この対談について
健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。
第78回 病気になりづらいかどうかは「後天的要素」で決まる?
第78回 病気になりづらいかどうかは「後天的要素」で決まる?
これまでの対談で、久保さんからたくさんの「健康にいいこと」を教えていただきました。一方で久保さんは「ただし、人によりますよ」ということもよく仰っていて。
そうですね。「誰かに合う方法が、必ずしも自分にも合うとは限らない」ということは常に意識していただきたいと思っています。
そうですよね。ちなみにそういう個人差はなぜ生まれるんでしょう?
まず1つには「遺伝的要素」があると言えます。肉を消化する酵素を作るのが不得意とか、カフェインを無毒化する酵素が弱いとか、アルコールを代謝する能力が低いとか。「生まれつき」そういう要素を持っているかどうか、ということですね。
ふむふむ。同じ食生活をしていても、遺伝的要素によっては健康になったり不健康になったりすると。
ええ。そう言えると思います。もっとも、遺伝的要素の個体差って5〜15%くらいの割合でしか影響がないとも思っていて。それよりも圧倒的に「後天的な要素」の影響度が高い。つまりその人の今の食習慣、生活習慣、生活環境…こういった要素が、個人の健康状態を決めるんです。
ふ〜む、なるほど。「生まれつき」の要素より、「今の環境」の方が重要ということですね。ちなみにその話を聞いて思い出したことがあります。「片方だけヘビースモーカーだった一卵性双生児が80歳になった時にどうなるか」という海外の記事があって。
ほう、なるほど。随分違いがあったんじゃないですか?
仰る通り、全然違っていました。1人はすごく若々しいおばあちゃんだったんですけど、タバコを吸っていた人はものすごく老けていて、不健康そうでしたよ。
そうでしょうね。一卵性双生児だから遺伝子的にはほぼ同じなのに、健康状態には大きな差が出たと。タバコを吸い続ける生活習慣、まさに後天的な要素が引き起こした結果だと言えると思います。
なるほどなるほど。でも「きんさんぎんさん」のように、双子揃って健康で長生きしている例も多いですよね。それはどういうことなんでしょう。
そもそも双子って、同じ家に生まれ育つわけだから、食生活や生活習慣が似ているんですよね。だから後天的に受ける影響も近しいものになるんだと思います。つまり双子でなくとも、もともと長生きしやすい生活環境だったのかもしれない。
ああ、なるほど。ところで前回の対談でも「寝たきり老人にならないためには生活習慣を整えること」と教えていただきましたよね。つまり、日々の食生活や運動が大事だと言うことですが、遺伝的要素の話にもあったように、健康になる食生活や運動量は「人によって違う」わけで。何が自分に合っているかって、どうやって知ればいいんでしょうか?
そうだなぁ…「食事」という面にフォーカスしてお話するとしたら、「身土不二(しんどふじ)」という考え方が大事なんじゃないかと思っています。
身土不二…どういう意味なんですか?
「人間の体は、生まれ育った土地や環境とは切っても切れない関係。だから土地と体は一緒だよ」という考え方です。つまりその土地で採れたモノを食べることが、体にとっても一番いいんだろうと。
ふーむ…。でも今って生まれた場所にそのままずっと住み続ける人の方が少ないですよね。その場合は、自分のおじいちゃんおばあちゃんが住んでいた土地のモノを食べればいいんですか?
もっと広い視点で考えれば、私たち皆「日本人」ですよね。なので「日本の風土」にあった食べ物、と考えるとイメージしやすいんじゃないでしょうか。
あぁ、そういうことですか。じゃあやっぱり日本人には「和食」が合うわけですね。
私はそう思っています。味噌やお漬物などの発酵食品も「土着の菌」を使っていますよね? そういう食べ物は日本人の体質にも合うことが多いので、健康の維持に役立つということです。
ふ〜む、なるほど。とはいえ最近は日本人の食生活もかなり「洋食化」していますよね。これは日本人の体にとってはよくないわけですか。
「悪い」とは言いませんが、やはり日本人にとっては和食中心の食事の方がトラブルは少ないと思います。
ははぁ、確かにそう言われると当然な気もします。ちなみに肉を食べるのも久保さんとしてはオススメしないですか?
そうですねぇ。これは「遺伝的要素」も大いに関係してくるんですが、日本人の多くが肉を消化する酵素を作る能力が弱いんですよ。だから「体質的に肉食が合わない」という人は多いはずです。そもそも日本人が肉をよく食べるようになったのって、ごく最近じゃないですか。
確かに、牛肉を食べる習慣ができたのって、明治時代に入ってからですね。
そうそう。それまではほとんど肉を食べたことがなかった。だから肉を消化する酵素を作る能力が発達しなかった。そう考えれば、肉食が日本人にあまり合っていないのは当然というか。
なるほどなぁ。そういえば時々「米と大豆製品だけ食べてれば、日本人の健康は事足りるんだ」みたいな意見も聞きます。これについてはどう思われますか?
そこまでいくとちょっと極端ですけどね(笑)。血液や細胞の健康を維持するのに必要なビタミンB12は動物性の食べ物にしか含まれないので、魚なども適度に食べるべきだと思います。ただ、繰り返しになってしまいますが、摂りすぎることによって悪影響を受ける人も多いからこそ、気を付けて食べていただきたいです。
ふーむ。どれくらいの量が自分にとっての適量なのかとか、何を食べるべきなのかとか、それを知るためにはどうしたらいいんでしょうか? 自分の食生活が自分に合っているか確かめる方法を教えていただければ。
以前にもお伝えしましたが、「血液栄養分析検査」を受けるのも1つの方法だと思いますね。血液の状態をみれば「何を食べているから、今こういう状態になっているのか」がわかるんですよ。その因果関係を確認することで、自分の体の特徴も知ることができるというわけです。
自分の体に必要なものがわかれば、食生活も見直すことができて、結果的に健康でい続けられますもんね。血液検査にご興味がある方は、ぜひこちらからお申し込みされてみてください!
対談している二人
久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家
仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。