第87回 消化しやすい食べ物は、民族によって違う?

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第87回 消化しやすい食べ物は、民族によって違う?

安田
私、先日「海苔は日本人にしか消化できない食べ物だ」という話を聞いたんですよ。それでこれはぜひ久保さんに真相を聞かなくてはと思いまして(笑)。これは本当なんですか?

久保
うーん…諸説あるとは思うんですが。確かフランスあたりの研究で、そういう論文が出たことがあるんです。とはいえ検証対象の母数がとても少ないらしく、ちょっと怪しいところではあります。
安田
そうなんですね。そういえばインバウンドの人たちも、お寿司屋さんで普通に海苔巻きを食べてますもんね(笑)。

久保
ですよね(笑)。とはいえ、海苔などの海藻類をこれだけ食べる民族は世界的にも珍しいとは思います。だから「日本人は海苔を消化するのが得意である」とは言えると思いますよ。さらに言えば、「出汁の文化」とも言われるように、海藻類をこれだけ料理に反映させる文化を持っているのも日本人くらいかと。
安田
なるほどなるほど。「文化」という話で思ったのですが、エスキモーもかつては生の凍った魚をそのまま食べる文化だったじゃないですか。ところが様々な文化が入ってきたことで、彼らも火を起こせるようになった。それでだんだんと火の通った魚ばかり食べるようになったわけですが、その結果なぜか病気になる人が増えたらしくて…。

久保
確かに、伝統的な食事方法がガラッと変わると、健康状態にも影響が出てきますよね。今までになかったような病気が発生することもあるでしょう。そういうケースは世界中で多々起こっていると思いますよ。
安田
とはいえ、基本的に「進化」って「変化」じゃないですか。そういうリスクを負ってでも新しいことをやったり新しいものを食べたりして初めて、人間は進化していく。そういう観点では体に合わないものを食べる必要もありますよね?

久保
そうですねぇ。長い目で見れば、環境の変化に合わせて我々も変化をしていくべきだとは思います。ただ一方で、多くの個体が繁栄していくためには、ある程度「体質に合っているもの」を食べることも大切なんじゃないかなと。
安田
ふーむ、体質に合った食事、ですか。

久保
体質に合った食事=体に負担がかからない食事をすることで、種族が滅びる可能性は減らせるんじゃないかなと。そういう意味で、昔から食べているものを引き続き食べていくというのは、種の保存という観点で言えば理にかなっていると思いますね。
安田
なるほど、そういう見方も確かにできますね。ということは、ここ数十年で食べるようになった肉などより、昔から食べ続けている日本食の方がいいぞ、というわけですか。

久保
私はそう思います。一般的にその種族の体質に合ったものを食べるのが無難なんじゃないかと思いますね。もちろん安田さんの仰るような進化も必要なんだと思いますが、それは何百年・何千年をかけて実現できるものだと思うので。
安田
なるほどなぁ。ちなみにその何千年後にまだ人間が生き残っているとして、食文化は1つに混ざり合っていますかね。というのも、今の時点で海外旅行が当たり前になっているじゃないですか。このままグローバル化が進めば、最終的に1つになっちゃうんじゃないかなと。

久保
面白いですね(笑)。確かに今とは比べ物にならないくらい文化的な混ざり合いは起こっているでしょう。ただ、体質的な、生物学的な意味でどこまで変化しているかはわかりませんね。その時代の欧米人も、もしかしたら「海苔の消化が苦手」と言われているかもしれない(笑)。
安田
なるほど(笑)。少なくとも自分や子ども・孫の世代くらいの範囲では、そんなに急に体質が変わることはないと。じゃあやっぱり日本人としては当分の間、お米や味噌汁、魚を食べる生活の方が良さそうですね。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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