“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。
第110回 「日本の消費者は世界一厳しい」は本当か?

日本は「安いうえにサービスがいい国」としてインバウンドに人気ですが、裏を返せば「消費者が世界一うるさい国」とも言えるんじゃないかと思うんです。

そうそう。接客態度一つ、商品のちょっとした不備一つで、絶対に許さない、というような厳しい視線を感じますね。先日も、知人が飲食店をオープンしたんですが、開店当初なんてどうしたってバタバタするじゃないですか。でもそれすら許してもらえないって嘆いてました(笑)。

なるほどなぁ。でも海外はどうかと考えると、それはそれで問題がある気もするんです。例えば中国で商売しようとすると、売る側は少しでも高く売ろうとするし、お客さんは意地でも値切るしで、なんだか殺伐としているじゃないですか(笑)。それに比べれば日本はまだのどかな気もしますけど。

気持ちはわかりますけど、経済活動という視点で見れば中国企業が正解なんです。まるで呪いのように値上げに踏み切れない日本企業を見ると、そちらの方がよっぽど異常事態な感じがします。

ああ、確かに。最近のお米の問題もまさにそうですよね。備蓄米を提供しすぎたことによって、今度は大量に余ってしまっている。結局、消費者心理や市場をきちんと読める人がハンドリングしないとこうなるよ、っていう好例だと思います。

そうですよね。そこを否定したらそもそも商売が成り立たないだろうと。それでいうと、「転売ヤー」なんて叩かれまくってますけど、仕入れたものに利益を乗せて売るのは普通のことのような気もしますし。

ああ、そうですね。とはいえ一つのビジネスとしてリスクを背負ってやっているわけで。仕入れてから販売するまでの間に、人気がなくなって赤字になる可能性もあるわけじゃないですか。あれがダメなら、輸入業者だってダメなんじゃないかと思ってしまいますけど。

まぁ実際大変な仕事だとは思いますよ。転売ヤーとしてものすごく活躍してる人がいたら、自社で採用したいくらい(笑)。もちろんマスクや消毒液のように、必需品を買い占めて高値で売るのは、倫理的に問題がありますけど。

汗水流して働くのが美徳で、工夫して儲けるのは「ずるい」というような風潮は、確かにあるかもしれませんね。海外に行くと、その感覚は全くない。ニーズがあるものは正当に評価され、価格も上がる。非常にオーソドックスな市場原理が働いています。
対談している二人
倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表
株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。