第204回 聞かれちゃいけないお話

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/聞かれちゃいけないお話

某大手さんの会議に同席させていただきました。

ほとんどの人が聞き馴染みのある、そんな会社の「営業会議」

「他部署からの参加もOK」、「出入りも自由」とのことで、開発部門や人事部門からも若手、ベテランが出たり入ったりと、会議室は賑やかな雰囲気。

なんだか居心地は良いんだけど、外部の高松もいるのに、

ああだ、こうだと様々な情報を「包み隠さずに」話し合っているのです。

とっても居心地が良いのですが、不思議にも感じ、

「いつもこんな感じなの?」と問いますと、

・10年ほど前に、新社屋に引越ししたんですが、、

「それまでは、営業も開発も横並びで、時には意見対立で大声で騒ぎ合うこともあったんですが、まあ、ワイワイガヤガヤと賑やかなムードだったんですよ」

「でも、新社屋に引越しして、別々のフロアになって、立派な会議室もたくさんできて、それぞれが仕事に集中できるような、おしゃれで綺麗な空間に慣れ始めた頃に、、」

「お互いが顔を合わせることが激減したな、なんて寂しく思っていたんですよ」

・その頃からでしょうか。。

「なんだか、部門内で、『社内秘、部門外秘』なんて言葉が出始めて、それがどんどん広まっていって、当たり前になってきた頃には、『自分たちだけの手柄や利益を優先する』ような、そんなムードが作り上げられていたんですよね。。」

「まあ、自分たちで勝手に社内に壁を作って、閉鎖された空間を作って、そこで細々と仕事をするように仕向けちゃっていたんですよね。。」

「そんな頃は、業績も芳しくなかったですし、事故や不祥事も起こしちゃいましたし、、」

・で、色々と考えたんですけど、、

「『まずは、会議室の扉を開こう!』ってなって」

「本来、社内の人に聞かれちゃいけない話なんてないワケですし、そんな話はする必要がない」

・そうしたら自然とオープンな会話が生まれ出して!!

「他部門の人たちからの率直な意見ももらいたいよね」

「だったら、自由に参加してもらおうよ!」

みたいな会話も生まれて、

「それで今のスタイルになったんですよ」

「自分たちで生み出した閉鎖的な空間。それを取っ払うために結構苦しみましたが、まあ、良い経験でした」

「自分たちだけの都合ばかりを優先して、画策していたのが、会議室をオープンにして、誰でも参加自由にしたことで、全社のことを考えるようになりましたし、その場に各部門の方がいてくれたりするんで、話が早く進むようになったんですよ」

「今後は、お客さんにも参加してもらおう、と企んでいるんですよ」

「我々の会社都合の話ばかりするんじゃなく、お客さんも交えたみんな都合で営業会議が進めば、めっちゃ盛り上がりそうじゃないですか?」

そんな風に皆が話す、こんな空間だからこそ、外部の高松であっても居心地が良かったんですね!

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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