この対談について
健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。
第55回 食事は本来、楽しむべきではない?
第55回 食事は本来、楽しむべきではない?

先日、久保さんに『完全食だけで6年間生活している35歳の男性』についての記事をシェアさせていただきました。お読みになりました?

笑。なんでも彼の食事は、1日2回・ドリンクタイプの完全食とプロテインだけなんですよね。1回20秒で終わるから、1日の食事にかける時間はたった40秒で済むと。

管理栄養士さんのお話では、咀嚼を全然していないから「唾液が出なくてうまく消化できてない」ことや「顔の筋肉や骨に衰えが出る」ことが懸念事項としてあげられていました。でも、健康診断の結果が悪いわけではないみたいですね。

本当に何の問題もないのかというのは、もう少し長い目で見る必要があるとは思いますけどね。私も実際に「青汁だけ」とか「果物だけ」の食事を10年以上続けている人を知っていますが、それが果たしてカラダに良い食事なのかどうかは、まだ結論が出ていないというか。

食事って、「カラダに良いものを食べて健康になる」というのが大事な目的です。でも、もっと根本的な話で考えると、本来の食事って「命をいただく行為」なんですよ。だからそのことに対して敬意や感謝を持つべきだなと。

ふーむ。つまり彼には、「食事にかける時間がもったいない」とか「もっと効率的にしたい」というような気持ちしかない。たとえ「完全食の摂取」だとしても、それは「食事」なんだから、しっかりと「感謝」をするべきだと。

私はそう思いますね。「命への感謝」を起点にし、そこから「命を大切にしなくてはいけない」という気持ちが生まれる。だからこそその先の、「人を殺してはいけない」というような道徳的な思考に繋がるんだと思うんです。それこそが食育の本来の目的なんじゃないかと。

そうそう。もはや地球上の動植物は人間が食べるためのものばかり、と言っていいかもしれない。となると「命に感謝する」のであれば「動物」も「植物」も区別なく食べればいいんですよ。もっと言えば「牛は良くてクジラはダメ」なんていうのも変な話で。だってどちらも「同じ命」なわけですからね。

なるほど。それでいうと、日本人の昔ながらの食事って、一汁三菜とかいいますけど、わりと質素ですよね。それはつまり「食事=命をいただくこと」だから、「本来は楽しんでするものではない」という考え方が根底にあったんじゃないでしょうか?

そうそう(笑)。極論を言うと、「生きていくために仕方なくいただいております…」という気持ちでプロテインや錠剤を摂取するだけのほうが、かえって「命」への感謝の気持ちを表すことができるとも思えてきます。

確かに仏教でも「貪欲」といいますが、必要以上に食べることは「悪」なんですよね。だから「食べすぎること=命をいただくことを楽しんでいる」ということにつながる、というのは一理あるのかもしれない。

ああ、確かに。例えば昔は当たり前だった捕鯨も、今では大きな批判を浴びるようになったわけで。それと同じで、今後もしかすると「家畜を食べる行為は野蛮だ」というような流れも出てくるかもしれないですね。

まさにそうなんですよ。で、そうなってくると、これからの人類は「完全食だけで栄養摂取する」という方向になるかもしれないなあと。だから「完全食だけで生活している」冒頭の彼は、人類の最先端をいっているのかもしれませんよ(笑)。
対談している二人
久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家
仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。