目標を攻撃する、という方法が取られることがあるんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
な、なんだかすごい話になってきたな。まるでスパイ映画だ。
そうなんです、それが現実になりつつあるわけです。ときに先生、ご自身のクリニックではセキュリティ対策はちゃんとされてますか?
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
う……いや、正直よくわかっていないんだよ。電子カルテを導入したときに、一緒にウイルスソフトも入れているはずだけど。
なるほど、一度ちゃんと確認したほうがいいでしょうね。中小企業や小さなクリニックでは、パソコンのウィルスソフトの期限が切れてもそのまま使っているケースがよくありますから。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
うーん、そう言われると自信がないな。……あ、いま思いついたけど、そもそもネットに繋げずに運用すればいいんじゃないの? 院内の情報がわかればそれでいいわけだし。
確かにそれも一つの手ではあります。本当に重要な機密情報については、オフラインで管理すべき場合も多いです。一方で、ネットに繋げることで初めて使える機能も多いわけです。効率化や拡張性などを考えると、やっぱりオンラインでの運用ができた方がいい。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど。結果、セキュリティ対策をした上でオンライン運用するのがいい、という解になるわけか。
そう思います。さらに言えば、「安全に対してコストを払う」ということを、日本人はもう少し真剣に考えた方がいいと思っています。道端で野菜売っても盗まれないぐらい安全な国ですから、なかなかそう思えないのもわかるんですけれど。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
まあ、ネットの世界に国境はないものなあ。事実、気づいていないだけで既にサイバー攻撃を受けているのかもしれないし。
遅かれ早かれ対策は必要になります。であるなら早いほうがいい、というのが私の結論です。自分たちを守るためにも、他の誰かに迷惑をかけないためにも。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほどなあ。でも、そういうのって誰に相談すればいいの?
電子カルテの導入業者に聞いてみるのが早いとは思います。ただ、特定のシステムやソフトだけを扱っている業者さんだと、俯瞰的な提案は難しいかもしれませんね。保険屋さんも、自社の商品しか扱っていないところと、どこの商品でも扱えるところでは、提案の幅が違うでしょう?
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふむ、確かにね。ちなみに絹川さんはそういう相談も受け付けてるの?
もちろんです。お医者さんのアバターとして相談にのるのが私の仕事ですから。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
私と同じ立場で考えてくれるということだね。では今度時間を作って欲しいな。
了解いたしました!
絹川
絹川

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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