【読むPodcast | マネトレ68-後半】「中小零細企業の出口戦略」第178回

建設業の方から質問に答える後半編。「中小零細企業の出口戦略にM&Aという道筋はあるか」とのこと。M&Aをしたいなら、会社を売れる形に整えるべし。でもそもそもその事業、ホントに生き延びたほうがいいですか?(音声はこちらから。)

円道

債務超過でリスケ。ただ、再建めど立ってない。

大久保

ダメなやつじゃない?(笑)

円道

ちょちょちょちょ。

大久保

でも惜しいよね。300~500ぐらいの赤字なんでしょ。

円道

ですね。

大久保

なんとかなんないの?この間見てた案件で、某大手コンサルが月100万円コンサル料取っててさ、再生系の会社で。社長との打ち合わせで「このコンサルフィーなかったらプラスだよね」っつって、「解約しろよ」っつって(笑)。「役に立ってるんですか?」「大して立ってねえ」って言うから「解約しろよ」っていう話をしたばっかなんだけどさ。

円道

すげえリアルですね。

大久保

バカみたいだよねホントに。「いや、でも、あのときお世話になったから」みたいな、「いや、そういう問題じゃねえから」って。

円道

「つぶれるから」って?

大久保

そうそうそうそう。えーと、損失自体は減ってんだもんね。

円道

ですね。損失は半分以下ですよ。

大久保

ただ、P/Lがプラスになんないとどうにもならないんだよね、いくらB/Sが大事だっつっても。まずP/Lの改善っていうか、P/Lじゃなくてもキャッシュフローが回らない限りは再生できないんで、そういう意味ではまずP/Lなんだけど。なんていうかな、まあ、この会社に当てはまるかどうかわかんないけど、基本的に再生を考えるときに、やっぱ上から考えるっていうか、あんまり慣れてないとコスト削減とかになっちゃうんだよね。

円道

はいはいはい。

大久保

P/Lって上から下に順番に大きいんだよ。だから、売上をあげる……

円道

か、経費をカットするか?

大久保

ざっくり言っちゃうと経費なんだけど、どこの経費かっていう。売上をあげるのは大変だったり、粗利を見なきゃいけないじゃん。だから、多分落として利益を出してるというか、以前より損失を減らしてるっていうことは、多分粗利を増やしてるんだろうから、だから、そっちをちゃんと直していくっていうか。「経費」って一般的に言うと販管費のほうになっちゃうから。

円道

はいはい。下じゃなくて?

大久保

そう。「電気代を節約しないでいいから、原価下げろよ」みたいな、大きいところからどう手を付けるかっていうのをやってるかどうかっていうところ。

円道

要は「粗利を上げるとこにコミットしましょう」っていうことですね。

大久保

そうそうそうそう。

円道

売上原価のほうの経費ってことですね。

大久保

そうそうそうそう。販管費安ってさ、結局粗利の下だから。まあ、下げれればもちろん下げたほうがいいんだけど、それこそね、役員給与いくら取ってるかとかにもよるかもしれないからさ、どれぐらい再生の可能性があるのかだけど、ずっとマイナスだったらどうにもならないし、事業自体を撤退……まあ、これで「役員給与1,000万取ってます」みたいな、「もうちょっと下げれます」みたいな感じだったら復活できるんだろう。惜しいは惜しいよね。

円道

営業損失300とかだったら、300役員報酬減らせば終わりですもんね。

大久保

たとえばね。まあまあ、そんな取ってないんだろうけど、まあ、カツカツでやってるとは思うけど。そこが、だから、めどが立たないんだとすると、やっぱり畳むっていう。

円道

なるほどね。でも、どこから削ってくかの、その話は改めて聞くと「なるほどな」って感じですね。

大久保

なんか、変なとこいくじゃん?

円道

つい販管費から手を出す感ありますよね。

大久保

そうそうそう。絶対「売り」と「原価」から入っていかないと。あと、借り入れが何パーかわかんないけど、銀行の金利4パーは結構キツイね。それなかったらプラスになる可能性あるもんね。

円道

ここって交渉できる余地あるんですか?このリスケの中で。

大久保

まあ、だから改善していかないと厳しいよね。でも高すぎるでしょ、いくらなんでも。

円道

4パーが?

大久保

うん。だから、あれだよ、いまだったらできるけど、「コロナ関連で売上さがってます」とか嘘つい……嘘ついちゃだめだ(笑)

円道

(笑)

大久保

売上さがってるでしょうから、公庫とかの低金利だと借り……あ、リスケ中は借りれねえんだわ。

円道

あ、そうなんだ。

大久保

厳しいなあ。なんだかんだ貸してくんない……まあ、でも……うーん、どうだろう、ちょっと当たってみる価値はあるかもしれないけど。あとは「こんな状態だから」っていうので金融機関にお願いするっていうのもある。まあ、聴いてる時期がぜんぜん違ったらあれなんだけどさ、っていうのはあんだろうけど。この先、だから、民事再生だったりっていうのをやっていったとしても、P/Lがプラスになってないと、「やってもしょうがないよね、また赤字になるよね」っていう話になっちゃうから、そういう意味では、まずそこの改善ができなければ、ちょっと正直打つ手なしだよねっていう。

円道

なるほど。

大久保

だから、たとえばファンドが入って何かすることによってとか、相当な借り入れで、「金利でダメだ」みたいな話だったら、やっぱり銀行と話をしてリファイナンスするとか、どっかのファンドが0でも引き取ってくれてみたいなとかね、債権カットしてもらうとかはあるけど、規模感的にもそんなに動かなそうだし。

円道

建設業とかで、リファイナンスでファンドが入るみたいなケースって、あるもんなんですか?

