第91回 BtoCビジネス成功の鍵は「広告費25%」

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第91回 BtoCビジネス成功の鍵は「広告費25%」

安田

倉橋さんはずっとBtoCのビジネスをやられてますよね。私はBtoBが長いんですけど、BtoCにも興味はあるんです。でも新しく事業を始めようとすると、BtoCだとどうしても広告や営業にコストがかかるイメージがあって。


倉橋

そうですね。最初に認知してもらうための費用はそれなりにかかると思います。店舗を構えるにしても、立地のいい場所を選ぶ必要がありますし。もしくはライザップのように広告宣伝費をかけるか。

安田

やっぱりそうですよね。そこがBtoBとBtoCの決定的な違いなのかもなぁと。BtoBって単価も高いし、ピンポイントにアプローチできるじゃないですか。極端に言えば、1社を狙い撃ちして、1ヶ月間手紙を出し続けて契約を取る、みたいな方法でも成り立ったりするわけです。


倉橋

ああ、確かにBtoCではある程度の数を集めないといけないので、そこは大きな違いでしょうね。とはいえ、「いい商品があるか」がやっぱり大事なんだと思いますよ。独自性のある商材があれば、自然とお客様に求められるので。

安田

でもいくらいい商品でも、ある程度火が付くまでは宣伝コストをかける必要がありますよね。例えば大流行した「たまごっち」のような商品でも、何かのきっかけで「面白い」と思われて初めて認知が広まっていったわけで。


倉橋

確かに広告費ゼロでは難しいでしょうね。SNSで低コストで広める方法もありますけど、どうしても埋もれやすいですから。

安田

インフルエンサーのような人だったら一気に広められるかもしれませんけど、普通なら最初のフォロワーを得るにも投資が必要ですからね。ちなみに新商品の最初の認知を得るには、売上の何パーセントくらいが広告費として妥当なんでしょう?


倉橋

DTC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)ビジネスをやっていた時の感覚でいうと、スタートの段階では売上の25%くらいを広告費に充ててましたね。

安田

25%ですか! それはかなり大きいですね。例えば年商1億のビジネスをやろうと思ったら、2500万円くらいの広告投資は必要だと。


倉橋

そうですね。認知ゼロの状態から始めるわけで、スタート時が一番コストがかかります。今でも新しい都道府県に出店する時には、そのくらいの広告費をかけてますね。

安田

は〜、これだけSNSが一般化して、紙媒体やテレビCMが減ってきても、25%くらいは見込んでいると。でもず〜っと25%の広告費を使い続けていたら、利益が出ないですよね。


倉橋

ええ。だから最初の3ヶ月に限定してます。その期間は赤字覚悟で広告を打つ。

安田

なるほどなぁ。でも例えば「広告ゼロで1年ほどやってみよう」みたいに思ったりしませんか。


倉橋

うーん、ちょっと難しい気がしますね。1年間全く広告費をかけないとなると集客できないんじゃないかな。

安田

やっぱりそうなんですね。でも広告を打つとしても、何でもいいわけじゃないですよね。効果が出るもの出ないものがもちろんあるわけで。

倉橋

仰るとおりです。効果がある広告を選べるかどうかも、ビジネスセンスの一つだと思いますね。効かない薬を飲み続けるのと同じで、効果のない広告を出し続けていても認知は広がらないので。

安田

そうですよね。それにしても、売上の25%というのは予想以上に大きかったです。それを3ヶ月続けて、そこからはリピートや紹介にシフトしていくわけですか。

倉橋

ええ。BtoCのビジネスは「オープンしてから100日間」が勝負なんです。100日、つまり3ヶ月が過ぎたらもう「新しい店」ではなくなってしまう。だからそうなる前にいかに自社の商品やサービスを認知してもらうかがとても重要なんです。その時間を買うつもりで、広告費をかけています。

安田

なるほどなるほど。それが過ぎてしまうと、もう新鮮味がなくなるわけですね。新しくもなんともない「普通の店」という印象になってしまう。

倉橋

そうなんです。そういう意味でもBtoCビジネスは「鮮度」が大事なんですよね。先日新さっぽろ店がリニューアルオープンしたんですが、これも新しいサービスや商品のお知らせが目的ですから。

安田

ははぁ、なるほど。新しいサービスのお知らせのために、「リニューアルオープン」という形で費用をかけたわけですか。広告の使い方がうまくなるためにも、ある程度予算を投下して練習していくしかないということですね。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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