このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/違和感の正体
One Spoon, One Smile
食を通じたサービスで、
世界に笑顔を。
「壱番屋」さんが目指すのは、そんな世界。
「カレーハウスCoCo壱番屋」などを展開する大手飲食チェーンですが、そのフランチャイズ展開をする会社「スカイスクレイパー」さんが、新社長に「アルバイト出身の22歳を大抜擢」したことが話題になっています。
新社長の諸沢莉乃さんは、高校1年生の15歳の時に横浜市の自宅近くの店でアルバイトを始め、19歳の時に全国のココイチでわずか15人しかいない「接客のスペシャリスト」に認定され、20歳の時には創業者から「次期社長の打診」を受け、それを迷うことなく引き受け、バイトスタートから「わずか7年で社長に就任」したのだとか。
フランチャイズ本体は、「ニコニコ・キビキビ・ハキハキ」を社是に、「お客様第一主義」「現場主義」を徹底する育成方針をとっていますが、その思いはフランチャイジーにも浸透しているようです。
先日、そんな話を「大手外食企業の人事コミュニティ」に参加した際に、教えていただきました。
各社が「採用・育成・配属」において、「大切にしていること」は共通しているようで、
・笑顔
・挨拶
・相手視点
・現場主義
を徹底して「実践・積み重ねた方」は、
アルバイトだろうが、現場採用だろうが、次のステップを打診し、実際に、管理職・役員に昇格しているようです。
先述の、22歳の諸沢新社長を抜擢した創業者は、「笑顔も元気さも、挨拶や接客姿勢も輝いている。人の悪口も言わず信用できる」と、後任としての起用理由を語っているようですが、
各社の人事さんも口を揃えて
「われわれの業界には、『挨拶と笑顔』は特に大切ですよね」
「先輩方から、『挨拶は身を守る鎧』として三島由紀夫も実践していたと教えられて育ちましたよ」
「実際に、できる人、尊敬する上司は笑顔と挨拶が素敵でね」
「そういう人ほど自分から自然に挨拶してるよね」
などの話を進めます。
確かに外食大手の現場を周りますと、
『挨拶にスランプなし』『笑顔に勝る武器はナシ』などのフレーズが掲げられていますね。
それくらいならできそうかも、と実践を誓ったワタクシなのであります。
が、同時に、少しの違和感も。。
みなさま、「現場主義!!」「現場こそがリアル!」「現場をわからんヤツがマネジメントなんてできっこない!」という話もなさっていたのですが、、
にもかかわらず、、
現場で活躍した人を昇格させることについては、
「大抜擢人事、高卒からの異例の出世、女性や若手の躍進を増やさなきゃ」などなどのお声ばかりが聞こえるのです。
同席していたパートナー講師との帰り道に、
「『現場主義』と本当にお考えでしたら、別に『異例』などと言われることもなく、学歴・性別・配属先などで、その後のキャリアを決めつけることもないはずなのでは?」
彼がボソッとつぶやいたのですが、
なるほど、それが「違和感の正体」だったのかもしれません。。
某国家組織の「キャリア採用・ノンキャリ採用」みたいなものの存在が、見え隠れするのでありました。。