大久保

いや、でも、これ、規模的に厳しいかもね。あんまり正直うまみがない。で、これ、あれじゃない?それがつながってんのか。ワンマン経営の。

円道

そうそう。ワンマン経営の小規模零細企業。

大久保

おっ、だんだん溝が埋まりだした。がんばってしゃべってみるもんだ(笑)

円道

出口戦略にM&Aという道筋はありますか?

大久保

あるよね。「ワンマン経営」が何を指してるかわかんないけどさ、あるくない?

円道

「あるくない?」って(笑)

大久保

(笑)。「むしろ社長いなくていいんじゃね?」みたいな。

円道

ああ、なるほど。

大久保

あ、でもあれか、営業ルートとか社長がガッツリ握ってたら……

円道

社長がいないと回んないみたいな?

大久保

そこの承継はもしかしたら大変だろうけど。

円道

はいはい。たしかにワンマン経営は、ほぼ社長の人脈でビジネス回っちゃってるケースはよくあります。

大久保

そうだよね。でも、いつか死ぬんだから、「こいつに任せんだわ」みたいなことをうまくやって、こう……なんていうの。

円道

承継していくっていうか。

大久保

承継の感じを出していくっていうことも今後増えるんじゃない?だから、M&Aをしたいなら、零細だからIPOとかはないだろうから、一族とかに継がせないんだったら、やっぱ売れる形に整えていかなきゃいけない。それも、やっぱ利益出てないと売れないだろうし。

円道

うんうんうん。これ、質問的にはどういうことなんですかね。「ワンマン経営の小規模零細企業の出口にM&Aはあるのか」っていうのは。

大久保

多分、「清算するしかないんじゃないか」って意味じゃない?

円道

ああ。

大久保

「引き継げないから、廃業なんじゃないか」みたいな。

円道

なるほどね、はいはいはい。要は、まずP/Lを整えてやってくと、「あるっちゃあるよね」って話ですか?

大久保

あると思うよ。まあ、金額がどれぐらい付くかとかはわからないけど。逆に言ったら、残るんだったら、自分でたとえば……出口とか考えてやってないだろうから。でも、節税とかで、保険で積み上げた退職金とかちゃんと取って、そんなにお金付かなくても承継して事業は残していくとか、社員は残していくみたいなことはできるんじゃない?

円道

なるほど。まあ、でも、だいぶ、もう十分な回答をいただいた気がするんですけど。

大久保

そうね(笑)

円道

普通に「なるほどな」って感じの回答ですけどね。てか、改めてあれですね、まずこの状況になったときに、さっきの「販管費から手を出す」っていうよりも、まずはP/Lつくるとき「上のところから手を入れろ」っていうのは、まず1個考え方として持てってことですよね。

大久保

うん。

円道

で、出口戦略に関しても、まあ、こういう状況だと出口見えないっていうか考えてないケースがあるけど、M&Aはぜんぜんあるよと。ただ、そのためにはP/Lつくんなきゃいけないので、みたいな?

大久保

そうだね。この状態ならないと思うよ。この状態ならスポンサーに入ってもらって債権カットとか民事再生していくとか。まあ、ファンドも含めたスポンサーを入れるのか、あるいは変な話、いったんやめる。

円道

それは清算っていう意味ですか?

大久保

清算っていうか破産だね。

円道

ああ。

大久保

破産もあるんじゃない?まあ、どこまでそれ言えるかわかんないけど……うーん、ずっとダラダラやってっても、いつかなくなっちゃうからね、資金が出てこない限り。

円道

うんうん。

大久保

だから、「いろんな方法があるから、あれだけど……」みたいな、再生する道みたいなのは考えたほうが。

円道

なるほどね(笑)

大久保

それこそ誰かに事業を譲り渡すとかみたいなことも、スポンサーだったり、そうじゃなくても、まあ、できるかなとは思うけど、あんまり……ちょっとマニアックすぎるから(笑)

円道

はいはい、そうですね。リアルな話になっちゃいますからね。

大久保

はい(笑)

円道

っていう意味で、出口戦略から考えていくっていうのが基本の考えですよね。M&Aという出口もそうですけど、最悪、破産っていうのもひとつの出口っちゃ出口ですから。

大久保

まあそうだね。だから結局、小さい赤字でダラダラ生き延びてても……っていうことはあるので、先の目線で考える。結構「いま生き延びなきゃ」みたいな相談多いんだけど、「ホントに生き延びたほうがいいですか?」みたいな話も実はあって。

円道

なるほどね。

大久保

「目的は何ですか?」みたいになってくるんだよ。そうすると、「この事業をやってるのってこういう目的だったら、じゃあ、ここはM&Aしたり、一部価値のあるところは。正直、破産しちゃうかもしれないけど債務免除じゃん?」みたいな。で、逆にそこで雇ってもらうとか、そういうのもあったりするので。

円道

たしかにね。

大久保

そのへんが変に法的に触れないようなやり方でちゃんとやっていくっていうところが、まあ難しいとこではあるけど、やっぱり出口とか、5年とか10年先に事業だったり自分がやってる目的みたいなのを改めて考えたときに、「いま何すべきか」っていうのは赤字の中でも特に考えたほうが。いま、変な話ね、「街金から引っ張ってでもつながなきゃ」みたいなになってって、どんどんグチャグチャになってっちゃうから、そういうのはちょっと俯瞰してみるといいのかなと。

円道

なるほどですね。いやいや、なかなか個人的には神回なんで。

大久保

なんで(笑)

円道

いい回でございました(笑)

大久保

(笑)

円道

というわけで、今日のあたりはここで終わりたいと思います。ありがとうございましたー。

大久保

ありがとうございまーす。

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