第24回 ジュエリーリフォームの質を高めるための雑談

この対談について

母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。

第24回 ジュエリーリフォームの質を高めるための雑談

安田

以前の対談で、Refineのお仕事に向いている人は、一人でいる時間も楽しめるけど、お客さんと話をするのも苦にならない人だと仰ってましたよね。


望月

そうですね。「相手の気持ちに共感できるかどうか」が重要なポイントだと思います。

安田

お客さんとの会話って、単に宝石の話だけじゃないと思うんです。とはいえ広げすぎると雑談ばかりになってしまう。どのあたりまで広げて話すべきなんでしょう?


望月

まずは「どうしてリフォームや修理をしたいのか」をお聞きします。そこがいちばん重要なポイントなので。

安田

なるほど確かに。でもそれ以上のバックボーンは聞かないんですか? 旦那さんとの出会いとか、お母さんを看取った時の話みたいな。


望月

もちろん、そのあたりが依頼の理由に関わっている場合もあるので、お聞かせいただくこともありますよ。もっとも、そういうお話は僕のようなおじさんより、女性スタッフの方が聞くのが上手なんですけどね(笑)。

安田

笑。お客さんは40代以上の女性が多いと仰ってましたもんね。確かに女性同士の方が話しやすそうです。


望月

特に横浜の若葉台店は団地の中にあって、お客様のほとんどが60~70代なんです。毎日おしゃべりだけをしに来るお客様もいて、中には1日に3回来る方もいるんですよ。

安田

すごい! 完全に生活の一部になってますね(笑)。


望月

そうなんです(笑)。そこでは家族のことや本当に他愛ない日常の話をしていかれるそうで。毎回ではないにしても、時々買い物もしていただける。そう考えると、お店の立地やお客様の層によって、会話の内容は変わってくるんでしょうね。

安田

宝飾品と全然関係ない話にもなりそうですけど(笑)。「子どもが不登校で悩んでいる」とか、「体の調子が悪いんだけどいい病院ないかしら」とか(笑)。


望月

確かにあり得ますね(笑)。僕自身はそこまで広げられてませんけれど(笑)。

安田

望月さんはオーナーとしてのお仕事も忙しいですし、ずっとお話しているわけにもいかないですからね。そういう意味では、これからRefineのお仕事を始めたい人は、雑談や相談事が好きな人の方が向いているかもしれませんね。


望月

それは絶対その方がいいと思います。お店にお客さんがいると、他の方も入りやすいですからね。外から見ても「ここはいつもお客さんがいるな」と思ってもらえますし。もちろん、雑談ばかりで仕事が進まないのは困りますけど(笑)。

安田

そりゃそうですよね(笑)。でも雑談が苦手な人よりは好きな人の方が絶対にいいと。そういう雑談の中から、リピーターになったり、紹介してくれたりするわけですもんね。そういえば、私が対談している美容師さんが言っていたんですが、「美容師がするべき雑談がある」そうなんです。


望月
安田

はい、よくご存知で(笑)。単にオーダー通りに髪を切るだけでは収入が増えていかない。なぜその髪型にしたいのか背景を聞くことで、より似合う髪型が提案できるんだそうです。


望月

なるほど。雑談の中に重要な質問を織り交ぜるわけですね。

安田

そうですそうです。ジュエリーリフォームも同じように、「するべき雑談」があるのかなとふと思いまして。

望月

あると思いますね。「こういうものを作ってほしかったんだ」といった、要望にきちんと辿り着く雑談ができるといいですよね。

安田

それによってお客さんの喜びももっと大きくなって、単価も上がっていくかもしれない。

望月

そうするには、お客様の本音を引き出せるような質問を意図的に入れていく必要がありますね。僕自身、もっと研究していかなければと思います。

安田

髪型の場合、女性はきれいになりたいとか若々しく見せたいとか、男性は仕事ができるように見せたいとか、目的があるらしいんです。ジュエリーリフォームでは「思い出」をどう扱うかが大事な気がします。

望月

確かにそうですね。うん、そう考えるとどこまでヒアリングするかはすごく重要ですね。

安田

思い出がジュエリーのどの部分に紐づいているのか、を把握するってことですよね。想いだけじゃなく好みもありますし。例えば「ここは好きだから残したい」とか、「ここは絶対変えたくない」とか。

望月

そうですね。質問力が重要だということは普段からスタッフとも話しているんです。具体的な質問をすることで、お客様からも具体的な答えをいただけるわけで。

安田

ええ、仰るとおりだと思います。営業マンも商品の話をするだけではダメで、かといってお天気の話ばかりでは意味がない。そういう意味では、「相手の課題を解決するための雑談」が重要なんですよね。

望月

その通りです。これからぜひそうした雑談を作り上げていきたいですね。


対談している二人

望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表

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25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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