第20回 歳を取ってきたら、癌と共生するのが吉

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第20回 歳を取ってきたら、癌と共生するのが吉

安田
今、日本人の死因第1位が「癌」だそうですが。久保さんは、見つかった癌細胞は早くレーザーで取ってしまう方がいいと思われますか?

久保
いやぁ、それについてはちょっと懐疑的ですね。そもそもどんな人の体にも癌細胞は存在しているんですよ。
安田
え、そうなんですか?

久保
ええ。細胞って遺伝子がコピーされていくことで増えていくんですが、その遺伝子の「複写ミス」が癌細胞になるんです。で、その複写ミスされた細胞って、健康な人でも1日5,000個ほど出現するらしいんです。
安田
1日に5,000個も? それは衝撃的な数字ですね。

久保
ただ、正常な免疫力を保っていれば、その複写ミスされた細胞は自然に壊され消滅していきます。だから健康な人にとっては特に心配する必要はない。
安田
ではどういう人が危険なんでしょうか?

久保
免疫力が落ちている人や偏った食生活が続いている人。こういった方は複写ミスの細胞が体内に蓄積されていきがちです。そしてそういう細胞の塊が、癌になる、と。
安田
免疫力低下には、ストレスも大きく影響していそうですが。

久保
そうですね、ストレスは大敵です。あとは食品添加物や糖質の摂りすぎもよくないです。甘い物の食べ過ぎなんてとっても危険です。
安田
でもそういう生活習慣・食生活を送っている人、大勢いますよ。癌になる人が増えているのも納得ですね。

久保
ただ、複写ミスの細胞を壊すのに有効な方法があるんです。
安田
ほぉ、そんな方法があるんですか。それは何か特定のものを食べるとか?

久保
いえいえ、逆です。空腹の時間を作るんです。以前、ファスティングについてお話をした時に、空腹になることで「オートファジー」の機能が働くとお伝えしましたよね。
安田
あぁ、そうでしたね!

久保
オートファジーとはいわば細胞のリサイクル。新しい細胞を作るために古い細胞を壊す必要があるのですが、その「細胞を壊すスイッチ」が入りやすいのが、実は空腹時なんです。
安田
なるほど。古い細胞と一緒に、複写ミスの細胞も壊して排除してくれるわけですね。

久保
そうなんです。だけど多くの人は、お腹がしっかり空いていなくても食事をしがちですよね。空腹の時間がない=スイッチが入らないということは、当然、正常ではない細胞が体内に溜まっていってしまうことにつながります。
安田
そうすると、朝7時に朝ご飯を食べて、12時になったらお昼ご飯。夜も8時頃には夕ご飯を食べる…というような3食規則正しく食べるのは、実際は体にとってあまり良くない。そういうことでしょうか?

久保
ええ、私はそう考えています。たとえば朝起きてお腹が空いていないのであれば、無理して食べる必要はないと思っていますね。
安田
なるほど。ちなみに癌細胞が好む環境ってあるんですか?

久保
ありますよ。低体温・体内の酸性化・高血糖。この3つが揃うと癌細胞は増えやすいと言われています。
安田
じゃあ、人間ドックで小さな癌細胞を見つけてレーザーで取り去ることを繰り返すよりも、癌細胞が嫌いな環境を作って癌細胞自体を増やさないほうがよっぽど良さそうですね。

久保
仰る通りだと思います。
安田
ところで癌細胞は細胞の複写ミスでできるということでしたが、歳を取れば日常生活でもミスは増えますよね? ということは細胞だって老化するに連れて複写ミスが増えるのは、ごく当たり前の現象だという気がします。

久保
確かに日本人全体で見ると4人に1人は癌で亡くなっている計算になりますが、高齢者に限ってみると、この割合はもっと多くなるでしょうね。
安田
そうですよね? だから私は、歳を取ってから発生する複写ミスの細胞は、もはや「癌細胞」ではなく「老化現象」と言ってもいいのではないかと思うわけですよ。

久保
言われてみればそうですね。癌細胞が直接悪さをしたわけでなく、楽しく幸せに生きていたのであれば、その死因は癌だとは言えないのかもしれません。
安田
ある程度、歳を取ってからできた癌とは共生していきたいですね。お友達のように(笑)。

久保
笑。癌を悪者にすることなく、「私の体の大事な一部なんです」と言って一緒に生きていくのが良いかもしれませんね(笑)。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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