第211回 自分らしさの正体

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/自分らしさの正体

某大手さんでの「定着率向上プロジェクト」にて。

「働きやすい職場づくり」について、若手層とベテラン層が共に意見交換をしている場に参加しましたが、

・給料が安い
・残業が多い
・夜勤のローテーションが不平等
・先輩が忙しそうで話しかけづらい
・若手からもっと質問や相談がほしい
・共通の話題が見つけにくい
・そもそも仕事の場に雑談は不要なのでは?

など、現状、離職率が上昇している職場への「不満や不安」が少なくないご様子。

「制度面、仕組み面」への改善要望や「人と人との関係性」についての改善案など、様々な参考意見が上がっていましたが、

意見交換が進むにつれて、「双方に共通」して上がってきたのが、

「自分らしく働ける職場を作りたい」という思い。

それぞれに自身の人生があり、キャリア観、背景、状況も異なります。

「自分らしさ」とは、一体どんなことなのでしょう?

若手層からは、「個性を大切にしてほしい」というワードが多く見受けられましたが、ベースにあるのは、「みんな違うことが当たり前」という価値観。

一方で、ベテラン層からは、それぞれが異なる価値観を持っていることは当然ではあるが、「自分らしさ」を発揮する場所には、「チームワーク」が存在していることが大前提である、との考え方。

管理教育や指示方マネジメントの「終焉ムード」や、多様性を求める「社会の変容」に向き合っている現状組織において、健全な意見交換なのではと感じます。

そんななか、20代後半の中堅層にあたる方が、ご発言を。

「 “自分らしさ” や “個性の発揮” については、2つの前提があるのかなと思っています」

「1つは、組織としてどこを目指すか、その中での、それぞれの役割を自らの意志で作り上げられるようにできる組織であること」

「2つめは、誰かの役に立つことを実施すること」

「結局、個性だとか、自分らしさというのは、人と人の関わりにおいて “存在意義・価値” を発揮することだと思うんです」

「たった一人だけしか存在しない場所で、個性や自分らしさを声高に叫んだとしても、価値は生じないのかなって」

「だから、“自分らしさ”を大事に大切にしたければ、まずは誰かの役に立とうとする姿勢からがスタートだと思っています」

「職場の誰か、お客さんの誰か、世の中の誰か、それが、友達や家族の誰かであっても構わないんじゃないかな」

「そうすることで、自分だけでなく、周りからも認められる個性が磨き上げられるんじゃないかと思うんです」

いかがでしょうか?

こちらのお客様と長くお付き合いしている僕には、とても素敵なコメントに感じました。

世の中には、多くの個と組織が存在していますが、それぞれに「らしさ」があるのでしょうね。

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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