第22回 体内の砂糖は、癌細胞が食べてくれる?

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第22回 体内の砂糖は、癌細胞が食べてくれる?

安田
前回は、高血糖の血液が流れ続けることで血管が「糖化」し、焦げたような状態になるというお話でしたね。

久保
ええ。血管が「糖化」して脆くなると、酸素や栄養を細胞まで届けられず、やがて壊死してしまうという。
安田
怖いですねぇ。そもそも血糖値が高くなった時って、体の中ではどんなことが起きるんですか?

久保
血糖値を下げるために、膵臓からインスリンが放出されます。
安田
あぁ、糖尿病の患者さんが食事の後に注射するやつですね。ということは、そういう方はもう自分の体内でインスリンが作れなくなっているわけですか。

久保
仰る通りです。長年ずっとインスリンを作り続けたことで膵臓が疲れ、インスリンが正常に放出されなくなったり、インスリンの働きが弱くなってしまう。だから「薬」としてインスリンを体内に入れなくてはいけないんです。
安田
なるほど。インスリンにはどんな働きがあるんでしょうか?

久保
糖を細胞の中に送り込むのがインスリンです。ブドウ糖を細胞に取り込んだり、脂肪細胞に変えて、血液の中から糖を外に出すことで血糖値を下げるんです。
安田
あぁ、それが自力でできなくなるのが糖尿病というわけですね。

久保
実際はもっと複雑なんですけど、すごく簡単に言えばそういうことです。
安田
ちなみに高血糖の状態って、どういう感じなんですか?

久保
そうですね、例えるなら酔っ払った時と同じような状態です。脱水状態になったり、最悪の場合、意識障害が起きることもあります。
安田
なるほど。肉体的な負担はもちろんあるけれど、精神的にもよくない状態になるんですね。だから糖尿病の方は急いでインスリン注射を打つ必要があるわけですか。

久保
ええ。健康な体であれば自然に膵臓からインスリンが出るので、あまり意識する必要はないんですけど。でも糖尿病の方にとっては死活問題なので。
安田
確かにそうですね。ところで久保さんは以前、「癌細胞は糖をたくさん消費する」と仰っていました。それってインスリンとも何か関係があるんでしょうか?

久保
インスリンは言わば、血糖値を下げるための「ブレーキ」です。でもそのブレーキが糖尿病によって壊れたとなれば、人間の体はどうにかしようとするわけです。
安田
あぁ、そこで癌細胞の登場、というわけですか!

久保
そうです。癌細胞はエネルギーとして糖をすごく浪費します。だから、インスリンという唯一のブレーキを失った体は、代替案として癌細胞を作ろうとするのではないか。そう主張する学者も一定数いるんですよ。
安田
体内に糖が増えすぎた時に癌細胞が出現し、糖を思いっきり使い込んでくれる。安全装置みたいな機能ですね。なんだか癌細胞がいいヤツに思えてきます(笑)。

久保
笑。糖を消費してくれるだけならいいんですけど、同時に大量の活性酸素を出してしまうのが悩ましいところなんですよねぇ。
安田
活性酸素って、正常な細胞を攻撃するんでしたっけ?

久保
適度な活性酸素は免疫系の強力な武器なのですが、過剰な活性酸素は諸刃の剣。だからたとえ糖は減っても、結果的に細胞=体は傷んでしまうんです。
安田
なるほど。要するに、砂糖をどんどん摂ることは、一生懸命癌細胞を育てていることだとも言えるわけですね。なかなかうまくいきませんね(笑)。

久保
もちろん癌になるのが100%砂糖のせい、というわけではありません。以前にもお伝えしましたが、ストレスなどで染色体に傷がついてしまうことでも癌細胞はできてしまうわけで。
安田
老化のせいで細胞のコピーミスが起きて、癌細胞が増えるというお話もありましたよね。

久保
仰る通りです。だから「治らない癌」も一定数はあると思います。ただ、食生活によって癌が育ちにくい環境を作ることもできるはずなんです。
安田
食生活を改善することで癌細胞が減ったり、場合によってはなくなったりする可能性もゼロではない。そういうことですか。

久保
ええ、私はそう考えています。
安田
なるほどなぁ。中でもやっぱり砂糖は危険である、という結論になるわけですか?

久保
そうですねぇ。白い砂糖が一番危険ですが、同じく精製された白米、パン、パスタばかりの食生活もよくありませんね。
安田
あの…ちなみに1日に食べてもいい砂糖の量はどれくらいなんでしょうか。

久保
WHOでは一般的な成人で1日25g以内にすることを推奨しています。とはいえ、体に必要な「糖質」は炭水化物からでも十分に摂取できますから、私は砂糖の状態でなるべく摂らないよう心掛けてます。
安田
う〜ん。そうは言っても楽しく生きるためにはある程度の娯楽がないと……と思ってしまうんですよね(笑)。甘い物を全く食べずに長生きしてもなぁ〜というのが正直な気持ちです(笑)。

久保
そうですよね(笑)。ですからせめて、甘〜いチョコレートをバリバリ食べたり、コーヒーに大量の砂糖を入れたり、缶ジュースをがぶ飲みしたり……まずはそういったことから止めてみるといいかもしれません。
安田
わかりました。やっぱり人間、楽しいことばっかりしていたら、寿命が削られてしまうんですね。肝に銘じます(笑)。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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