第49回 万代社長のトレンドとの向き合い方

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国18店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第49回 万代社長のトレンドとの向き合い方

安田

先日Xでトレンドをどう取り入れるかについて倉橋さんとお話したのがおもしろくて。若い頃は意識せずとも取り入れられたけど、今は“頑張って”アンテナを張っていると。


倉橋

ええ。もう必死にくらいついてますね(笑)。

安田

笑。ちなみにどんなふうに情報をキャッチされてるんですか?


倉橋
例えば、コンビニやドラッグストアに行ったらトップに陳列されているものを必ず見るようにしたり。常に新しい情報がないか、今は何が旬なのかをチェックするように意識しています。
安田
ははぁ、なるほど。今の若者はガムじゃなくグミを食べるとか。

倉橋

そうそう、そういう感じです。「睡眠の質を上げるサプリメントがあるのか…」とか、調べてみるといろいろなことがわかりますから。あとは、いろんなジャンルのトップのものを一通り自分で試してみる、っていうのをやってますね。

安田

ははぁ、なるほど。でも新しいものってどんどん出てくるからキリがないでしょう? ネットの動画配信の分野だけでも、Amazonプライムとか、YouTubeプレミアムとか、Netflixとかあるわけじゃないですか。そういうのも全部試すんですか?


倉橋

ええ。だいたい試してますね。VRやAIサングラスも買ってみたりしましたし。

安田
へぇ〜! ってことは、パソコンとかカメラとかマイクとか、そういうものも?

倉橋

その辺のガジェットまではカバーしきれてないですが、ゲーム関係は一通り試してますね。PS5とかSwitchとか、あとはポケモンカードなんかも。使い方を教えてもらって遊べるようになるところまでは、なんとか頑張ってます(笑)。

安田

いやぁ、すごいですね。漫画も読んだりするんですか?


倉橋
「鬼滅の刃」とか「ワンピース」とかは、トレンドになっているときに読みましたね。全巻はさすがに読めませんけど、基本的なストーリーがどういうものかは把握するようにして。
安田
なるほど。やっぱり万代さんが個人の趣味に関わるものをたくさん扱っているだけに、そっち方面へのアンテナは強く張っているわけですね。

倉橋
そうですね。あとは食べ物は胃袋が許す限り試してます(笑)。特にスイーツは「新しいカルチャー」として入ってきたりするので、そういうものは必ず一回はちゃんと食べてみて。
安田

へぇ。高級食パンとかも買って食べたんですか?


倉橋
食べました食べました。「なんで食パンが高い値段で売れるんだろう?」と疑問だったんですけど、「食品」としてではなく「お土産」として買われているんだなと理解しました。実際に買ってみるとパッケージデザインも凝っていて、やっぱりお土産なんですよ。日常食べてもらうことを目指して作った商材ではないですよね。
安田

ああ、私もそう思います。でも売ってる側がそこをあんまりわかってなかったのかな、とも思うんです。日常的に売れ続けるパンではないのに、そこを理解せず販売していたから斜陽化してしまったのかも。

倉橋
なるほど、一理ありそうですね。逆に言えば「いかにお客様に繰り返し利用していただけるか」を意識することはやっぱり大事なんですよね。僕の中でもずっとテーマにしてることでもあります。
安田

仰るとおりですね。たとえば北海道のお土産で有名な「白い恋人」は、北海道でしか売らないことでロングセラー商品になっている。売れるからといって全国の空港で売り始めたら、「北海道土産としての価値」がなくなってしまうわけで。

倉橋
そういう意味では「花畑牧場」は広げすぎてしまった例ですよね。生キャラメルが爆発的に売れて、どこでも買えるようになったことで希少価値が落ちてしまった。
安田

そうそう。「ターゲット」と「マーケットサイズ」を間違えてはいけないということですよ。

倉橋
そういえば、タピオカが4年前くらいにすごく大きなトレンドになりましたけど、今はほとんどなくなっちゃいましたよね。ただ、その中で今でも圧倒的なシェアで残っているお店があって。
安田

へぇ〜、その店は他と何が違ったんでしょうね。先ほどの「白い恋人」のように広げすぎないとか?

倉橋
いや、それがそこそこ広げてるんですよ。どういうお客様をターゲットにした価格帯なのかとか、すごく興味がありますね。そこに「一発屋で終わらなかった」何かがあるような気がして。
安田

そこはまだ解明できていないと。いずれにせよリピーターをしっかり捕まえているということなんでしょう。たとえば先ほどの高級食パンだと、お土産としてもらった側は1回目は嬉しいんですよね。でも2回目3回目も同じ高級食パンだったら、「またこれか…」と思ってしまう。

倉橋
そうですね。お土産ユースでリピーターを狙うなら「常に新しい人にお土産を持っていく人」をターゲットにしないといけない。
安田

でもそんな人はなかなかいないですよね。逆に言えば、それがリピーターを掴み損ねたポイントなのかもしれません。もっとも、毎回もらってうれしいお土産もありそうですけれど。

倉橋
「とらやの羊羹」なんかは強いですよね。何度でも持っていける。「とらやの羊羹の人」と呼ばれてそうですけど(笑)。
安田

笑。あれはトレンドではなく、トラディショナルになっているからでしょうね。

倉橋
ははぁ、確かに。「トレンド」じゃなく「定番」になったわけですね。。トレンドの爆発力はすごいので、そこからリピーターにつなげて定番化させられたら、ビジネスとしては成功しそうです。
安田

確かにそうですね。次回はビジネスにおけるトレンドについて、もう少し深掘りしていきたいと思います。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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