ネームがクリアしたとき、基本概要書、IMを見たときに「ああ、こういう会社だな」っていうのがわかって、ここから基本合意?
で、トップ面談があって、売り手と買い手が会って、そのときに、いろいろと多少は質問をして、お互いに「いいよね」ってなれば……まあ、お見合いみたいな話だよね。いいよってなれば基本合意できちんと文書化して、そこから調査に入って、問題なければ株式譲渡の契約を結ぶと。
最終契約、デリバリーになるということですね。
そうそう。
じゃあ、そのなかにおけるデューデリなので、ある程度お互い結婚というか、「やってもいいかな」という前提のなかで「じゃあ、あなたのこと教えてください」というフェーズということですね。そしたら200個の項目が来たと。
「おまえ疑ってんの?」みたいなケースは、やっぱあるよね。
ああ、思ってしまう?
思ってしまうケースはある。FA(フィナンシャルアドバイザー)次第だけど、FAがちゃんと握ってないと、「こういうもんですよ」みたいなのとか、あとは、どのぐらいその対応をするかとか。だってまあ、お互いトップ同士は「それでやりたいね」っつって、「シナジーもあるし、うちの会社頼むね」みたいに言ってんのに、担当してくるのがコンサル会社だったり、法律事務所とか会計事務所とかが来るわけでさ。特に法務だよね、気悪くさせんのはね。弁護士とかってゴリゴリ聞いてくるじゃん。だから、そうするとさ、「なんだおまえ?」みたいなケースは俺もよく見るよね(笑)
ああ……
まあ、うちがやるときは親しくしてる人たちとやるから、そんなことは基本起きないんだけど。
うんうんうん。
やられる側からして、超大手とか来たりするとき、最近Zoomとかも増えてきたからさ、「まじでこいつ意味不明なこと言ってんな」みたいなのがあって、経営者キレそうになって、俺、急にミュートにしたりしたからね、売り手サイドを支援してるときに(笑)。だって、明らかに怒ってさ、指さしてんだもん(笑)。「こいつ頭おかしいんじゃないの」っていう顔してるから、聞かれないように消したけど(笑)
結局、当たり前のように基本項目があるんですけど、それを当たり前のように「答えろよ」っていう感じで言ってきたりすると……
当たり前のように「答えろよ」だし、「そんなこともわかんねーの?」みたいな。ビジネスの概要とかわかんなかったり、多少グレーなこともあるじゃん、中小だとさ。
はいはい。
そういうのも、すげーゴリゴリ聞かれるとさ、「知らねーよ」みたいな感じに……まあ、財務は割と経理だったり税理士じゃないと、社長自体わかんないことも多いから、結構細かい質問にはなってくるので、そんなに社長が手を煩わせることはないけど。だから売り手としては、経理がそれを知ってるかどうかで、社長の負担ってぜんぜんちがうよね。
でも、この方の今回の事例が、年商5億ぐらいの製造業ということなので、弁護士とか会計士がホンマもんの観点で聞いてきた質問に対して、経理がぜんぶ答えられるかというと、なかなか厳しそうですよね。
特に「株券発行会社なのに株券がない」みたいなケースが結構あるんだよ、古いとさ。
ああ。
あと、流れが、「それを言われても」みたいな、それをずっと聞いたところでさ、「ないものはないんだけど」みたいな結論にしかならないじゃない(笑)報告書をまとめるためにやるデューデリだとさ……だから、ちょっと、うちもやり方を変えてきてるというか、結局、本質的にどこが必要なのかって話だから、そっちのほうに法務に振って、要は契約をどうまくか、「ないものはないです」って報告してもないんだから、「ないから、こうしましょう」みたいなほうに持ってかないと、なかなかスモールディールって決まんないよね、みたいなところもあるなって。
でいうと、この方の200項目ぐらいっていうのは、そういう意味でいうと…
まあ、そのぐらいあると思うけど、それを出しちゃうかどうか、みたいなところはあるよね。社長の性格とかに応じたほうがいいというか。
いきなり「はい、これぜんぶ埋めてください」みたいなことではなくて?
