“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。
第73回 業績アップの秘密は「スナック」にあった?!
ああ、そうなんです(笑)。毎月いろんな店舗が持ち回りで営業戦略会議をするんですが、その後に近くの飲食店で懇親会をして、そこから二次会で「スナック」に行くのが恒例になっていまして。
なるほど。それが業績アップにつながっていると。…でもなんだかスナックと聞くと、失礼ながらちょっと時代遅れな感じもしちゃうんですけど。
でもこれが良かったんですよ。会社って「共通言語を作る」ことがすごく大事なんですけど、スナックで皆でわいわいやることが、ここにすごく貢献してくれまして。
へぇ、おもしろいなぁ。皆というと、だいたい何人くらいなんですか?
15人くらいですね。その人数で普通のスナックに行くので、毎回貸し切り状態で(笑)。
そりゃそうですよね(笑)。スナックってカウンター席しかなくて、そんなに広くないイメージですし。ちなみにどのエリアの店舗でもスナックに行くんですか?
ええ。というのも、農家さんの日々のルーティンの中に、「仕事終わりにスナックに行く」というのが組み込まれているらしくて。僕なんかはそういう習慣がなかったので、「なぜ常にスナックなんだろう?」と不思議だったんですけど。
へぇ、そうなんですか。もともとそういう文化があったと。ちなみに「農家さんの味方」の店舗はどの辺りにあるんですか?
ははぁ、確かにそういうところにはスナックがたくさんあるイメージです。バーはないけどスナックはありそう、というか。逆に言えばそういうニーズがあるんでしょうね。
そうそう。地方のスナックって「情報発信のハブ」のような機能を持っていて、地元の人がいっぱい集まってくるんです。どこのスナックに行っても、ママがとにかくいろんな情報を握っていて。「ここの地権者さんのことはよく知ってるわよ」とか、「農家さんは最近羽振りがいいわね」とか。
へぇ〜、そんなことまで知ってるんですか。
そうなんですよ。スナックって「つけ払い」っていう仕組みがあるじゃないですか。普段はつけ払いを利用する人も、儲かってる時は「今日は現金で払うよ」みたいなことがあるらしく。
なるほどなぁ。そういう面で考えても、都市部のスナックとはちょっと立ち位置が違う気がしますね。最近、都内のスナックはどんどんガールズバーになってるっていう話ですから。
そうらしいですね。地方はもう少し、実のあるコミュニケーションを求めているのかもしれません。パーッと飲んで終わりじゃなく、情報を得たり新しい繋がりを作ったりと、仕事の延長のような部分もある。
ああ、そういうことなんですね。確かにそういう場なら頻繁に通うのもわかる気がします。…そういえば最近「スナックの定義」を知ったんですが、「スナック菓子が出る」っていうことらしいですね。
そうなんですか! 確かに必ず出ますけど、そんなシンプルなことなんですね(笑)。
そうそう(笑)。「スナック菓子を出す飲食店」という建付けらしくて。あくまで飲食店であって、接客はメインじゃないから、風営法上も遅い時間まで営業できるんですって。
なるほど、うまいこと考えますね〜。まぁ、そのおかげで我々ものんびり楽しめるわけですから、ありがたいですけど。しかも単に楽しむだけじゃなく、そこで新しいマッチングが生まれたりもするわけで。
ちなみに万代さんも、スナックがキッカケで新しいビジネスが生まれたりしているんですか?
新しいビジネスというよりは、農家さんとお知り合いになって、その後万代にご来店いただく、みたいなケースが多いかな。でもどちらかというと、そういったマーケティング的なメリットではなく、社内のコミュニケーションの場として大いに活用させてもらっている感じです。
なるほどなるほど。ということは、「スナックで業績が上がった理由」としては、社内のコミュニケーションが密になったことが大きいわけですか。
仰るとおりです。もっとも、それに気づいたのは最近なんですよ。想定以上に業績が上がっていて、「何が違ったんだろう?」と振り返ってみたところ、「そうか、スナック通いで社内の共通言語がキッチリできたからだ」と気付きまして。
なるほど、すごくおもしろいです。ちなみに社員の皆さんの年齢層はどのくらいなんですか?
「農家さんの味方」は万代よりも10歳くらい上の層なので、平均でいうと40代半ばくらいですね。
そうすると、年齢的にもピッタリ合っていたのかもしれませんね。それにしても、「仕事のコミュニケーションは勤務時間内に終わらせてほしい」という人が増えている中で、倉橋さんのところはある意味逆行してますね(笑)。
そうかもしれませんね(笑)。でも僕自身は勤務時間外のコミュニケーションも欠かせないと思っている方なので。それをXでも公言していますし、そこに共感してくれる人が入ってきてくれているんだと思います。
ああ、確かに常々仰ってますもんね。ちなみに、そういうオフの時間じゃないと密なコミュニケーションって難しいと感じます?
そうですねぇ。もちろん、コーヒーだけでそれができる人もいるんでしょうけど。個人的には、ひざを突き合わせて本音で語り合うには、やっぱりある程度お酒の力があった方がやりやすいですね。安田さんはそんなことないですか?
いやいや、私もそのタイプです。私は2回結婚してますけど、この世にアルコールがなかったらおそらく1回も結婚できてないだろうと思いますから(笑)。お酒の力は偉大ですよね。
対談している二人
倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表
株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。