このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/やらない理由・やる理由
「年齢って『便利な言い訳』やなあ」
某大手さん「50代キャリア研修」にて、そんな会話が飛び交っておりました。
休憩時間に、ベテランさんたちが紙コップのコーヒーを片手に笑い合っていたのですが、
「最近、会議室の移動で息切れするんだよ」
「俺は、会議前には『ちょっとトイレ行くわ』って、時間稼ぎしてるで」
「徹夜?そんなんもう無理やろ」
皆がうなずきながらも、どこか「誇らしげ」に見えます。
「反射神経は鈍くなるし、、体力も下降線。。」
「酒飲んだ日の記憶は曖昧やし、、」
「翌日は『体の監査役』から厳しいご指摘をもらうわ。。」
そんな声が聞こえてきますが、同世代であるタカマツにとっても「身につまされる話」です。。
ですが、ビジネスに「年齢制限」はありません。
むしろ、この「できない理由セット」は、「自分にも周りにも説明しやすいよな」なんて、しんみりと思っていますと、
「ウチみたいな大手だと『経験や役職が武器』にもなるから、『年齢を理由にペースを落とす』ことが許される空気もあるよな」
「若手の頃の評価軸は『スピード・体力・吸収力』やったけど」
「年齢を重ねてくると、『判断の安定感』『調整力』『顔と名前の広さ』みたいな、『経験の貯金』が効いてくるわな」
なるほど、体力の衰えは知恵と人脈で「補填」できるようなのです。
そんな和やかな空気の中で、どなたかがふと漏らしました。
「でもさ、、この『便利な理由』に甘えまくって、やりたいことを先送りしてきた気もするんだよな。。」
「盾だったはずの年齢が、いつの間にかブレーキになってた、みたいな、、」
場が静まり、皆が少し考え込む時間が続きます。
すると、同じ場にいた人事部門のベテランさんが笑って言いました。
「年齢って『やらない理由』にも『やる理由』にもできるやんか」
「みんなせっかくここまで来てんねやから、『ブレーキじゃなくアクセル』に使ってほしいよな」
「まあオレもやけどな」
休憩明けの会場には、それぞれの心にスイッチが入ったような空気が漂っていたのであります。いや、おそらくそうだったと思います。