第163回 幕の内弁当の作り方

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/幕の内弁当の作り方

先日、「名だたる大手」の若手たちと「スタートアップ」の若手たちが集まる場に参加しました。

「仕事において、意識していることは?」

・組織視点、全体視点を意識する
・先ずは、自分が本当にやりたいことなのかを考える

「商品開発の際に、注意することは?」

・上司に承認されやすいように部門のムードを掴んでおく
・何が面白いか、どこが新しいか、を語れるようにしておく

それぞれが特色のある回答をしていましたが、

「大手で身に付くスキルは?」「スタートアップで身に付くスキルは?」という切り口での意見交換は、なかなかに興味深いものでした。

◆スタートアップ

・自身の意見・アイデアを求められるため、「考える習慣、発信力」が身に付く

・意思決定の早さに触れられるため、「スピード感」をもった仕事の進め方が身に付く

・事業の方向性や戦略、対応が頻繁に変わることもあり、柔軟な「変化対応力」が磨かれる

◆大手

・立場・役割を踏まえ、どう発言・行動するかを考える習慣が身に付くため「全体視点」が磨かれる

・複数部門や多数のパートナーと協業することが多く、「協調性」「調整力」が磨かれる

・長期間続く大型プロジェクトに携われるため、「スケール感」を持った仕事を体感できる

どちらが良い、悪い、ではありませんが、特色がある回答ですよね。

超名門大手を3年で退職し、スタートアップに転職して3年が経つAくんの意見が、特に印象に残っています。

「大手時代は、『若手=経験不足』と決めつけられていた印象が残っていますね」

「少なくとも10年ほど勤め、複数部門を経験して、『ようやく一人前』と認められるようなムードがありました」

「でも、そんな先輩や上司の多くは、『飛び抜けた特徴やスキルを持っていない』というか、、、」

『結局、何が得意なんでしたっけ?』っていう、、『幕の内弁当』みたいな人たちばかりでした。。」

「だからと言って、スタートアップがすごい!というワケではありません、、」

「地頭で言えば、大手にいる人たちの方が圧倒的に優れている人が多いのは、事実かと」

「でも、そんな優秀な人たちを『幕の内弁当』に作り上げてしまう『評価制度』や『縦社会の風土』が残っているんじゃないかな。そこが問題なだけで、そこさえ変えていけば、日本はガラッと変わると思います」

「やっぱり大手の人たちはめちゃくちゃ優秀ですから!!」

みなさんは、どうお感じになりましたか?

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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