第113回 意欲も能力もあるはずなのに。。

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/ 意欲も能力もあるはずなのに。。

先週末、都内カフェでの出来事。

リモートワークに勤しむ高松の近くには、齢40半ばと思しき、私服姿の男性が2名。

(後に、超大手さんの上司×部下とわかりました)

ひとりの携帯に着信音が鳴り、口元を隠しながらの会話をはじめ、その声が聞こえてきます。

一方だけの声ですが、内容は以下の流れ。

「もしもし、Wさん。お休み中どうしたの?」

「え!?幼稚園も小学校も学級閉鎖になっちゃったの?それは大変だね。。」

「でも、Wさんの業務だったら、在宅でも対応可能だから、申請出してくれれば良いよ?」

「うん。うん。お子さんたちの面倒を見ていられる方がいれば大丈夫だからさ。ご両親やご家族、近所の方など頼める方にお願いしてさ」

「え、、こんな時期にご両親には来てもらえない?他にも頼めそうな方がいないのか、、」

「。。。。」

「じゃあ、年休取ってもらうしかないかな。。」

「うん。そうなるよね。大変ななか連絡くれて、ありがとうね。じゃ、また。。」

やり取りが終わったようで、部下と思しきもうひとりの方が、

部下
「課長。Wさん、来週休みですって?」

上司
「そうなんだよ。お子さん2人とも学級閉鎖になっちゃったんだって」

部下
「でも、Wさん、リモートできますよね?来週、いろいろと頼んでいる仕事があって、webで構わないから打合せさせてもらえませんかね?」

上司
「いや。『俺も在宅にすれば?』とは言ったんだけどさ。彼女、真面目だから『子供の面倒見てくれる人がいない』って言うんだよ。。」

部下
「え、、別にずっとwebを繋いでなきゃいけないワケじゃないし、カメラだってオフでも構わないんだから。。Wさん、仕事も早いから、そんな時間かからないだろうし。。」

上司
「そうだよ。極論、誰も呼べなくても『誰か呼べましたから』って言ってくれれば、“在宅扱い” にできるんだけど。ウチの会社の人、真面目だからさ。管理職から『ルール破って良いよ』とも言えないし、、」

どうやら、こちらの会社では、「在宅業務は申請があれば可能」なようですが、サポートが必要な家族がいる場合、自分以外の人手がなければ、「業務遂行不可な状態」とみなされるようなのです。。

「ウチって、超大手だなんて言われて、グループ会社の多くはリモートワークやDXなんかが進んでいるって取り上げられたりしているけど、、親会社はリモートワークすらままならない状態ってことよな。。」

ポツリとこぼした課長の手元には、誰もが知る超大手企業の社名が書かれた入退管理カードが見えました。。

ルールを守るマジメな方が多くいることは、とても素敵ですが、意欲も能力もあるはずの社員さんが、その力を発揮できないガチガチの制度があることに触れた出来事でした。

(高松の友人も勤務しており、後日裏取りしましたが、「ウチの制度を変えるのは難しいよ。。」と渋い顔をしていました、、)

 

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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