この対談について
健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。
第42回 健康診断や人間ドックは、必要ない?
第42回 健康診断や人間ドックは、必要ない?
会社勤めをされている方は、定期的に健康診断や人間ドックを受けられていると思います。でも実は私、もうかなり長いこと受けていないんですよ。というのも、病気を発見したくないからで(笑)。
私も全く同感です(笑)。ちょうど先日も、「久保さんは健康人生塾の塾長なのに、人間ドックも健康診断もやらないんですか?」って驚かれたところでした(笑)。
そうでしたか(笑)。でも真面目な話、早期に病気を発見しちゃうと「俺は病気持ちなんだ…」と塞ぎ込んでしまう気がするんです。そんな状態で何年も生きるより、自分は健康なんだと思いながら過していて、突然「余命2ヶ月です」と言われた方がまだいいような気がして。
そのお気持ち、よくわかります(笑)。とは言え、私は定期的に自分の血液も見ていますし、毛髪ミネラル検査や遅延型アレルギー検査も受けています。そういう意味では、自分のカラダの中で起こっていることは常に把握できていると言えるかもしれません。
ああ、なるほど。でも、それって健康診断を受けているようなものじゃないですか? 同じようなことを調べているような気がするんですけど。
そう思われるのも無理はありませんね。では「血液検査」を例にご説明しましょうか。基本的に病院でやる血液検査は、「数値が正常の範囲にあるかどうか」で判断しています。
「赤血球の数が何個〜何個の範囲であればA判定」というような評価基準ですね。
そうですそうです。例えば「赤血球が100個あれば正常」というガイドラインがあったとしたら、その数値から大きく逸脱していない限りは「異常なし」と判断されるわけです。
逆に異常値だった場合は、「再検査」とか「病気」と診断されると。
はい。判断基準が明確なので、確かに「病気かどうか」のチェックには効果的です。ただ私は、果たして数値だけで正常・異常の判断をしていいのかなと思っていて。
といいますと?
たとえ赤血球が100個あっても、1個1個の質が悪かったら、それは健康だとは言えないんじゃないかなと。赤血球は血管内での栄養や酸素の「運搬」が主な仕事ですが、「運搬能力100%の赤血球100個」と「運搬能力50%赤血球100個」、どちらのほうが「質が良い」かと言ったら…。
当然、前者ですよね。運搬能力が高い赤血球がたくさんある方がいいに決まっている。
ですよね。そういう意味でも、本来は「数量の変化」よりも「1個ずつの質の変化」に注目すべきなんです。ただ日本のお医者さんって、「質」については全く診断しないんですよ。
確かにそうですね。でもそれはどうしてなんでしょうか?
「質の良し悪し」は「目に見える症状=病気」に直結していないからです。要は、お医者さんは、病気にならない限りは手を出さないわけです。
ははぁ。ということは、病院で受けるような一般的な健康診断は「病気を発見することを目的とした検査」だということになりますか。
そう言っていいと思います。一方で「症状が出る前=未病」の状態でもカラダの中では様々な変化が起きている。「赤血球の1個ずつの質」も、食べ物や生活習慣によって刻々と変化しますから。
ああ、なるほど。私も実際に、久保さんの『血液栄養分析ワークショップ』でいろいろな方の血液状態を見せていただきましたが、その変化に驚きました。
ですよね。そういった「未病」のときに起きている変化を確認しながら、病気にならないようにアドバイスをしていくのが、私がやっていることです。
なるほど。病院の血液検査は病気をあぶり出すためで、久保さんのやられている血液検査は病気を予防するため。そもそもの「検査の目的」が違うというわけですね。
はい。病気になってから高額の医療費をかけるよりも、「予防」のためにお金をかけるほうがいいんじゃないですか? という考え方ですね。
なるほどなぁ。確かに今の日本って、みんな気軽に病院に行きすぎな気がします。それによって医療費が国の財政を大きく圧迫していますし。
国民皆保険のおかげで安く医療行為を受けられる。もちろんそれは良いことなんですが、医療行為が必要ない方も気軽に行けてしまうわけで。
国としてもっと予防・未病に力を入れればいいと思いますけどねぇ。
ええ、まったくその通りだと思いますね。
そもそも多くの方が健康診断や人間ドックを受ける理由って「健康でい続けたいから」だと思うんです。でもここまでのお話から考えると、それは健康維持というより、単に病気の発見にしかならないってことですよね。
ええ、そう言えると思います。以前にもお話しましたが、西洋医学は結核やコレラなど外から侵入してくる「菌」が原因の病気は治せる。でも、今社会的に問題になっている病気のほとんどは「生活習慣病」で。それは西洋医学では治せないんです。
生活習慣病というくらいですから、生活習慣を変えない限り根本的な原因は消えない、ということでしたね。
仰る通りです。薬や手術で原因を取り除けない病気なのに、多くの人はお医者さんで治してもらおうとする。
じゃあ健康診断や人間ドックを受けている人は、西洋医学では治せない病気を「早期発見」していることになりませんか?(笑)
残念ながらそうなりますね(笑)。でも先ほども申し上げた通り、今の日本の医療では「未病」の状態を検査することもありませんし、病気の症状が出るまでは何も手を出しませんから。ある意味仕方がないことなのかもしれないですね。
真面目に「健康」について考えるなら、普段からカラダの変化に敏感でいなければならない、ということですね。
ええ。生活習慣病はお医者さんでは治せない。それを前提として、予防のために食生活や生活習慣を変えていく、というのが重要なんです。
対談している二人
久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家
仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。