ネットの履歴書
第95回『習近平とジャック・マー』

  • ソルナ株式会社が開発した究極の履歴書。それがネットの履歴書』これまでの履歴書や職務経歴書とは何が違うのか。なぜ究極と言えるのか。その秘密に迫ります。

小さなブルーオーシャンを追え
〜ネットの履歴書〜

第95回『習近平とジャック・マー』

 

安田

中国のアリババさん。アントグループって言うらしいですけど。

三澤

上場がストップされましたね。

安田

はい。中国政府の鶴の一声で中止になりました。

三澤

中国ならあり得ますよ。

安田

上場したら市場最高値がつくと言われてて。歴史上、最大規模の株式公開ですよ。なぜ中国政府は反対するんですか?

三澤

政府というより習近平ですね。

安田

「国家に危険をおよぼす可能性あり」ってことなんですか。

三澤

そう判断したってことでしょう。

安田

企業が力を持ちすぎることを望んでないんですか。

三澤

中国から出ていくっていうのが、よろしくなかったんでしょうね。

安田

あくまでも国が管理できる範囲でしか発展を認めない?

三澤

そういうことです。

安田

だとするとGAFAみたいな会社が中国から出てくることはないですね。

三澤

どうでしょう。

安田

政府の鶴の一声で「上場が止められる」ってなると、有能な起業家は集まってこなくなるでしょ。

三澤

そこだけ見ればそうですね。

安田

アントグループを上場させて、中国発の時価総額ナンバーワン企業をつくったほうがよかった気がしますけど。

三澤

そこはもちろん考えたでしょうね。その上で習近平さんが「待った」をかけたってことです。

安田

習近平さんが待ったをかけたんですか?

三澤

と、言われてますよね。やっぱり影響力が及ばなくなるのは脅威じゃないですか。

安田

及ばなくなりますか。

三澤

ジャック・マーの力がもう半端なく強くなってるから。

安田

政府より強くなったら一大事ですもんね。

三澤

そうです。

安田

とは言え事業には金が必要ですから。上場したいですよね。

三澤

「上場しなくても国の予算あげるよ」ってなるんじゃないですか。囲い込んでおこうと思ったら。

安田

起業家としては時価総額でAmazonやGoogleを超えるって、最大の名誉ですよ。

三澤

本人はやりたいでしょうね。

安田

そんなに脅威でしょうか。ジャック・マーさん。中国政府の言うことをちゃんと聞いてるように見えるんですけど。

三澤

どうでしょうねえ。

安田

「あんまりお金持ちになられすぎても困る」ってのもあるんですか。

三澤

そこまでは分からないですけど。当然のことながら影響力は強くなりますよね。

安田

そりゃそうですよね。ドルもたくさん持ってるでしょうし。世界に対する影響力も中国国民への影響力も強くなるでしょうね。

三澤

それを恐れたんじゃないですか。

安田

でも中国政府なら、ジャック・マー暗殺ぐらい簡単にできちゃうんじゃないですか。

三澤

できるでしょうね。

安田

やろうと思えば一瞬ですよ。

三澤

本気になったら、やるんじゃないでしょうか。

安田

だったら、こんなに表立って上場を止めるのは、デメリットのほうが大きい気がするんですけど。

三澤

逆に「政府から“待った”かけられました」って言わないと、もう止められないでしょ。

安田

それはどうして?

三澤

だってもう引き返せないというか。すでに投資家からお金も集めて。

安田

確かに。それこそマフィアに暗殺されそうですよね。

三澤

いまさら「やめます」って言えないですよ。

安田

きっと、ものすごく考えた上で決めたんでしょうね。

三澤

これって金融の話なのですごくデリケートなんです。

安田

金融?

三澤

国が進めたい金融のインフラと、ジャック・マーさんが持ってるアントグループのインフラって、ちょっと内容が違うので。

安田

なるほど。そういう事情もあるわけですか。

三澤

アントグループがスタンダードになると、習近平としてはちょっとやりづらい。

安田

だからストップしたと。

三澤

そう思いますね。習近平がやろうとしてる金融施策とちょっと違う。ネットでもジャック・マーがいろいろコメントしてますよ。

安田

そうなんですか。

三澤

はい。金融機関とかに対して横柄な感じで。

安田

それで叩かれたと。

三澤

それがきっかけで「よし、これはチャンスだ」って感じで叩いた。

安田

叩くチャンスを窺ってたわけですね。

三澤

やっぱり金融というのが大きかった。そこの実権をどっちが握るか。いま日本でもPayPayがすごいじゃないですか。

安田

PayPayすごいですよね。どこに行っても。

三澤

あれも中国発ですから。

安田

そうなんですか!

三澤

はい。中国でバーコード決済が普及して。その延長でできたものですね。

安田

そんなに便利なんですか。

三澤

じっさい使い始めるとすごく便利です。

安田

お金の感覚がなくなりそう。三澤さんもPayPay使ってるんですか。

三澤

今はほとんどPayPayで支払いしてます。

安田

Suicaと何が違うのか、いまいちよく分かりません。

三澤

PayPayはチャージが楽なんですよ。一瞬で銀行口座から送金する仕組み。

安田

デビットカードみたいなもんですか。

三澤

そうですね。あとは使うと「何十円バックしますよ」みたいなリターンがある。

安田

いずれSuicaもPayPayに持っていかれますか。

三澤

だんだん淘汰されていくでしょうね。

安田

今はその過渡期なんですね。

三澤

昔でいったら「VHS」と「ベータ」の覇権争いです。どれが覇権を取るかによって大きく力関係が変わっていきます。

安田

アントグループは中国発なのに、習近平は応援しないんですね。

三澤

お金と国ってすごく密接に関係してるので。アントグループの決済方法がスタンダードになるのは困るんでしょう。

安田

習近平は決済を抑えておきたいと。

三澤

そのへんはすごく国策とも関係してると思います。お金のインフラをジャック・マーが牛耳ってしまうのは、習近平としてはすごく怖い。そこは絶対に取られたくない。

・・・次回へ続く・・・

\「ネットの履歴書」ネットCM公開中/ 劇画「絶句」に注目!?

感想・著者への質問はこちらから