第68回 万代ファンが増え続ける理由

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第68回 万代ファンが増え続ける理由

安田

最近、倉橋さんのXを見ていて思ったんですが、お客さんとのやりとりがすごく増えてますよね。「うちの近所に万代できないかな」とか「ついにできた!」なんてコメントがたくさんあって。


倉橋

そうなんですよ。本当にありがたいですよね。

安田

普通に考えて、お客さんが自然に宣伝してくれるのって珍しいですよね。だから「どういう仕掛けなんだろう?」と思っていたんです。これって意図的に仕組んでいるものなんですか?


倉橋

いえいえ、まさに自然発生的な感じというか。実際にご来店いただいたお客様が発信してくれて、それに僕がお返事したりしているうちになんとなく…という感じです。

安田

へぇ、すごいなぁ。SNS時代ならではのコミュニケーションですね。実際それってかなり宣伝効果もあるだろうし、すごくいいですよね。


倉橋

宣伝効果もありがたいですけど、それ以上に「貴重なご意見をダイレクトにいただける」ということがありがたくて。

安田

ああ、なるほど。それをもとにビジネスをどんどん改善していけるわけですもんね。


倉橋

そうなんです。青森に新店舗を出したときも、オープンキャンペーンとしてクレーンゲームのプレイ券を配布したんです。その際に「万代の好きなところ」を聞いてみたら、本当にたくさんの意見をいただいて。

安田

他の人が回答しているのを見ると、自分も参加したくなるんでしょうね。すごく今っぽい感覚だと思います。


倉橋

そうかもしれませんね。そのフィードバックを元にさらにサービスを改善していったんです。それをXで報告したら、またそれが話題になり、もっとお客さんとの距離が縮まって…という好循環で。

安田

素晴らしいなぁ。ともあれ、倉橋さん個人としては、フォロワー数が何百万人もいるわけじゃないじゃないですか。それなのにあんなにたくさんファンを作れてるってすごいことだと思います。


倉橋

フォロワーはまだ5,000人くらいなんですが、それでも最近はオープン初日に「Xでやりとりした誰々です」と言ってくださるお客様も増えてきましたね。僕も嬉しくなってステッカーをお配りしたり一緒に写真を撮らせていただいたりして。

安田

へぇ〜、すごいですね。SNSの使い方としては理想的ですよ。ただそれって、なかなか狙ってできることじゃないと思うんです。下手な人がやると自作自演っぽくなってすぐ炎上しそう(笑)。何かコツなんかがあるんですか?


倉橋

うーん、どうでしょうね。1人でも多くの「万代ファン」を作ろうと頑張っているだけなんですよね(笑)。とにかくお客様に喜んでいただけることを一つ一つやって、それをしっかり発信していく。それだけといえばそれだけで(笑)。

安田

うーむ、なるほど。「SNSで一儲けしてやるぜ」なんて考えている経営者さんは、倉橋さんの爪の垢を飲んだほうがいいかもしれません(笑)。そういえば前回、万代のクレーンゲームは他の店の2倍取りやすい、みたいな話があったじゃないですか。

倉橋

ああ、はいはい。しましたね。

安田

そういうのもお客さんに喜んでもらうための活動だとは思うんですけど、でもビジネス的にちゃんと採算は取れるんですか?

倉橋

それでいうと、2倍のお客様に来ていただければ採算は取れるんです。だからそうできるよう必死に努力するだけです(笑)。

安田

ははぁ、なるほど(笑)。

倉橋

もう少し言えば、要は「回転寿司と同じ論理」なんですよ。1貫ごとの原価率は高くなりますが、お客様にたくさん来ていただければ、それはカバーできるわけです。

安田

確かに、回転寿司ってネタも回ってますけど、普通のお寿司屋さんに比べてお客さんもすごく回ってますもんね(笑)。

倉橋

そうそう(笑)。回転寿司だったら満腹になったところで、お客様が回転していきますからね。万代は回転寿司のように席数に限りがないので、なるべく長く遊んでいただけるような仕組みを作っています。

安田

なるほど。万代ではお客さんは回転せずに、ずっと遊んでくれるわけですね。

倉橋

そういうことです。どのお客様も「遊ぶための予算」って決まっていると思うんです。その予算内でたっぷり遊んでいただくことで、結果的に「また来たい」と思っていただける。

安田

なるほどなぁ。同じ2,000円を使うとしたら、他のお店よりも長く楽しめると。パチンコみたいに10分で終わらずに、2時間くらいは遊べちゃうわけだ。

倉橋

まさにそういうことです。単に景品を取るだけじゃなくて、その時間を思いっきり楽しんでもらうことが、僕たちの目指しているところで。そのためにも、「低価格のエンターテインメント」を作ることに全社を挙げて取り組んでいるところです。遊ぶのになにしろお金がかかるご時世なので。

安田

本当にお金がかかりますよね。我が家も旅行に行く以外は、近所を散歩して終わりということも多いです。

倉橋

ちなみに「家族連れがどこで何をして遊んでいるのか」という研究は社内でも積極的にやっていて、社員が家族で遊びに行った時のレシートを集めていたりします(笑)。

安田

なるほど(笑)。そういう調査を元に予算感を掴んでいるわけですね。

倉橋

ええ。ちなみに最近はお盆やお正月の時期の新幹線や飛行機もそこまで混雑しなくなっているんです。つまり帰省する人が減っている。

安田

ほう。じゃあその長期休みの間はどこで過ごすんですか?

倉橋

そこで行くのが「スーパー銭湯」や「回転寿司」なんです。皆さんお風呂に入ることやお寿司を食べることが目的なわけじゃなく、ある意味家族で気軽に楽しむ場所を探している。帰省するほどお金のかからない、手頃な遊び場所をね。

安田

なるほどなるほど。そしてその選択肢の中に「万代」も入れていきたいわけですね。

倉橋

まさに仰るとおりなんです。だからこそご家族で楽しんでいただけるような仕掛けを常に考えています。

安田

そうかそうか。そうやって会社として常にお客さんを低価格で楽しませようとしているから、どんどんファンが増えていくんですね。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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