【大手の作法/034】 目標を問い詰めるな

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法:  目標を問い詰めるな

withコロナと称される現在。
大手さんで働く方々から今後のキャリア
について相談されることが増えています。

先日。
キャリア開発に詳しい慶應義塾大学大学院
特任教授の高橋俊介さんが
長期視点でキャリアを切り開くための
「心の備え」について話していました。

「これから一層のスピードで
様々な業界再編が起こることが予想され、
企業に勤めていたとしても
安定は約束されない。。」

「自らのキャリアの方向付けを
主体的にリードする
“キャリア自律”の思考は、
働く人すべてにとって必要になる」と。

至極当然のことですが、
なかなかそのように考えられる方が
多くないのが現状かと感じます。

大手さんでは、
20代、30代、40代、50代の
各世代において
キャリア研修を実施することが
当たり前のように定着しています。

その過程で、
来年には、3年後には、5年後には、
どこで、どんな仕事をして、、
と。
より具体的に目標を立て、
実践プランに落とし込んだり
しているのです。

私の知る限り。
そのような目標設定は
15年以上も前から現在に至るまで
大きく変わってはいません。

特に現在30代、40代、50代
の方々は
「しっかり目標を掲げ、
具体的な行動設定」を続けてきたのです。

一方。
最近の10代、20代は、
・好きを仕事にしよう
・偶然を楽しもう
・自由、自然体、心地良さこそ大切
といった価値観に共感する方が
少なくなくありません。

彼らからすると
大手さんでは当たり前であった
キャリア開発には
・決まり切った将来ばかりが見える
・居心地が良くない
・凝り固まった価値観に染まりたくない
などと感じ、
かえって自分や組織の可能性を
狭めてしまうのでは、、
と、そのギャップに
悩まされているのです。

ある大手の人事担当役員が
以下のようにおっしゃっていました。

「“目標を持たせる”ことで
“相手を悩ませ、苦しませる”ことが
増えてきた。。

でも、それは20代の若手ばかりでなく、
上の世代も同様なのです。。」

確かに。
最近私にキャリア相談してくださる方々も
40代、50代ばかりです。

教育研修・組織育成業界では、
「ジョブ・クラフティング」
と呼ばれていますが、

“目標から逆算せずに、
仕事の実績を積み上げていく”
ような発想も大切ですね。

いただいた仕事内容や
そこでの周囲との関係、
自分の想いや強み、
などを適応させながら
「仕事の価値や自身の存在意義」を
見出していく考え方です。

思えば。
「目標は?」などと唐突に問われると
なんだか適当に答えていた
過去の私もいます。

誰かのススメを鵜呑みせずに
「自分で自分の仕事に“意味づけ”」
をしていきたいと思うのです。

 


高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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