この対談について
“生粋の商売人”倉橋純一。全国13店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。
第19回 プロも楽しめる「セミプロショップ」が理想
消費者が専門化しているというお話を以前伺いましたね。お客さんの需要がどんどんニッチになっているから、店側もニッチ化していく方がいいと。とはいえ、絞り込み過ぎると誰も来なくなってしまうんじゃないですか?
確かにそれは僕もずっと研究しているテーマです。絞り込みすぎて「プロショップ」のようになってしまうと、一般の方に対する敷居が高くなってしまうんですよね。
一部のマニアしか来ないお店になってしまいますよね。でも世の中って「ちょっと好き」とか「ちょっと興味がある」という層が大半なわけで。
そうそう。私としては、「セミプロ」くらいの人が一番心地よく感じられる店作りを目指してます。
なるほど。でもそうなると、マニアの人が「もっとプロ感の強いものを置いてくれよ」となっちゃう気もしますけど。
とはいえあまりにプロ感の強い商品ばかりになると、こちらのメインターゲットであるセミプロを遠ざけてしまうので。そのあたりの塩梅はけっこう注意していますね。
何かが話題になったり、ブームになったりする時って、いわゆるファーストペンギン的な人がいて、そこから広がっていくと思うんです。そう考えると、「マニアなプロが通う店」もアリな気がしますけど。
確かにそうなんですが、優先度はやはりセミプロですね。セミプロが利用できる気軽さを保ちながら、プロにも認めてもらえるようなお店がベストです。
ははぁ、つまり「マニアなプロも楽しめるセミプロショップ」ということですか。
そんな感じです。だからたまには値付けを間違うぐらいでいいと思っていて。値付けが甘いとセミプロの人は買いやすいですし、プロも「この店わかってないな〜」なんてマウントが取れて楽しめるので。
確かに(笑)。ちょっと隙がある方が、愛されるお店になる気がしますね。
そうですね。そういう意味では、セミプロかプロかというより、「お店のファン」をいかに増やしていくかが大事なんでしょうね。
なるほどなぁ。例えばジムをやるにしても、「本気で大会に出たい人」ばかり集めてもなかなか商売にはなりにくいでしょうしね。そういう本気な人たちもいながら、そこに憧れる普通のセミプロを掴まないといけないと。
そうそう! まさにそんな感じです。
ちなみに、どうすればセミプロにウケる店が作れるんですか?
そうですね。例えば焼き鳥屋さんだったら、誰でも知っているネタがちゃんと網羅されていて、その中にあまり聞いたことのないメニューがいくつかある、というバランスですよね。通にしかわからないようなネタばかりだと、普通のお客さんは頼みづらいので(笑)。
確かに(笑)。普通の焼き鳥がしっかり楽しめることが前提で、その上で、通の人が喜ぶようなメニューも置いている、と。
そうそう。その店に行くことで、おいしい焼き鳥を食べるというニーズが満たされるだけじゃなく、珍しい部位をドキドキしながら食べたり、お店の人に鶏の知識を教えてもらったりと、食欲以外のワクワクを提供できることが重要なのかなと。
なるほど。そうやって通う中で、セミプロがプロになっていくのかもしれませんね。
ええ。その通りです。周りの人に「あそこの焼き鳥は一味違うよ」なんて言い出したりして(笑)。
そういえば私、よくそんなことしてますね(笑)。
確かにそうでしたね(笑)。よく美味しいお店を教えていただいて。
そうそう。倉橋さんはいつも「美味しい!」と喜んでくれるので嬉しいんですよね。そう考えると確かに、通が唸るようなお店じゃなくて、初めての人もちゃんと楽しめるお店の方がよさそうです。
まさに仰るとおりです。それがプロショップではなく「セミプロショップ」を目指す理由で。
ははぁ、なるほど。ちなみにそのセオリーは、業態に関わらず当てはまるんでしょうか。
ええ、どんな商品やサービスでも一緒だと思います。例えば美容院とかでも、有名人がたまに来るくらいなら嬉しいですけど、有名人ばかりだと行きづらいですよね(笑)。
行きづらいです。程よくないですもん(笑)。
対談している二人
倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表
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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に16店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中