母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。
第23回 稼げるジュエリーリフォーム職人になるには
Refineでは、お客様から預かったジュエリーのリフォームや修理を実際に行うのは職人さんだと聞きました。そういう職人さんになるには何か資格が必要なんですか?
資格がないと仕事ができないということはないですね。貴金属装身具技能士という国家資格はありますが、持っているに越したことはない、という位置づけです。
なるほど。免許のようなものではなくて、学位のような感じですね。持っていれば就職に有利になるというような。
そうですね。資格試験では、決められた時間内にどれだけの作品を作れるかで合否が決まるんです。でも、合格したからといって必ずしも良いものが作れるわけではないので。
なるほど。要は一定のレベルに達していることを証明するものなわけですね。弁護士さんやお医者さんのように、持っていなければ仕事ができない資格とは違うと。
そうそう。今いる職人さんたちも、そういう資格の枠にとらわれている人はいませんね。昔の大工さんのような感じで、とにかく現場叩き上げというか、自ら修行を重ねて経験を積んできた人たちばかりで。
ははぁ、なるほど。その中でも特に腕のいい職人さんがいたりするんですか?
ええ。とんでもなくすごい技術を持った職人さんがいますよ。国宝級の職人さんというか…。通常の10倍から20倍くらいの加工賃がかかるので、我々が依頼することはそうそうないですが(笑)。
へぇ〜、「国宝級のジュエリー職人さん」というと、文字通り国宝を修理するような方なんでしょうね。ちなみに望月さんが実際に仕事を依頼する時は、どうやって職人さんを選ぶんですか?
まず職人と一言でいっても、担当する工程はいろいろなんですね。ゼロから指輪を手作りで作るような職人さんもいますが、一方で「石留め」だけをやっている職人さんがいたりする。それぞれの作業ごとに専門の職人さんがいるんです。
へぇ、そうなんですね。ということは、その時に必要な工程に合わせて職人さんを選ぶわけですね。ちなみにその際、資格の有無は判断材料に含まれますか?
僕の場合は全く含まないですね。純粋にその方の腕で判断します。
そうなんですね。ちなみに望月さんは職人さんの腕をどこで判断するんですか?
なかなか一言で表すのは難しいですね。その方の過去の加工物を見ながら、総合的に判断している感じです。腕と言っても単に技術力だけの問題じゃなく、スピードも重要ですし。同じ品物でも、2週間で作れる職人さんもいれば、何ヶ月もかかる人もいたりしますので。
なるほど。依頼する職人さんによって、同じ作業でも納期が全然違ってくると。
そうですね。加工内容によって妥当な期間ってありますから、それを超えてしまう場合は商売として成り立たなくなります。言い換えれば、「スピードが早い」ということは職人さんの腕の中でも、すごく重要な位置を占めるということです。
ああ確かに、キャッチコピーやネーミング、デザインなどのクリエイティブな仕事も同じですもんね。それにある意味不思議なことに、技術のある人ほどスピードも早いんですよね。技術力とスピードが比例していると言うか。
わかります。スピードが早い人は技術もしっかりしている人が多い。そういうわけで、同じ仕上がりで2週間と1ヶ月という倍の納期だと、迷いなく早い人に頼みます。あとは「同じ目線で仕事をしてくれる人」には、また次も依頼したくなりますね。
ほう、「同じ目線」というのはどういうことです?
職人さんは僕らのようにお客様から直接話を聞いているわけではないので、リフォームや修理を依頼する背景は知らないわけです。それでも「大切なものだろう」と丁寧に扱ってくれる職人さんだと、安心感があるじゃないですか。
ああ、確かに。実際お客さんにとっては大切な形見だったりするわけですもんね。
そうなんです。さらに依頼した内容から要望をうまく汲み取って、職人さんの方から「これはもうちょっとこうした方がいい」とアイデアを出してくれたりすると、非常に心強いですよね。
ああ、それはいいですね。プロの目線からよりよい案を出してくれると。
そうそう。さすがだなと思います。実際、その方がいい場合が多いので、改めてお客様に提案し直すこともありますよ。
うんうん。確かに提案力は大事ですよね。ライターさんでも、ただ指示された通りに書くよりも、「このページは何のために作るのか?」と聞いてきて、「だったらこうした方がいいんじゃないですか?」と提案してくる人の方が、仕事ができると感じます。
まさにその通りですね。
言われたことだけをやる人と、目的を理解して違う手段を提案してくれる人では、後者の方が仕事も集まりやすいし、稼げるでしょうね。
対談している二人
望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表
25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。