第86回 いろいろなバックグラウンドの人を採用する理由

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第86回 いろいろなバックグラウンドの人を採用する理由

安田

仕事を選ぶうえで、以前は「給料」や「休み」などの待遇面が重要視されていたと思うんです。でも今はそれよりも、「仕事との相性」が大事なんじゃないかと思っていて。「その仕事を楽しめるかどうか」という視点ですね。


倉橋

同感です。もちろん待遇面も重要ではありますが、そこがマッチしたからといって仕事自体と相性がいいとは限りませんから。

安田

そうそう。でも「相性」って、結局やってみないとわからなかったりするもので。働く前に見抜くのはなかなか難しいですよね。


倉橋

そうなんですよね。だからこそ僕はXでの発信を続けているというのもあります。普段から僕のポストを見てもらっておくことで、ゼロから入社するよりはずっと定着の可能性が上がるはずなので。あ、そういえば最近インターンも始めたんですよ。

安田

そうなんですか。インターンって要は「体験入社」みたいなものですよね。それはやっぱり採用目的で始められたんですか。


倉橋

そうなんですが、それだけでもないというか。というのも、僕は万代を「いろんなバックグラウンドの人が集まる会社」にしていきたいんです。だから採用人数を確保するためというより、「より多くの方に万代の仕事を知ってもらうため」に始めた感じでして。

安田

ははぁ、なるほど。いろんな属性の人が集まることで、より多くのアイデアやエネルギーが生まれそうですもんね。アメリカという国もそうやって成長してきたわけで。でも逆に言えば、意見が割れがちになる、マネジメントが難しくなる、みたいな側面もありそうですけど。


倉橋

僕も実際、会社を初めて10〜15年くらいは、自分と合う人ばかりを採用していたんです。そして当時はそれがベストだったと思ってます。でもある程度の会社規模になってくると、そのままだと伸びしろがなくなってくるんですよ。

安田

ああ〜、確かに。安定はするだろうけど、想定外の成長は生まれにくいですもんね。


倉橋

そうなんです。組織がどうしても保守的になってしまって、新しいことに挑戦しにくくなる。それに気づいてから、今のような採用基準に切り替えたんです。会社全体をいわば「混血」のような状態にしたくて。

安田

なるほど、面白い表現ですね。前回伺った「万代のコンセプト」に共感してさえいれば、他の要素は条件で狭めないと。


倉橋

ええ。性別や年齢はもちろん、国籍も問いませんし、最近はリユース業未経験者も積極的に採用しています。

安田

ということは、以前は経験者が中心だったんですか?


倉橋

以前は万代でアルバイトしてくれていた方を社員登用することが多かったんです。でももっと裾野を広げたいなと。ですから今は、万代の考え方に共感してくれて、事業の方向性に賛同してくれる人ならどんな人でもウェルカムです!

安田

じゃあ極端な話、私みたいな60代の方が応募してもOKなんですか?

倉橋

全然OKです! 実際その年代の方にも働いてもらってますよ。大企業で役職定年になった方で、入社2年目ですが、今では子会社の社長を務めていただいてます。

安田

なんと! 2年目で子会社の社長ですか。すごいですね〜。つまり未経験の60代でも、実力さえあれば役員クラスになれると。

倉橋

そういうことです。もちろん、その方が十分なキャリアをお持ちだったことが大きな要因ではありますけどね。でもいずれにせよ、入社の基準に年齢という項目は必要ないなと感じます。

安田

なるほどなぁ。10代のインターンから60代まで、本当に幅広く採用されてるんですね。ちなみに万代さんのインターンでは、実際にどんなことをするんですか?

倉橋

行動特性や思考特性のプロファイリングが中心ですね。研修プログラムも充実していて、以前お話したMG(マネジメントゲーム)もやりますよ。

安田

へぇ、いいですね。あ、でも万代の社員さんたちに観察されながらやるわけですよね。緊張しそうだなぁ(笑)。

倉橋

笑。ある程度は見ていますけど、やり始めると面白くなって、結構皆ゲームの方に集中してますよ。特に若い人は素直なので、問題なく取り組める人が多いですね。逆に税理士さんや会計士さんの方が挫折するケースがあったりして。

安田

えっ、意外ですね。

倉橋

例えば会計の知識があったりすると、ゲーム内のプログラムよりも「正しい会計の手順」で進めたくなってしまうんです。「減価償却」から先にやりたくなったり。でもそうすると、ゲームの流れが崩れてしまう。

安田

ああ、そうか。その点、若い人だと「減価償却」なんて言葉自体を知らないから、素直にプログラムの順番通りに進められるわけですね。

倉橋

そういうことです。仕事をするうえでも、「素直さ」ってすごく重要じゃないですか。うまくいかない場合に、立てた仮説が間違っていたことを認めないと次のアクションが起こせないので。

安田

確かに。そもそも仮説通りにいくことなんて少ないですからね。そういう時にも柔軟に考えられることって大事ですよね。

 

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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