まあ、そのぐらい調達しますもんね。
そうそうそう。そのときに半分は資本金にして、もう半分は資本準備金。要するに半分までは資本金であげなきゃいけないんだよね。
あ、なるほど。そこがわかってないから「なんのこっちゃ」ってなるんですね。
そう。だから、100億ほんとに集めるってなったら、50億ぐらい資本金あるはず。1回目じゃないのかもしれないけど、とにかく1億を超えると、いちばんのデメリットは外形標準課税だよね。
え?なんですって?
うんうん。
ただ、ここでやってる減資って資本金を資本剰余金に替えてるだけなんで、そういう意味じゃ純資産の部の中でのやり取りだから、特に株価は下がらないというか。
いやいや。まず、あれですよね、調達したお金の半分は資本金に入れなきゃいけないっていうのが論点1あって、そのままいくと、その資本金にどでかい税金がかかるので、あえて資本金を下げたっていう話ですけど、資本金を資本準備金に替えるっていうと、替えることで要は税金逃れるんですか?「逃れる」って言い方はおかしいのか。
外形標準課税は資本金の額で判断される。大きい会社だから。外形標準課税って法人の事業税の話なんだけど。利益に対しての課税比率を下げるかわりに外観に対して課税するってこと。外観っていうのは賃料とか利息とかをいっぱい払ってるのは付加価値だと。
なるほど。
ちょっとわかりづらいよね。
まあ、でも、概念上はなんとなくイメージつきますよね。そういうふうに考えるんですね。
それに単年度の損益を足したものに対して付加価値割っていうのを1.2%かけると。
ほぉほぉ。
だから、給与・利息・賃料以上の赤字だったら問題ないだろうけど、基本的にはスタートアップで開発といえば人件費だろうから。その赤字の原因は人件費。
うんうん。
まあ、広告費っていうこともあるけど。そうすると、赤字でも税金が1.2%……まあ、要は人件費に対してかかってくるっていうイメージだから、まあまあ大きいよねっていうのと、あと、資本金にも関わってくるんだわ。
その場合、20億に対してってことですね。
たとえば50億だとすると0.5%かかるから、2,500万払わなきゃいけない。まあまあバカバカしいじゃない?っていうので1億に直すってこと。freeeとかも10何億やったんじゃなかった?
ああ、減資を?
うん。freeeの場合40何億か。
これって、逆にやらないことのマイナスというか……べつにやるのは自由なんですよね?資本金を資本準備金に移動するっていうのは。金額の上限もなく。
金額の上限もないというか、資本金の額までだよね。ゼロにはできないから。
はいはいはい。
一応株主総会の決議は必要なんで、株主の合意は必要だけど。
ああ、なるほど。
まあ、べつに株価は変わらずに、タックスプランニングだっていう話であれば問題ないかな。
なさそうですよね。
そうそうそう。
ほぉー。そんなのができるんですね。
まあ、かなり珍しいというか、そこまでちゃんと集められて、要は2億以上の調達をして……桁違いだから調べりゃわかりそうな感じだけど。
桁違いで集めてるんで、そういう戦略。そうなると、かなりでかい投資かけてると思うから、たぶん資本割だけじゃなくて付加価値割みたいなのも出てきてんのかな、と。
なるほど。じゃあ、ほんとにこれ、タックスプランニングとしての対策でやってるっていう意味でいうと、ご質問に答えるとすると、まあ、よくあるかどうかは別にして、大型調達とかの場合にはあり得ることなんですね、freeeの例もあるし。
調達終わってるのかもしれないよね。調達し終わって、1億に直して上場までいくか、みたいな。
なるほど。これ、資本金を下げたことによるマイナスというか、あるとしたら信用・信頼が下がるとか、その程度なんですか?
まあそうじゃない。ただ、そういう世界観じゃないもんね。
目指してるとこはそこじゃないですもんね。資本金を他へ補填とかはない…
そうそう。だとしたら、たぶん毎年赤字なんだろうしさ。
うんうん。なるほど。戦い方としては、彼らの目的からすると王道という感じなんですか?
まあ、普通にやってんじゃない、タックスプランニングっていうのは。ただ、まわりから見ると訳わかんないよね。もともと何十億集めたりとか。
そもそもね。
資本金のところはあんまり考えないと思うから。
はいはいはい。
まあ、そうなんだって感じじゃないか。
え、なに、ズバリ回答してないような……(笑)
いやいや。よくあるかって言われたら、まあ、こういう系に関しては「ある」ってことですね。
そうだね、うん。
ちょっとあれですね、雲の上の世界を垣間見た感じの話でしたが。
そうかな(笑)
これをじゃあどう現実に自分たちの会社に生かすかっていわれると、結構むずかしいところですか?この件は。
まあ、集めてからやりましょうっていう。
ってことですね(笑)。ありがとうございます。
はい(笑)
じゃあ、今日のとこはここで終わりたいと思います。大久保先生、ありがとうございましたー。
ありがとうございまーす。