日本人は中東を「イスラム教の国々」と一括りにしてしまいがち。でも中国・北朝鮮・日本がまったく違う価値観で成り立っているように、中東の国だって様々です。このコンテンツではアラブ首長国連邦(ドバイ)・サウジアラビア・パキスタンという、似て非なる中東の3国でビジネスを行ってきた大西啓介が、ここにしかない「小さなブルーオーシャン」を紹介します。
質問:中東ではお酒が飲めないって本当ですか?観光客はどうしてるんですか?
中東でお酒が飲めないというのは、一部の国では本当です。
国によって規制は異なりますが、外国人観光客は普通に飲めるところもあります。
たとえばドバイの外資系ホテルにはバーがあり、観光客は飲酒できます。
トルコもイスラム教の国ですがお酒はかなり自由です。
お酒がない国の筆頭はサウジアラビアで、一部の例外を除き、アルコールの輸入は禁止されていますし、街でも売っていません。
飲料用アルコールだけでなく、製造過程でアルコールが発生する醤油もアウトです。(アルコールが発生しない特殊製法で製造された醤油は売られています)
ただ、サウジアラビアは昨年観光ビザを解禁し、これから観光産業を推進していく方針です。
最も厳格な国の一つですが、場合によっては今後ドバイのように一部開放する可能性も否定はできません。
ここまでは国としての観点ですが、そこに住む人々はどうなのでしょうか?
中東の人々と言っても百人百様なので一括りには言えませんが、宗教的背景から基本的には飲まない方がマジョリティと考えて良いでしょう。
日本に留学経験のある友人は「日本人って、私から見るとほぼ全員アル中レベルなんだけど」と笑いながら言っていました。
ちょっと言い過ぎですが、そのくらいお酒に対する認識の違う人もいます。
しかし、中には「飲めない国」出身であるサウジ人が、海外で酒に目覚めるケースもあります。
お酒の美味しさを知ってしまった。
帰国後、どうしても飲みたい。
しかし、国内にはない。
どうするのか?
私の友人は週末、ドバイやバーレーンに飲みに行っていました。
「バーに行ってくる」と言って飛行機に乗るのです。
また、日本で一度居酒屋に連れていったパキスタン人はある日本酒の銘柄(辛口)をたいそう気に入り、お店の在庫をすべて飲み尽くしてしまいました。
あまりに気に入っていたため、その銘柄の一升瓶を彼にプレゼントしたところ、非常に喜ばれたのですが、私が不注意から瓶を割ってしまいました。
すると、彼はウオーと声をあげて泣きはじめたのです。
まるでこの世の終わりが来たかのような号泣っぷりで、
「本当にすみません。新しいの買うのでどうか泣き止んでください」
となだめてもおさまらず、さっき飲んだ酒が全部目から流れ出ているのでは? と思うほどの勢いで、結局2時間以上泣き続けたのです。
私が感じるのは、やはりお酒というのはハマると大変だということ、禁止されていようが飲む人間はどこにでもいるということです。
もしかすると、飲むと深くハマってしまう人が多いということで教えの中で戒めたのかもしれませんね。
この記事を書いた人
大西 啓介(おおにし けいすけ)
大阪外国語大学(現・大阪大学)卒業。在学中はスペイン語専攻。
サウジアラビアやパキスタンといった、どちらかと言えばイスラム感の濃い地域への出張が多い。
ビビりながらイスラム圏ビジネスの世界に足を踏み入れるも、現地の人間と文化の面白さにすっかりやられてしまった。
海外進出を考える企業へは、現地コネクションを用いた一次情報の獲得・提供、および市場参入のアドバイスを行っている。
現在はおもに日本製品の輸出販売を行っているが、そろそろ輸入も本格的に始めたい。大阪在住。
写真はサウジアラビアのカフェにて。
1件のコメントがあります
バンコクに行くとアラブ系の人達ばかりがいるホテルがあります。そこの階段の踊場では、俺達はインターナショナル ムスリムだ、と言って、ウィスキーをラッパ飲みして倒れているアラブ系の人達がたくさんいました。
あー、こういう飲み方するから禁酒なんだな、と思いました。