まあ、だからそれは、ほんとは売り手側のFAがうまく「それをバーンって渡したら怒るな」とか思ったら、判断してちゃんとさ、ヒアリングベースでFAがだいたい答えちゃって、みたいなことができればいちばんいいんだろうけど、まず、資料の依頼だけで結構あるから、さっき言ったみたいに経理と会計事務所とかがそれを知ってれば、割とというか、きちんと、社長の手を煩わせず……だからそこは、はじめに考えたほうがいいよね。そうなるんで、必ず、進んでったら。
ああ。
まあ、経理の口軽いおばちゃんだったらね、経理に黙ってなきゃいけないケースかもしれないけど(笑)。そのへんは、もしそうであれば税理士さんとかに言って、前も言ったかもしれないけど、税理士もその業務なれてないから、存在しない業務にお金取りにくいからさ。
うんうん。
税理士で取りにくいというか取らない人が多いけど、結構大変なんで。デューデリ対応費用みたいかんじで、何十万か作業料は請求してもらって、やってもらったほうが、たぶん楽だと思うんだよね。
今回この質問をされてる、買い手のほうでデューデリをする担当者と、売り手の、それに対して“デューデラ”っていうんですか、回答しなきゃいけない人たちがいるじゃないですか。
回答……“リ・デューデリ”どう?(笑)
造語はお互いやめましょうか(笑)。そこって基本的には、この規模感、ちょうどわかりやすいんですけど、年商5億ぐらいの売買が始まるとして、誰がするんですか?税理士の仕事ですか?
なにを?もう一度お願い、ごめん。
デューデリに対応する売り手側の担当者は誰が?
誰がって決まってないから、いま言ったのは、社長ひとりでMA進めたら社長がやんなきゃいけない。だから、たぶんそれがすごい大変で。経理ないし顧問税理士に、その関係性によるけど、やっぱそこは開示しておかないと、自分で決算書とか探して、無理じゃん、会計ソフトとか見れないじゃん、だいたい。
いやあ、そうですよね。
だから、少なくともそのどっちかは入れて、きちんと報酬も払うなり、経理も大変になるから、ボーナス出すなり、わかんないけど(笑)、対応する準備はしたほうがいいよっていう。それはたぶんね……ちょっと長くなってきたから、買い手側はまた次に話そうか。
買い手側も?
買い手側も、そのほうが助かんのよね。だって、俺らが行って社長しか知らなくて、社長なんにも知らないのに社長にずっと聞いてたって、なんも出てこねーなこれっていう(笑)
なるほど。次回、買い手の話をするとして、最後に1個だけ、簡単な質問なんですけど。
はいはい。
よく、両手と買い手で仲介に入るっていう話が出るじゃないですか。
両手と片手ね。
あ、両手でやる場合の件って、これって、いまのこのやり取りを同じ人がやるってことですか?こっち側のデューデリをこの担当者がやり……
デューデリは基本コンサル会社がやる。まあ、FAがやることもあるけど、別の会社を連れてきてやるけどね。
なるほど。そうすると、自分の息が吹きかかったとこだと、非常に都合のいいデューデリが始まるってことですよね(笑)
(笑)。いや、やるのはさすがに専門家なんで。だから、変なことは出せないよね。
ああ。
さすがにそこは残るし、「調査しきらんかった」みたいな話だと責任問題も、やっぱあると思うんで。
なるほど。
それは、基本的には大丈夫。FA自体がやるとなると、たしかにその気はある。一応、仲介会社も、売り手と買い手の担当を別にはしてる。
なるほど。そこはちゃんとなってる?
それ、でも、同じ会社だからね、はたしてどうなのかっていう(笑)
ですよね。
だから、ちゃんと専門家を入れないと、マッチングするために、うまいデューデリやられちゃう可能性はあるから。
ですよね。だから、要はマッチングのための都合のいいFAが両方入っちゃうと……
そのときに「デューデリやらない」っていう選択を押し進められる可能性はあるよね。
ああ。
そうすると、誰も責任取らなくていいから。
しかも、簡易的に進んじゃうし。
そうそうそう、楽じゃん。で、弁護士入ってゴニャゴニャ言ったら、だめな案件も……違法案件とかあるわけじゃん。そういうのがもしかしたら……
まあ、ということで、いったんの今回のところまででいうと、デューデリが始まると、このぐらいの項目を求められるのは一般的には普通だし、べつにおかしな話ではないというなかにおいて、じゃあ次回、こんどは買い手側のほうの注意すべきだったり、どういう実態になってるのか、お話聞かせていただきたいなと思っております。
はい。
じゃあ、質問もいっぱい来てるんですが、次回はデューデリの話しましょう。
ちょっとね、与太が……与太、短かったんだけど、デューデリがいろいろあるもんね(笑)
ということで、いったん終わりたいと思います。
はーい。
ありがとうございました。
ありがとうございまーす。