第13回 ジュエリーの修理を断られたら「Refine」へ

この対談について

母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。

第13回 ジュエリーの修理を断られたら「Refine」へ

安田

以前の対談で、「何軒も断られたお客さんが相談に来られることも多い」と仰ってましたよね。他のお店も商売なのに、なぜ断っちゃうんでしょうか。


望月

もちろん理由は様々だと思いますが、私の体感では「修理依頼をする相手が間違っている」というパターンが一番多いんです。そもそもジュエリーの修理に対応していないお店に依頼している方が意外といらっしゃる。

安田

え、そうなんですか? でもそういうのって、ネットで調べたら簡単に出てきそうな気もしますけど。


望月

お客さんの年齢層にもよると思うんですが、ネットにそもそも慣れていなかったり、あるいは調べたら調べたで情報がありすぎて迷ってしまったり。結果よくわからなくて、仕方がないからデパートに行く(笑)。

安田

なるほど(笑)。確かに我々以上の年代って、「デパートなら安心だ」って感覚がありますもんね。でもデパートの宝飾売り場は修理がメインじゃないから、断られてしまうと。


望月

そうなんです。つまり、別に意地悪で断っているわけじゃない。サービスとして受けられないというだけなんです。実際、デパートの宝飾店の店員さんに、ジュエリー修理の知識はないんじゃないかなと思いますね。

安田

ふーむ、そういうことか。ちなみにそれは街の宝石店でも同じなんですかね?


望月

同じでしょうね。あくまで宝石の「販売」がメインで、修理までカバーしている店はごく一部です。デパートの店員さん同様、修理を依頼されてもどうしようもないと思います。

安田

なるほど。つまり専門知識や技術が必要なものはなかなか受け付けてくれないわけですね。確かに望月さんのように、1人1人オーダーメイドで対応するのって、すごく手間というか、時間がかかりますもんね。


望月

それも修理を断る理由の一つだと思います。彼らの場合、基本的には業者から仕入れて、それに利益を乗せて販売するビジネスモデルです。そこに「修理」や「加工」という工程は入っていません。

安田

ははぁ、なるほど。つまりお客さんが修理を断られるのは、「そのジュエリーがそれほどひどい状態だから」ということではなくて、「そもそも修理を受ける用意がない」ということなんですね。


望月

そういうことです。そしてそれは当然、お店側のリスクヘッジでもあるわけです。修理を受けるということは、お客様から宝石をお預かりするわけで、いろいろなトラブルが発生する可能性がありますから。

安田

ああ、確かに。加工中に石が割れちゃう、みたいな可能性もゼロじゃないですもんね。そういうリスクを避けるためにも、「うちではできません」と断ると。


望月

そうですね。まとめると、「知識や技術がない」「割に合わない」「リスクを避ける」という三つの理由で他のお店は断ることが多いんだと思いますね。

安田

なるほど、よくわかりました。でも、Refineさんだってリスクという点では同じじゃないですか。修理やリフォームを進める中で、石が割れてしまうことはあるかもしれないわけで。


望月

もちろん可能性としてはあると思います。ただうちには修理・リフォームのノウハウがあるので、「どういうリスクがあるか」ということが普通の店よりも具体的に想定できるんです。そしてだからこそ、「この修理にはこんなリスクがありますよ」とお客様にしっかりご説明できる。

安田

ははぁ、なるほど。手術の前のインフォームドコンセントのような感じですね。つまり修理・リフォームの技術だけでなく、「どういうリスクがあるかを見極めるスキル」も非常に必要だと。


望月

その通りです。例えば「石が割れてしまうリスク」があるなら、もし割れてしまった場合に近い石をご用意できるか、というところまで確かめた上でご提案します。

安田

そうか。「それでもやってください」って言われたら受けるっていうことですね。そうしないと、後からクレームになっちゃいますもんね。ちなみに保険とかってかけてるんですか?

望月

保険には入ってはいますが、もし壊れてしまった場合、全く同じものをお返しすることはできないので、100%安心ということではないですね。保険ではお客様の「大切価値」は補償されないので。

安田

なるほどなぁ。とはいえ、他に受けてもらえる店があるわけでもないから、望月さんに賭けるしかないですよね。実際、そういうリスクを理解した上で皆さん依頼しているわけで。

望月

もちろん我々としては、そういう事故がないよう細心の注意を払って臨みますので、ほとんどはご希望通りになりますけどね。

安田

なるほどなぁ。ちなみに望月さんのところに持ち込まれる修理・リフォームっていうのは、技術的にもやっぱり難しいものが多いんですかね? それともごく簡単な対応で直るものも多いんですか。

望月

それが意外にも、初歩的な修理で直せるものが多かったりします。私も「これくらいならやってあげればいいのに。なんで断ったんだろう」なんて不思議に思うんですけど(笑)。

安田

へぇ。ともあれお客さんの立場からすると、すがる思いでお店に来て、あっさり「直せますよ」なんて言ってもらえたら、ものすごく嬉しいでしょうね。

望月

そうかもしれません。そうやって喜んでくれる顔を見るのが、私達のやりがいでもありますし。

安田

でもそうやって諦めずに何軒も回ってくれたらいいですけど、私だったら1軒断られたら諦めちゃいますよ(笑)。

望月

いやいや(笑)。そう言わず、他のお店で断られていても、まずはお見せいただきたいですね。他では絶対にやってもらえないような裏技的な方法も含めて、何かしらできることはあると思うので。


対談している二人

望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表

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25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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